「おしゃれ番長」のトップモデル、ケイト・モスを2018-19年秋冬・パリ・メンズファッションウイーク期間中にキャッチ。1本の同じストールを何種類ものアレンジで巧みに操った、マルチな着こなしを披露しました。旅先などの少ないワードローブの中で参考になる、さりげなさとクール感を同居させた、ケイトならではのストール変化術はお手本のかたまりです。

ケイト・モス流!「ストール変化術」を拝見

■ストールで差し色投入

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首にきつく巻きすぎないで、伸びやかな見え具合に
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端を長く垂らすと、縦落ち感を引き出せます

深みのあるブルー系のストールを、縦に落ち感を出してさらりと巻いた姿がクール。全身ブラックのコートルックの差し色として効いています。ダーク系の冬の装いは重たく地味に見えがちですが、ストールを細長く垂らしてシャープに見せています。ショートブーツはピンヒールの鋭角感がスタイリッシュ。たっぷりあしらわれたバッグのフリンジが、ストールのゆらめきと響き合って、装いにリズムを加えています。寒さがそんなに厳しくないときは、ぐるぐる巻きにしないでこのテクニックを取り入れてみては。

■ボーホールックを優美に

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片方の端だけ肩に掛けて、アンバランスな動きを演出
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ジーンズともなじむブルー系の色選びはさすがのバランス感

気負いや気取りを遠ざけたボーホー(ボヘミアン)スタイルはケイトの得意技。パリで最高の格式を誇る「リッツ・ホテル」にもジーンズでお出まし。ミリタリー風ジャケットにペイズリー柄のボウタイ・ブラウスという、ボーホーのお手本的コーディネートを軸に。そこに、無造作にストールを巻いて、余った端を長く垂らしています。ストールをあえて束ねないで、遊ばせた感じで少し広げたまとい方がヌケ感のある着こなしに導くポイントです。

■ストール重ねで不ぞろいミックス

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自然体の雰囲気に映るのは、無造作に端をばらけさせているから

さらにアレンジ技として、印象の異なるストールを重ねて巻くと、装いの主役級に存在感が強まります。ここまで繰り返し登場しているブルーのストールと重ねる形で、ケイトが選んだのは、モノグラム柄のベージュ系ストール。色や柄を不ぞろいにしたから、程よいずれ感が生まれました。ブラウスのボウタイと一緒にねじって、複雑なミックスに仕上げています。ぐるりと一緒に巻いて首周りがボリュームアップした分、さらに小顔が強調される、うれしいおまけ付きです。

同じ1枚のブルー系ストールの巻き方を工夫するだけで、こんなにバリエーションが広がります。ケイトが巧みなのは、きっちり巻きすぎないで、垂らしたり遊ばせたりしているところ。重たく見えがちな冬から春の装いに、こなれ感や動きを添える効果がある点でもストールは重宝します。ケイト流を参考にストールアレンジの幅を広げて、おしゃれを楽しんでください。


■毎週水曜日更新中!「宮田理江のファッションチェック」

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この記事の執筆者
多彩なメディアでランウェイリポートやトレンド情報、着こなし解説などを発信。バイヤー、プレスなど業界での豊富な経験を生かした解説が好評。自らのTV通版ブランドもプロデュース。TVやセミナー・イベント出演も多い。著書に『おしゃれの近道』『もっとおしゃれの近道』(学研パブリッシング)がある。
PHOTO :
Getty Images
WRITING :
宮田理江
EDIT :
石原あや乃