公開前のプレミア上映会で、「メインキャストが美しすぎる」と話題が集中した新作映画『Ocean's 8(オーシャンズ8)』。ファッションの祭典「メットガラ」を舞台に、女性犯罪集団の完璧な犯罪計画を描くストーリーのなかでは、それぞれの配役に合わせたスタイリングにも注目されています。

映画のお披露目を兼ねて登場したレッドカーペットでの装いは、遠い世界の事と思われがちですが、ドレスアップのトーンを少し落とせば、ちょっとしたお呼ばれやパーティ-向きの着こなしに生かせるテクニックや工夫が、いくつも見つかります。特別なおしゃれシーンに招かれる女優やセレブリティーならではのスタイリングには、普段のコーディネートにも拝借したくなる大技・小技が詰まっているのです。

今回は、Anne Hathaway(アン・ハサウェイ)やCate Blanchett(ケイト・ブランシェット)をはじめ、8人のメインキャストたちが披露した華やかなスタイルから、デイリーにも役立つ着こなしの新ルールを読み解いていきます。

『オーシャンズ8』メインキャストから学ぶ!ファッションの新ルール8

■1:黒アンクルパンツがすっきり見せの立役者

Cate Blanchett(ケイト・ブランシェット)
メリハリボディーを演出するボリュームトップス×ウエストマーク術

大女優のCate Blanchett(ケイト・ブランシェット)は、黒のアンクル丈パンツという、定番的なボトムスをあでやかな装いに生かしました。ふわふわフェザーのトップスで上半身に量感を出して、ウエストを黒ベルトでマーク。フェザーの揺らめきが華やかさを添えながらも、メリハリの豊かなボディーラインを描き出しました。

華やかな場でも黒パンツをドレスアップさせるテクニックとして、このコーデはお手本になります。トップスにドラマティックなデザインやボリュームのリッチなタイプを持ってくると、レッグラインをシャープに演出できます。

■2:ジャンプスーツでアクティブグラマラス

Sandra Bullock(サンドラ・ブロック)
着こなしにリズムを添えてくれる、不規則なストライプ

主役を演じたSandra Bullock(サンドラ・ブロック)は、レバノン出身デザイナーのブランド「Zuhair Murad(ズハイル・ムラド)」のジャンプスーツに身を包みました。レッドカーペットはドレスがお約束ですが、最近は気負わないムードに加え、転びにくいパンツルックも増えてきました。スパンコールの不規則な太ストライプが縦長シルエットを引き立てています。

メタリック演出を取り入れるには、このようなアートモチーフを選ぶのが賢い選択です。普段の装いに生かすなら、トップスやボトムスなど1点だけに迎えるのが試しやすいでしょう。

■3:エスニック柄は色数控えめに

Anne Hathaway(アン・ハサウェイ)
コンパクトなフェイス周りを印象づける、ホルターネックデザイン

この映画はサンドラをリーダーとする、盗みの女性プロ8人のあざやかな犯行を描いています。盗むターゲットとなるダイヤモンドネックレスを付ける大物女優役に扮しているのが、Anne Hathaway(アン・ハサウェイ)です。「Jean Paul Gaultier(ジャンポール・ゴルチエ)」のドレスは、抽象グラフィカルなエスニック風の模様が目をひきます。ホルターネックで上半身を華奢に見せています。

Aラインのワンピースは裾に向かって広がるので、モノトーン系の配色ですっきり見せるのが得策です。エスニック柄のワンピースを着るときは、クラシカルなイヤリングやバッグでクラス感を高めて、バランスを取ると、着て行けるシーンが広がります。

■4:大人ピンクは流麗シルエットで

Sarah Paulson(サラ・ポールソン)
視線を散らし体型カバーの効果をも発揮してくれる、アシンメトリーフォルム

女優のSarah Paulson(サラ・ポールソン)は、総ピンクでフェミニン度の高い、「Valentino(ヴァレンティノ)」のドレスをまといました。斜めに流れ落ちるような、ティアードライクなカッティングが施されていて、流麗なムードを醸し出しています。ピンクはガーリーなイメージがありますが、アシンメトリーなシルエットが甘さを遠ざけています。

大人女性がピンクを着こなしに取り入れるメリットとして、優しげなイメージを演出できたり、フェイス周りを明るく見せてくれたりといった効果があります。「ピンク=甘い」というイメージではなく、ピンクをエレガント&シックに着こなすと意識すれば取り入れやすくなるでしょう。

■5:白ドレスは肌隠しフェミニンに

Awkwafina(オークワフィナ)
凛としたイメージを呼び込んでくれる、全身で「白」マジック

韓国系アメリカ人のラッパー、Awkwafina(オークワフィナ)は、レバノン出身デザイナーのブランド「REEM ACRA(リーム アクラ)」の純白ドレスで登場しました。もともとブライダルドレスに強いブランドだけに、清楚なたたずまいがレッドカーペットで異彩を放っています。そして、きれいな落ち感がエレガンスを漂わせます。

肌を見せないけれど、フェミニンを薫らせるこのようなドレスは近ごろ、人気になってきています。白は涼しげに見えるので、これから真夏に向けてデイリーに着こなせそうな白ワンピースを探してみてはいかがでしょう。

■6:黒ドレスにはジュエリーオン

Mindy Kaling(ミンディ・カリング)
黒ドレスではジュエリー使いが肝心

アメリカのコメディエンヌ、Mindy Kaling(ミンディ・カリング)も、肌が隠れているのに、エレガンスを感じさせるロングドレスを選びました。ほのかな透け具合がリュクスを漂わせます。黒いドレスはどんなシーンにもなじませやすい万能ドレスといわれますが、没個性にも映りがちなので、ジュエリーやアクセサリー使いが大切になってきます。

ウエストのベルトや手首のブレスレットなどを、調和するデザインでまとめたのは賢いアレンジです。全体の統一感を保ちながらも、視線が分散して、単調に見えにくくなります。ベルトやブレスレットは細感を強調したい部分に巻くと効果的です。

■7:シルバーにレトロ風味を添えて

Helena Bonham Carter(ヘレナ・ボナム=カーター)
ノーブルな肌演出が女性らしさを際立たせる、デコルテ魅せテクニック

ベテラン女優のHelena Bonham Carter(ヘレナ・ボナム=カーター)は、「Vivienne Westwood(ヴィヴィアン・ウエストウッド)」のクチュールラインのドレスで貴婦人の出で立ちです。デコルテだけを露出した控えめな肌見せがかえってエレガントな風情。まばゆいカラーリングでも、シルバー系はゴールドに比べると、くどくないので、普段の着こなしにも取り入れやすくなります。

懐かしさと未来感を兼ね備えた「レトロフューチャー」のテイストがトレンドに浮上しています。シルバーはこのテイストに交わらせやすいので、さりげなくバッグや靴でシャイニー感を取り入れてみるのもいいでしょう。

■8:つや消しゴールドで大人スパイス

Rihanna(リアーナ)
赤のネイルとリップが映える、ゴールドという選択

歌姫のRihanna(リアーナ)は「Poiret(ポワレ)」の大胆なゴールドドレスをまとって、お披露目に最高の華やぎをもたらしました。まばゆいゴールドはなかなか服では取り入れにくい印象がありますが、少しいぶしを加え、きらめきを抑えた色味は大人コーデの選択肢になります。

ツイードに入った金糸のような、目立ちすぎない使い方や、アンティークジュエリーのような鈍い輝きのアクセサリーは割と付き合いやすいゴールドです。こういった、くどくない見え具合の「大人ゴールド」なら、手抜きに見えがちな夏ルックのスパイスに役立ちそうです。

視線が集まることを前提にした、レッドカーペットのような晴れ舞台での着こなしは、主張やくどさを引き算するだけで、記念日ディナーやお招き事の装いに転用できます。『オーシャンズ8』では主要キャストのキャラクターを、それぞれのファッションが表現することになるので、劇中の着こなしも今から気になりますね。

映画祭や映画賞、プレミア上映の際には、最新トレンドを盛り込んだ装いがたくさん披露されます。これからは、デイリーにも役立つおしゃれのヒントをもらえる絶好の機会として、巧妙な着こなしテクニックに注目してみてください。

この記事の執筆者
多彩なメディアでランウェイリポートやトレンド情報、着こなし解説などを発信。バイヤー、プレスなど業界での豊富な経験を生かした解説が好評。自らのTV通版ブランドもプロデュース。TVやセミナー・イベント出演も多い。著書に『おしゃれの近道』『もっとおしゃれの近道』(学研パブリッシング)がある。
PHOTO :
AFLO
WRITING :
宮田理江
EDIT :
石原あや乃