眼鏡は、俳優がさまざまな役を演じ分けるうえで欠かせない小道具だ。「魅せる」ことを生業とするプロだけに、そのセレクトはさすがで、真似する価値はある。そこで、古今の名作で印象的な眼鏡&サングラス姿を披露した俳優のなかから、我々も取り入れやすいモデルを中心に紹介しよう。

「10億ドルの頭脳」マイケル・ケイン

オリバー ゴールドスミスの「CONSUL-S celluloid」

眼鏡¥33,000(ブリンク ベース〈オリバー ゴールドスミス〉)写真:Shutterstock/アフロ

 黒縁眼鏡のウェリントンと言えば、1926年創業のオリバー ゴールドスミスの「CONSUL-S」だ。このロングセラーモデルは、マイケル・ケインが「10億ドルの頭脳」ほか、ハリー・パーマー役を演じたシリーズでかけていた。智飾りのないストイックなデザインと、程よい厚みのリム幅が、知的かつセクシーな雰囲気を醸し出すこのモデルには、いくつかの種類があり、なかでもオススメなのが写真のセルロイドタイプ。アセテート素材に比べて深みのある黒とその艶感が、凛々しい表情を作り出す。ただの2枚目ではなく、シニカルで飄々とした演技を得意とするマイケル・ケイン。英国的な知性を演出するうえで、これほど便利な眼鏡はない。

「キングスマン ゴールデン・サークル」コリン・ファース

カトラー アンド グロスの「0822」

¥42,000(ブリンク外苑前〈カトラー アンド グロス〉)写真:Visual Press Agency/アフロ

「キングスマン ゴールデン・サークル」はご覧になっただろうか。劇中では1969年にロンドンで創業されたイギリスを代表する老舗、カトラー アンド グロスの眼鏡が数多く「起用」されている。ハリー役を演じたコリン・ファースがかけているモデルは日本未発売品だが、一番近いとされているのが、この「0822」である。狭いブリッジ幅と上リムがほぼ一直線なデザインが、シックなようで力強く、知的。レンズを変えてサングラスとして使っても似合うだろう。

「JFK」ケビン・コスナー

シュロン「RONSIR ZYL」

¥18,000(ブリンク外苑前〈シュロン〉)写真:Everett Collection/アフロ

 アメリカを代表する眼鏡ブランドのシュロンは、1865年に創業した老舗。なかでも1947年に発表されたブローラインの「RONSIR」シリーズは、今でも多くの人たちに愛用され続けている定番モデルである。映画「JFK」で検事役を演じたケビン・コスナーが実際にかけていたとされる「RONSIR ZYL」は、ブロー=眉を描いたプラスチックの上リムとメタルの下リムを組み合わせた形。男性の力強さを演出するこのデザインはサーモントブロウと呼ばれ、一説には眉が薄かったアメリカ陸軍のモント将校(sir mont)の威厳を保つために作られたデザインともいわれている。スーツスタイルにも、カジュアルスタイルにも合うこのモデルは、一本あるととても便利だ。

「8 1/2」マルチェロ・マストロヤンニ

レスカ ルネティエの「8 1/2」

¥37,000(グローブスペックス エージェント〈レスカ ルネティエ〉)写真:PictureLux/アフロ

 直線的な上下のリムとテンプルに、厚めのプラスチック生地が男性的でかつ唯一無二なスタイルを作り上げるこのモデルは、フランスを代表する1964年創業のレスカ ルネティエのもの。モデル名にもなっている「8 1/2」は、フェデリコ・フェリー二の「8 1/2」で、マルチェロ・マストロヤンニがかけていたモデルにインスパイアされて誕生。伝統的なフレームやリアルヴィンテージを得意とするブランドらしい、クラシックな雰囲気が魅力だ。マストロヤンニのようにモノトーンのシックなスーツスタイルに合わせれば、ダンディな印象がいっそう高まる。映画で見せる所作に倣い、あえて少し下げてかけるのが粋だ。

「007 スペクター」ダニエル・クレイグ

トム フォード アイウエアの「Henry」

(左)¥45,000・(右)¥50,000(トム フォード アイウエア)写真:Everett Collection/アフロ

「007 スペクター」でダニエル・クレイグがかけていた、トム フォード アイウエアのうちの1本が、この「Henry」。1950年代のアイコニックなアイウエアからインスパイアされつつ、トム フォード アイウエアの象徴的なマークでもある「T」をテンプルにはめ込むことで、モードな雰囲気がぐっと高まっている。左のモデルはプラスチックレンズを、右はガラスレンズを使用。どちらもおすすめだが、1本目は味のある雰囲気が色気を漂わせるガラスレンズモデルがいい。

「華麗なる賭け」スティーブ・マックイーン

ペルソールの「0714」

(左)¥32,000・(右)¥32,000(サンライズ〈ペルソール〉)

「曲がるテンプル」メフレクトとシルバーアローの装飾で有名なのが、イタリアを代表するメガネブランド、ペルソールだ。愛用した洒落者は多いが、ここではスティーブ・マックイーンを取り上げたい。彼が「華麗なる賭け」で実際にかけたモデル「0714」は、ペルソールを代表するモデルだ。ティアドロップ型の大きめなフレームを持つこのサングラスは、テンプル中央部とブリッジ中央部を折りたたむことができ、機能的で持ち運びにも優れている。バラクータのスウィングトップ、G9をはおり、颯爽とオープンスポーツカーに乗る…。「いかにも」なマックイーンスタイルではあるが、なりきりに加減は禁物。ペルソールをかけて、男の渋みを体現すべし!

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