「さぁ、あとひと踏ん張りしよう。今日は花だぞ~」などと嬉しそうに声をかけてくる上司、いませんか? 自身でもこの「花金」という言葉を使ったことがある…という人、1980年代後半に青春を謳歌していた世代ですよね。今回はこの昭和レトロワードの「花金」と、令和のSNSで飛び交う「華金」について、しっかり勉強していただきます!

【目次】

あなたは「華金」「花金」どっち?
あなたは「華金」「花金」どっち派?

【誰にも聞けない「花金」と「華金」の基礎知識】

■読み方

「花金」も「華金」も「はなきん」と読みます。

■意味

「花の金曜日」という言葉を略したものが「花金」、あるいは「華金」です。

■「花金」の由来

民間企業に週休2日制が定着しだした1980年代半ば、昭和の終わりに登場した造語が「花金」。会社員が土曜・日曜の休日を控え、「金曜日は、仕事帰りに心置きなく夜遊びできる!」という意味で「今日は花金だから飲みに行こう」とか「次の花金どうする?」などと使われました。

すでに40年近く前の流行語ですが、1988年には「花金」ではなく「花木(はなもく)」という言葉が『ユーキャン新語・流行語大賞』を受賞。金曜日に休暇をとって3連休とし、旅行やスキーなどのレジャーに出かけたりするケースも多かったため、「仕事帰りに遊ぶのは木曜日が最適!」ということだったのでした。

いずれにしても、中小企業のサラリーマンや、新卒OL(オフィスレディの略、これも死語?)でさえイケイケな時代だった、1980年代後半から12月から1990年代初頭までの“日本社会のバブル経済期”での流行語。「今は昔…」と、遠い目をしてしまいそうなお話です。

■「華金」は…

1990年代初頭にバブル景気が崩壊すると、金曜日に豪遊できる会社員は減少。そして「花金」は死語になったわけですが、令和の今、SNS上で「華金」というワードが飛び交うように。意味は同じですが、「花金」と書かず「華金」とするところが現代風なのだそう。

また、内容によって「花金」と「華金」を使い分ける場合も。習い事や勉強などで自分磨きをしたり、趣味を楽しむ時間に充てたり、友人との飲み会や食事にカジュアルな店を選んだり、自宅飲みをしたり…という場合は「花金」を。高級店での飲食やホテルでのパーティーに参加するなど、ゴージャスな遊びには「華金」の字をあてるようです。


【SNSで「華金」を使いたい!例文3選】

■:1「来週の華金、渋谷SAUNAS(サウナ)でととのわない?」

■:2「初めてつくる料理に挑戦して、ワインを飲みながらまったりするのが、お気に入りの華金の過ごし方です」

■:3「今日は華金、ちょっと頑張っておしゃれして出社しました」


【同じ意味で使える「類語」「言い換え表現」はある?】

■プレミアムフライデー

世代や用途によっても使い方が異なる「華金」ですが、「プレミアムフライデー」も華金といえるかもしれません。「プレミアムフライデー」とは、日本政府と経済界が提唱した“個人消費喚起キャンペーン”のこと。2017年2月24日から始まったもので、毎月最終金曜日を「プレミアムフライデー」と称し、仕事を早めに切り上げて普段できないことを楽しんだり、勉強時間に充てたり、旅行に出かけたり…と、普及啓発活動を行いました。「働き方改革」の一環でもあったのです。

ところが、2020年からの新型コロナウイルスのパンデミックによって“プレ金(という略称も浸透しなかった)終わった感濃厚”…と調べてみたら、プレミアムフライデー推進協議会のサイトも2022年10月の情報を最後に更新されておらず、でした。

■ブラックフライデー

「フライデー」つながりですが、こちらはアメリカ発祥。感謝祭(11月の第4木曜日)の翌日の金曜日を「ブラックフライデー」と呼びますが、これはアメリカ全土で感謝祭プレゼントの売れ残りの一掃セールが行われることに由来します。小売店の売り上げが一年でもっとも見込める日というわけですね。

日本でも、通販サイトのAmazonをはじめ、総合スーパーマーケットのイオンやイトーヨーカドー、ドン・キホーテなどでも、11月に1週間程度「ブラックフライデーセール」が開催されています。


【「花金」「華金」に相当する「英語表現」は…】

[Thank God it's Friday]これが「華金」に相当する英語です。訳すと「神さまありがとう、今日は金曜日だ!」ということに。「花金」や「華金」同様、略した「TGIF」が「今週もお疲れさま!」といったニュアンスでメールやSNSで使われています。

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今回は“息を吹き返したレトロ流行語”とでも呼びたい「華金」について解説しました。造語、新語、流行語に死語。“言葉は生き物”ともいいますが、流行が再熱したり、時代によって使い方が変わったり。常に言葉のアップデートをしておくのも“大人の語彙力”磨きに必要ですね。

この記事の執筆者
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