住宅設備機器会社のLIXIL(リクシル)が、新作トイレの機能性だけでなく、空間づくりにも貢献するインテリア性を見せるため、2018年3月17日と18日の2日間、「アーティフィシャルフラワーで飾られたトイレ」を、東京ミッドタウンに展示。その意外すぎるビジュアルが、大きな話題になりました。

展示されたのは、インテリア性の高いデザインで知られるINAXタンクレストイレ「SATIS(サティス) Gタイプ」の、マットな質感のある「ノーブルブラック」と、女性らしく上質なフランスの伝統的なカラー「ノーブルトープ」(新色)。アートなお花とのコラボレーションにより、この新型トイレのカラー、フォルム、デザインがより美しく伝わってきます。

トイレの「空間」としての捉え方や、新たな概念を感じさせてくれたイベントの内容と、今後ますます進化していくであろう「化粧室空間」について、LIXILトイレ・洗面事業部の太田剛史さんにお話を伺いました。

新しいトイレ空間を象徴する4つのアート作品

INAXタンクレストイレ「SATIS(サティス) Gタイプ」の既存色「ノーブルブラック」
INAXタンクレストイレ「SATIS(サティス) Gタイプ」の既存色「ノーブルブラック」

「このような展示の試みは初めてです。新色の発表時期である『春』を感じていただくために、花での演出を試みました。さまざまなカラーの植物と合わせることで、新色の『ノーブルトープ』がいろいろな空間に合う色であることも、感じていただけたらと思っています。お花にも合うほどのカラー、デザインということを知ってほしいです」(太田さん)

今回は4つのトイレ空間が、フラワーアーティスト集団「plantica」によるアーティフィシャルフラワーによって演出されました。

■1:「FLOWER SHOWER」華やかなお花をふんだんに使い、春を感じさせるレイアウト 

「FLOWER SHOWER」 華やかなお花をふんだんに使い、春を感じさせるレイアウト
「FLOWER SHOWER」花:ラナンキュラス、ガーベラ、芍薬、マム

■2:「BOTANICAL GREEN」南国のトロピカルなリゾート感のため、植物を大胆かつワイルドに演出

「BOTANICAL GREEN」 南国のトロピカルなリゾート感のため、植物を大胆かつワイルドに演出
「BOTANICAL GREEN」 花:アンスリウム、ストレリチア

■3:「MODERN JAPANESE」和風の黒でしまった、ちょっとした箱庭的なイメージ

「MODERN JAPANESE」 和風の黒でしまった、ちょっとした箱庭的なイメージ
「MODERN JAPANESE」 花:桜、レンギョウ、木蓮

■4:「FLOWER WALL」アクリルパネルに実際の花を転写。ブルー系のお花でクールな印象に 

「FLOWER WALL」 アクリルパネルに実際の花を転写。ブルー系のお花でクールな印象に
「FLOWER WALL」 花:パンジー、スミレなど

太田さんは、これらの4種のお花で飾られたトイレについて、こんな意味深なことを話します。

「女性は、トイレを単体ではなく『空間』としてとらえる傾向にあります。トイレ本体と床や壁などのコーディネートで考えるので、いろいろな色に合うということを、お花の色でも感じることができます」

女性にとってトイレは「くつろぎ空間」にシフト

「サティスGタイプ ノーブルトープ」
INAXタンクレストイレ「SATIS(サティス) Gタイプ」の新色「ノーブルトープ」

女性にとって、トイレとはどんな空間なのでしょうか。太田さんは次のように話します。

「商品開発のために、女性にインタビューをして意見をうかがった際、家族がいらっしゃる方は特に、『トイレは唯一ひとりになれる場所、リフレッシュ、リラックスできる場所』と答える方が、非常に多くいらっしゃいました。つまり、トイレもひとつの『くつろぎ空間』ではないかと感じています。インテリアやカラーリングによる空間のつくりかた次第では、日常から離れ、リフレッシュすることができる場所になるはず。 しかしトイレが汚い、臭いとなると、せっかくの空間でもくつろぐことができません。だからこそ、飽きのこないカラー、フォルム、使い勝手のよさ、快適さ、掃除のしやすさなどの機能性はしっかり持たせています」

「サティスGタイプ ノーブルトープ」施工イメージ
「サティスGタイプ ノーブルトープ」施工イメージ

このたび新色として加わった、グレイッシュなブラウンの「ノーブルトープ」というカラーは、女性を意識したといいます。

「住空間の中での快適性、インテリア性が求められる中で、お手洗いにもそのようなことが求められています。そのような流れからブラックを発表して2年が経ち、今回は女性らしいカラーとしてノーブルトープを発表しました。このカラーは、フランスの伝統色でもある上品なカラー。バッグ、革小物、高級車の内装にも使われ、女性の洋服や化粧品でも人気があり、トレンドにもなりつつある色です。色の候補はいろいろあった中で、女性らしさを意識した華やかなカラーに辿り着きました。 壁、床、空間にマッチするような、主張しすぎないカラーリングで、全体の空間をまとめる色の役割、つまり空間に溶け込む色を意識しています。ナチュラルにも高級感にもフィットします。トイレの便座やフタなどの上部以外の下の部分は焼き物の陶器なので、まさに器のような品のいい質感があります」

インテリア空間になじむトイレにこれからのニーズがある

「サティスGタイプ ノーブルブラック」の施工イメージ
「サティスGタイプ ノーブルブラック」の施工イメージ

「現在、トイレはローシルエットのタイプの比率が高くなっています。空間がスッキリしてお掃除もしやすいフォルムで、インテリア空間になじむという考え方が受けているためです。男性は機能を重視する傾向がありますが、女性は機能だけでなくスッキリ見えるとか、インテリアのイメージに合うというところも重視するケースが多いです。形状そのものが機能そのものと捉える方もいます。長く使える、掃除がしやすい、美しいフォルム、というところが興味をもっていただいている部分です」

インテリア性も機能性も同時にバランスよく合わせ持ったトイレ空間が、今後、ますます追求されていくと予想されます。自宅のトイレという空間を一度改めて捉え直してみるのもいいかもしれません。

※INAXタンクレストイレ サティスGタイプ「ノーブルブラック・ノーブルトープ」便器¥193,000、機能部¥284,000(税・施工代など別)

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この記事の執筆者
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WRITING :
石原亜香利