一昔前のドラマやマンガに登場する経営者といえば、いずれも「ふくよかで恰幅のいい人物」として描かれてきました。けれど、現在はその逆。第一線で活躍するエグゼクティブは、みなスッキリとした体型を維持しています。それは、体型で仕事力までも問われてしまう風潮になったから。

つまり、現代社会で一流を目指すのであれば、必然的に体型維持、そして食習慣を意識する必要があるのです。とはいえ、これまで培ってきた食習慣をガラッと変えるのは、難しいもの……。

そこで今回は、『仕事ができる人はお米の食べ方が美しい』(カンゼン)の著者であり、トータルフードプロデューサーとして活躍する小倉朋子さんに、たった10秒で取り入れられる一流の人たちの食習慣について教えていただきました。

■1:「食後のコーヒー」を食事終了の合図にする

食後のコーヒーを食事終了の合図にする
食後のコーヒーを食事終了の合図にする

体型維持の天敵ともいえるのが、いつまでもダラダラと食べてしまうこと。それを防ぐためには、一食の量をコントロールできるようになることが重要です。

食事を終わらせようと決断する基準は、腹七分目。「まだまだ食べられる」と感じるくらいが目安です。そのタイミングで、コーヒーや紅茶を飲むように習慣づけます。これらに含まれるカフェインには、食欲を抑える効果があり、同時に脂肪燃焼を促進させる効能も期待できるのだとか。食後のコーヒーを食事終了の合図として体に覚えさせれば、ついやってしまいがちなダラダラ食いを防ぐことができるでしょう。

「机の上や引き出しの中など、すぐ取り出せる場所にチョコを忍ばせて食べてしまったり、スマホやテレビを見ながらなんとなく食べたり、ということをしてしまっていたら、この習慣をやめてみましょう。また、シメのラーメンや、シメのデザートが好きな人は、シメに太らないものに変える習慣を。コーヒーなど、どこの場所にもよくあるもので習慣づけると、やりやすいです。私のクライアント様で、食後のカフェオレ砂糖入りをやめて、ブラックコーヒーにしただけで、3か月で3キロも体重が減った方もいます」(小倉さん)

■2:明日のメインディッシュを決める

仕事の付き合いで、会食や接待が続いてしまうことは珍しくありません。今夜はフレンチ、終末は焼き肉、翌週は飲み会が立て続けに入っている。それらも仕事の延長線上なので仕方がないとはいえ、やはり続けば食べ過ぎにつながります。

そこで重要なのが、食事のバランスを週単位で考えること。1~2週間を単位として、その間の食事をセルフコーディネートするのです。重たい食事の翌日は軽めにして、バランスを取る。それを意識すれば、たとえ外食が続いたとしても。フォローできるようになります。また、このように食事をデザインできるようになると、自分自身を律することにもつながり、必然的に仕事の効率もアップします。

「自分の食べるもののスケジューリングを、頭の中で描きましょう。いつ外食なのか、いつ手料理の日か、など月曜から日曜までの1週間カレンダーを頭に描けると、調整できるようになります。最初は外食の日を記憶して、その前後を調整することからやってみましょう」(小倉さん)

■3:空腹時は「炭酸水」で気持ちをリセットする

空腹時は炭酸水で気持ちをリセットする
空腹時は炭酸水で気持ちをリセットする

外食が続いたので、今日は軽めの食事にしよう。そう決意しても、やはり空腹になると食欲が抑えられなくなることは、往々にしてあります。そんなときにオススメなのが、炭酸水を飲むこと。炭酸水を飲むとお腹が膨れ、空腹を紛らわすことができるのです。

ただし、炭酸水には胃の動きを活発にする作用もあります。では、どのように飲むのがベストなのでしょう。答えは、コップ1杯の炭酸水を飲むこと。少量だと食欲が増進されてしまいますが、コップ1杯以上飲むと満足を感じられるのだとか。その際、冷えたものを飲むのがオススメ。冷たい炭酸水を飲めば、その刺激で脳がシャキッとします。空腹を抑えつつ、仕事の能率もアップできるというわけです。

「スポーツの前は炭酸水を飲むことを推奨しませんが、仕事で集中力が途切れそうなとき、空腹でこれから食べようとするときなどにはオススメです。体の65%は水分。カロリーゼロで胃も膨らむ炭酸水ですが、刺激が脳にも届くので眠気防止や気持ちのリフレッシュにもなりますよ」(小倉さん)

■4:「冷凍」して食感と風味を変える

そんなにお腹が減っているわけではないものの、なんとなく口寂しくて何かを食べてしまう。そんな経験は誰にだってあるでしょう。けれど、その間食も積み重なれば、脂肪になってしまいます。

そこで取り入れたいのが、冷凍した食材を口にするということ。たとえば、フルーツ。冷凍することで食感が変化し、慣れ親しんだ食材がデザートになるのです。また、冷凍することによって、食べ終わるまでにいつもの数倍の時間を要するようになります。固く凍らせたものを噛むことで、唾液が分泌され、満腹中枢が刺激されることにもつながります。すると、少量でも想像以上に大きな満足感が得られ、食べ過ぎを防ぐことができるのです。

「これは、ビジネスパーソンでダイエットしたいと希望している方に、オススメしているやり方です。まずは、薄くスライスした冷凍バナナをおやつやスイーツ代わりに。アイスクリームを食べていた女性のクライアント様が、これで3か月で4キロ減となりました!」(小倉さん)

■5:「残業の途中」で必ず食事を摂る

食事のリズムを保つこと。これも体型維持には必要なことです。規則正しい時間に内臓を働かせることで、胃腸の負担が減り、体調もよくなります。けれど、忙しいビジネスパーソンにとって、毎日同じ時間に食事を摂るのは案外難しいもの。繁忙期で残業が続けば、必然的に深夜に夕食を摂ることになってしまいますよね。

もちろん、これは避けたい食生活。そのためにも、仕事で帰宅が遅くなりそうなときは、あえて残業中に食事を摂ることを意識しましょう。おにぎりなどの軽食でも構いませんし、ナッツなどをおやつ代わりに食べるのもベター。肝心なのは空腹を我慢しないことと、食事のリズムを崩さないこと。結果、残業後のドカ食いを防ぐことにもなります。

「夜遅い時間に空腹で食べると、深夜ずっと消化のために体が酷使されることになり、自身の体がかわいそうです。夕方に”夕食の補助”の意味で、何か口に入れるようにしましょう。足りない栄養を補うイメージですね。たとえば、ちくわ。お皿やお箸がなくてもいただける手軽なものです。糖質もたんぱく質も両方摂取できるので、オススメの食材です」(小倉さん)

■6:箸を汚さずきれいに使う

箸を汚さずきれいに使う
箸を汚さずきれいに使う

世の中には数多くのダイエットメソッドがあふれていますが、小倉さんがすぐにできる方法として推奨しているのが箸をきれいに使うことです。

使っていいのは、箸先から3センチまで。たとえば、ご飯茶碗などに箸を垂直に入れると、それだけで5センチはゆうに汚れてしまいます。それを意識するようになると、一回につかみとる食事の量が減り、必然的にゆっくりと食べざるを得ません。食事開始から満腹中枢が刺激されるまで、15分ほどかかるといわれていますが、箸をきれいに使うことを意識し、ゆっくりとした食事を心がけるようになると、想像以上に少量で満腹感が得られます。つまり、箸をきれいに使うことが、過食を防ぐことになるのです。

「仕事ができる人は、食べ方がキレイで品がある人が多いのです。箸先3センチだけが汚れるに留めるには、一口の大きさを小さくします。それからなんとなく無意識ではなく意識して箸を入れるので、ゆっくり丁寧にいただくことになりますよ」(小倉さん)

今回紹介した食習慣は、いずれもすぐに取り入れられるものばかり。これらを真似することで、一流の人たちに近づけるかもしれませんよ。

小倉朋子さん
トータルフードプロデューサー
(おぐら ともこ)トヨタ自動車広報、海外留学を経て現職。諸国の食事マナーと総合的な食について学ぶ「食輝塾」を開催。マーケティング分析から食文化、マナー、ダイエット、食育など幅広いジャンルで活躍。主な著書に『世界一美しい食べ方のマナー』(高橋書店)、『やせる味覚の作り方』(文響社)など。
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この記事の執筆者
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WRITING :
五十嵐 大
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