夏の風物詩・スイカ。甘くて水分たっぷりで、この時期とても食べたくなりますよね。でもスイカを食べるには、かぶりついたり、種を出したり、手に汁が垂れてきたり……ちょっと大変なことも。そんなスイカが、ビジネスでの会食やパートナーの実家へ帰省したときに出てきたら……。あなたはどうやって食べますか?

そこで今回は、マナースクール ライビウム代表の諏内えみさんにお話を伺いました。

「何を召し上がるにもシチュエーションや相手・場所によって、そこにふさわしいマナーというものが存在します」と話す諏内さん。知っているようで意外と知らないスイカのおいしい食べ方や、サーブするときの食べやすい切り方について、ご紹介します。

シチュエーションに合わせた、スイカの上品な食べ方とは?

夏らしいスイカの食べ方をみていきましょう
夏らしいスイカの食べ方をみていきましょう

■1:ナイフとフォークがある場合は、メロンのようにいただく

——まずは、ナイフとフォークが出てくるようなかしこまったシーンでの食べ方について教えてください。

「一般的にスイカは三角で出されることが多いと思います。その場合はまず、ある程度安定する場所を左手のフォークで刺します。このとき、フォークで刺すのはてっぺんではなく、皮に近いところを抑えた方が安定するのでいいでしょう。そして、右手でナイフを皮と実の間に入れ、剥がしていくように横(皮に対して水平)に切っていきます。このとき、皮と実を切り離さないように、最後まで切ってしまわず少し残すのがポイントです。その後、180度くるりとスイカを回し、切れ目が入っている方を左側に持っていきます。左側から食べやすい大きさに切りながら食べていきましょう。メロンと同じ食べ方と思っていただくとわかりやすいかもしれません」(諏内さん)

ナイフとフォークがある場で出てきたスイカは、皮と実を剥がすようにナイフを入れます
ナイフとフォークがある場で出てきたスイカは、皮と実を剥がすようにナイフを入れます

——では、ナイフやフォークがない場合はどう食べたらよいのでしょうか?

「スプーンがあれば、左手を添えて、押さえながら食べていくのが理想的です。スプーンもない場合は、かぶりつくしかありません。カジュアルなシーンで、ひとりだけナイフやフォークを使うことは、かえってマナー違反になることもあります。周りやシチュエーションに合わせるということが何より大切なマナーです」(諏内さん)

■2:気になる種はナプキンや懐紙を使って出すのがベター

——スイカを食べる際、最も気になるのは種の出し方だと思います。エレガントな種の出し方とは、いったいどんな方法なのでしょうか?

「『人に不快な思いをさせてはいけない』ということが大前提になります。種を出している姿をおもむろに見せないようにすることが大切です。よく左手を握って、その中に吐き出すという方法を勧める方もいらっしゃいますが、それでは結局手の平に種と一緒に汁がついてしまい、女性にはあまり美しくないかと思います。

そこで、ナプキンや懐紙を使うと、とても上品です。それらで口元を覆いながら、指先などでナプキンにそのまま出されてもいいですし、指先にちょっと添えて取り、お皿に置いても結構です。お皿に出した種は1か所にまとめ、最後にナプキンを小さく折りたたんで種を覆い、食べたあとも美しくすることを心掛けましょう。それがサーブしてくれた方や調理してくれた方への思いやりにもなります」(諏内さん)

ナプキンや懐紙を使って口元を覆いながら種を出しましょう
ナプキンや懐紙を使って口元を覆いながら種を出しましょう

「また、食べ終わったあとの皮は上を向けておくよりも、横にするか伏せて、食べたところを見せなくすると品があってよいと思います」(諏内さん)

スイカを出すときは、食べやすさ抜群のスティック状がオススメ!

——スイカを出す際、いつもワンパターンにオーソドックスな三角形や1/8カットなどで出してしまうという方も多いようです。出された側が躊躇なく食べられるような気の利いた切り方ってあるのでしょうか?

「今、ネットなどでも人気になっている切り方でおすすめの方法があります。まずは1玉を半分に切り、切り口が下になるようまな板の上に伏せて置きます。そしてお好みで4~5㎝角の格子状になるように切っていきます。すると上からスポッとスティック状に引き抜くことができ、アイスキャンディーのように手を汚さずに食べることができるんです。私自身、中国に行ったときにこの切り方を教わりました。見た目も華やかなので、ホームパーティーの際などぜひ試してみてください!」(諏内さん)

 

スイカをスティック状に切る方法(動画の説明は英語です。You Tubeより掲載)

マンゴーは3枚におろしてさいの目に。スイカ以外の夏のフルーツおすすめの食べ方は?

——スイカのほかに、夏のフルーツのおすすめの食べ方を教えていただけますか?

「夏らしい南国フルーツのマンゴーとキウイについて、マナーというよりは食べやすさを重視した切り方をご紹介させていただきます。

まずはマンゴーですが、中央の種部分と両端の果肉部分を3枚におろします。その後、果肉部分に格子状に包丁を入れます。このとき、皮まで切らないようにしてください。皮の部分を裏から押すようにくるっと反り返らせると、さいの目状に果肉が出てきます。ちょうど一口サイズとなり、フォークやスプーンでおいしくいただけます」(諏内さん)

マンゴーは3枚におろして格子状に切り込みを入れると、皮を反り返したときに見た目も華やかになります
マンゴーは3枚におろして格子状に切り込みを入れると、皮を反り返したときに見た目も華やかになります

「栄養満点のキウイは、半分に切ってスプーンでプリンのように召し上がるのがベストです」(諏内さん)

キウイは半分に切ってスプーンでいただきましょう
キウイは半分に切ってスプーンでいただきましょう

「実は、ニュージーランドやオーストラリアなどキウイの本場では、皮ごと食べてしまうんです! 郷に入れば郷に従えではないですが、前述したとおり周りに合わせるのもひとつのマナー。シチュエーションや目上の方がどう食べているのかなど、常に気を配ることが大人の女性には求められると思います」(諏内さん)


女性にとっては人前で少々食べにくいスイカなどのフルーツも、今回学んだ基本的なマナーやテクニックを用いて、上品においしく味わいましょう。

 
 
諏内えみさん
マナースクール ライビウム代表
(すない えみ)オーダーメイドのプライベートレッスンをはじめ「美人の角度」「美しい立ち居振る舞い」「会話力アップ」やテーブルマナー講座などを開催。映画やドラマでの女優のエレガント所作指導でも活躍。メディア出演多数。
 
 
著書『オトナ女子のための 美しい食べ方マナー』
食後の“お皿”、キレイですか?

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この記事の執筆者
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WRITING :
田代祐子
EDIT :
廣瀬 翼(東京通信社)