パリ在住のライター&エディター安田薫子さんがお贈りする、世界一おしゃれな街の最新ラグジュアリー情報、今回はディオールによる仮面舞踏会の潜入取材です。パリをあっと言わせたパーティーとは、どのようなものだったのでしょうか?

不思議なキャラやスイーツが並ぶ、シュールな世界

2017年から、ディオールはオートクチュール・コレクションを開催した夜に、そのお客様やプレスを招待して、パーティーを開催しています。オートクチュール・コレクションのショー会場をそのまま使用して行うこのソワレの趣向がとてもユニークで、毎回パリのファッション業界の人々の話題をさらうのです! 

2018年のオートクチュールのテーマは「シュールレアリスム」。そのため、パーティーも同じテーマで行われました。いただいたインビテーションには、「ソワレの装いで、仮面を着用してください」と書かれています。

ロダン美術館にプロジェクションでポエティックな絵が写されています。
ロダン美術館にプロジェクションでポエティックな絵が写されています。
美術館の中庭の特設会場までは、チェスの駒に扮装した男の子たちが。
美術館の中庭の特設会場までは、チェスの駒に扮装した男の子たちが。
チェスの駒が電動で動き回っています。
チェスの駒が電動で動き回っています。

ディオールはいつも、パリ7区にあるロダン美術館の中庭に特設会場を造ってショーやパーティーを開催します。「ボンソワー、マダム」と、チェスの扮装の若い男の子たちが迎えてくれます。

会場に入ると、そこは不思議空間!

サービスをしてくれる男の子たちには、青空と白い雲、チェック柄が描かれています。
サービスをしてくれる男の子たちには、青空と白い雲、チェック柄が描かれています。
物語のヒロインのような格好の女性たち。
物語のヒロインのような格好の女性たち。
一瞬、ドキッとしましたが、安心してください。着ていますよ。
一瞬、ドキッとしましたが、安心してください。着ていますよ。
これが本当の全身タイツですね! 顔面まで覆われています。
これが本当の全身タイツですね! 顔面まで覆われています。
トランプのカードの衣装を着た女子たちがくるくるまわりながら踊ります。
トランプのカードの衣装を着た女子たちがくるくるまわりながら踊ります。

青空、顔のない人物、山高帽、青リンゴ……まさに、ベルギーのシュールレアリスム画家ルネ・マグリットの世界を思い起こさせます。

あの現実とは真逆の哲学的な世界を現実にするなんて、ディオールはさすがですね。 

目玉の形のスイーツ。ホワイトチョコとブラックチョコでできています。
目玉の形のスイーツ。ホワイトチョコとブラックチョコでできています。

ちょっと横向いているのがリアル…。

本物と偽物の手が混じっています。手が持っているのが、スイーツです。
本物と偽物の手が混じっています。手が持っているのが、スイーツです。
こちらのチェスの駒とニンニクも食べられます!
こちらのチェスの駒とニンニクも食べられます!
カードみたいですけれど、ホワイトチョコです。
カードみたいですけれど、ホワイトチョコです。
これを見て、パティシエが誰かわかりました。ル・ムーリスのセドリック・グロレです。
これを見て、パティシエが誰かわかりました。ル・ムーリスのセドリック・グロレです。

お菓子が本物そっくりなものですから、本当に食べられるのかしらと恐る恐る食べましたが、ホワイトチョコの優しい味でした。ルービック・キューブ形スイーツは、パラスホテル、ル・ムーリスのパティシエ、セドリック・グロレの有名なクリエーション。中は、サクサク食感の生地が層をつくっています。

ステラ・テナント発見! いつまでもお変わりなく、綺麗ですよね。
ステラ・テナント発見! いつまでもお変わりなく、綺麗ですよね。
横にいるのが、俳優のピエール・ニネ。映画『イヴ・サンローラン』のサンローラン役で有名です。
横にいるのが、俳優のピエール・ニネ。映画『イヴ・サンローラン』のサンローラン役で有名です。
会場奥ではダンサーがペアでダンスを披露。
会場奥ではダンサーがペアでダンスを披露。

ウィロー・スミスのコンサートも行われ、夜が更けていくに連れ、人が増えて大盛況でした! 仮面舞踏会に来られる世界の顧客はもちろんディオールを着用。こういう素敵なパーティーがあるからソワレのドレスを着る甲斐もあるというものです。

もはやディオールの夜会はオートクチュール・コレクション開催時の名物。次回はどんなテーマで開催してくれるのか今から楽しみです。

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この記事の執筆者
某女性誌編集者を経て2003年に渡仏。東京とパリを行き来しながら、食、旅、デザイン、モード、ビューティなどの広い分野を手掛ける。趣味は“料理”と“健康”と“ワイン”。2013年南仏プロヴァンスのシャンブル・ドットのインテリアと暮らし方を取り上げた『憧れのプロヴァンス流インテリアスタイル』(講談社刊)の著者として、2016年から年1回、英語版東京シティガイドブック『Tokyo Now』(igrecca inc.刊)を主幹として上梓。