雨をしのぐ道具。日本人の多くは傘をそう捉えているだろう。英国でもその認識はあるだろうが、閉じた時の優雅な佇まいも大事にされている。フォックスアンブレラのように、上質さ、気品、歴史的深さなどを備えた、ワンランク上のラグジュアリー傘は、数こそ少ないが世界各地に見られる。

男なら一本は用意しておきたい世界三大傘

日本|宮内庁の厳しい審査を通り今なお皇族を雨から守る傘

左から¥22,000・¥18,000・¥23,000(前原光栄商店)
左から¥22,000・¥18,000・¥23,000(前原光栄商店)

傘という漢字には4つの人が登場する。これは、生地、骨組み、手元、全体という4つの製作工程をそれぞれ担当する職人を表しているという。昭和23年創業の老舗、前原光栄商店では、今もなお各工程を担当する熟練職人がおり、彼らの手で一本、一本傘が作られている。そのクオリティのほどは、「一生使い続けられる」と讃えられるほど。今では、宮内庁御用達として知られ、より多くの著名人や識者たちからも愛されている。

英国|伝統を語り継ぐ、英国王室愛用の一本

左から¥32,000・¥311,000・¥36,000(ヴァルカナイズ・ロンドン〈フォックス・アンブレラ〉)
左から¥32,000・¥311,000・¥36,000(ヴァルカナイズ・ロンドン〈フォックス・アンブレラ〉)

英国王室愛用の傘として知られるフォックスアンブレラ。彼らを語る上で忘れてはいけないのが、スチールフレームなど、現在の傘の礎を築いた老舗であり、世界で初めてナイロン素材の傘を生み出した、技術的にも優れたブランドであるということだ。そして、何より細く仕上げられ、閉じた際に浮かび上がるエレガントな佇まいにより、傘の地位を向上させた功績は大きい。ステッキ然としたその一本を手に取れば、歩く姿も気品に満ちたものとなろう。

イタリア|手にすればモノ作りをより実感する手作り傘

¥36,111(コンドッティ 南青山〈マリア フランチェスコ〉)
¥36,111(コンドッティ 南青山〈マリア フランチェスコ〉)

比較的温暖で雨の少ない地中海性気候に属するイタリアにおいて、傘はややイメージが湧かないかもしれない。ただ、マリア フランチェスコの作る一本は、こだわり抜いた上質な素材を使い、伝統的技法によって作られる。それはまさにイタリアのモノ作りを表しているかのようで、その信念は1854年の創業以降、頑なに守り続けられているのである。昔からヨーロッパでは、お気に入りの傘は親から子へと代々受け継がれていく風習がある。そこには、必ずと言っていいほど同社の一本を目にすることができるのだ。

※価格はすべて税抜です。

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TEXT :
MEN'S Precious編集部 
2018.6.22 更新
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小林孝至(itarustudio)
STYLIST :
水野陽介
WRITING :
菊池 亮