英国紳士の印象が強いチェック柄ですが、その一方で、ボーイッシュやカジュアルといったイメージも帯びています。賢く着こなすにあたっては、シーンやアイテムに応じて、チェック柄の表情を引き出すのがポイントになります。メンズライクな雰囲気があるだけに、女性が取り入れると、程よいテイストミックスが生まれます。ドレッシーにもカジュアルにも自在に落とし込むテクニックとは? 人気女優・ダイアン・クルーガーの着こなしから紐解きます。

ダイアン・クルーガーに学ぶ!トレンド「チェック柄」の着こなし5選

■1:ブラックパンツをクールに整える「チェック柄ジャケット」

全体に凜々しさを帯びさせるメンズライクなシルエット
全体に凜々しさを帯びさせるメンズライクなシルエット

マニッシュな仕立てのチェック柄ジャケットをキーアイテムに選んで、ボトムスは癖のないブラックパンツを選びました。プレーンな見栄えの白Tシャツを仲立ち役に迎えたのがダイアンの賢い選択です。

色もモノトーンでそろえて、チェック柄の品格ムードを際立たせています。かすかにリュクス感を添えているのが、肩掛けしたチェーンバッグ。白Tシャツの上に乗せたネックレスも控えめな華やぎを加えています。

■2:ドレスの引き締め役に選ぶ「チェック柄ジャケット」

モノトーンコーデに差し色として投入した赤のクラッチバッグとハイヒール
モノトーンコーデに差し色として投入した赤のクラッチバッグとハイヒール

映画賞の授賞式に出席したダイアンは、ホワイトドレスの上からチェック柄ジャケットを羽織って、レッドカーペットに登場しました。このような晴れ舞台ではドレスが見どころになりますが、あえてジャケットを重ねて、シックに整えました。かしこまった席でのワンピースの着回し技としても参考になるテクニックです。

不ぞろいに揺れるドレスのアシンメトリー裾が優美な風情。相方のジャケットも、身ごろを分解したかのようなアレンジが正面に施してあり、ドレスとうまく融け合っています。ジャケットの上からベルトマークしてめりはりを出すと、砂時計状にくびれた「フィット&フレア」のシルエットが生まれます。

■3:アシンメトリーで遊び心を加えた多色使いの「チェック柄ドレス」

布とレザーの異素材ミックスで大人っぽさを引き出すミニドレス
布とレザーの異素材ミックスで大人っぽさを引き出すミニドレス

チェック柄が備えている若々しさやガーリー感を前面に押し出したのが、こちらのコーデです。コンパクトなミニドレスを選んで、キュートさを演出しています。全体が同じパターンだと、単調に見えてしまいがちですが、黒のレザーが不規則に組み込まれた、左右アシンメトリー仕立てのデザインが動きを強調しています。

チェック柄は黒と相性がよいので、黒系のはおり物やベルトを引き合わせるスタイリングが使えます。気取らない印象が感じられるのは、あえてアクセサリーをオフしているから。素肌のみずみずしさを味方につける好判断です。

■4:ファニーな着余り感を強調した「大柄チェックのオーバーサイズコート」

なだらかな曲線フォルムが愛嬌を感じさせる肩落ちデザイン
なだらかな曲線フォルムが愛嬌を感じさせる肩落ちデザイン

ぴったりサイズより大きめの服を着る「オーバーサイズ」のトレンドはまだまだ続きます。朗らかで愛らしく見せてくれるから、アウターで上手に取り入れたいシルエットです。こちらは、大きい格子柄のアウターをチョイスして、チェック柄とオーバーサイズという2大トレンドをいいとこ取りしました。

構築的なフォルムのビッグシルエットが、小顔効果を高めているうえ、華奢なレッグラインに見せています。ヒール靴にソックスを添えるという、スクールガール風の小技が初々しさをプラス。「彼氏のコートを借りてきちゃったの」といった雰囲気の、ハートウォーミングな装いに仕上げています。

■5:フレッシュ&キュートに魅せる「チェック柄ミニボトムス」

素肌から透明感を引き出した膝丈のロングブーツテクニック
素肌から透明感を引き出した膝丈のロングブーツテクニック

アウトドアのイベントに参加したダイアンは、軽快な装いにチェック柄を溶け込ませています。彼女のチョイスは意外にもミニスカートでした。正統派ブリティッシュのイメージが強い、モノトーンの紳士服風チェック柄をミニスカートに迎えています。スポーティーなスウエットトップスが効いて、気負いのない雰囲気に仕上がりました。

実はお隣の映画監督もチェック柄シャツを着ていて、たまたまおそろいになっていますが、ダイアンは白のトップスを組み合わせたことで、ぐんと明るくフェミニンな着映えになっているのは、ふたりを比べるとよく分かります。パートナーとのお出かけファッションにも参考になりそうです。

ジャケット、ワンピース、アウター、ミニスカートと、さまざまなアイテムにチェック柄を取り入れてみせたダイアン。それぞれのシーンに合わせて、着こなしに工夫を凝らしているのがわかります。英国ムードやボーイッシュ感といった、チェック柄特有のイメージを生かせば、アレンジの余地が広がります。ダイアン流をお手本に、新しいチェック柄バリエーションを試してみてはいかがでしょう。


■毎週水曜日更新中!「宮田理江のファッションチェック」

Precious.jpでは、海外の王妃やセレブリティー、おしゃれなマダムなどの着こなしを紐解くファッション連載を毎週水曜日に掲載しています。こちらのページに、これまでの記事がまとまっています。是非、ご覧ください。

この記事の執筆者
多彩なメディアでランウェイリポートやトレンド情報、着こなし解説などを発信。バイヤー、プレスなど業界での豊富な経験を生かした解説が好評。自らのTV通版ブランドもプロデュース。TVやセミナー・イベント出演も多い。著書に『おしゃれの近道』『もっとおしゃれの近道』(学研パブリッシング)がある。
WRITING :
宮田理江
EDIT :
石原あや乃