皇室御用達、前原光榮商店の「日傘」とは?

実用性と趣向性を兼ね備えた、前原光榮(まえはらこうえい)商店の日傘。道具としての用を極めながら、装いとしての美も追求している、この傘の魅力に迫ります。

長く使ってこそわかる道具と嗜好品の絶妙なバランス
日傘『インディアンヘッド』 オフホワイト、ブラック 各¥16,200 [Precious2018年8月号250-251ページ] 

長く使ってこそわかる、道具と嗜好品の絶妙なバランス

皇室御用達の傘で知られる「前原光榮商店」。傘の量産化が進み、安価な傘が出回るなか、あえて「差すのが楽しくなるような、高品質で長く使える傘を」と、前原光榮氏が1948年に創業。絹の生地にろうけつ染めで草木を描いた傘など、手のかかる製法でコスト度外視、少量ながら品質にこだわった手づくりの傘は、工芸品として注目され、コレクターにも人気だったとか。

「この日傘は、当時のデザインを引き継いだもの。日差しを除ける道具としての役割を果たしながら、閉じても開いても美しいデザインはさすがです。特に、閉じた状態で輪っかの手元(持ち手)を、ハンドバッグのように手に持ってチャーミングに決まるのは、趣向性の高いデザインならでは」とは、スタイリストのチズさん。

生地、傘骨(かさぼね)、手元、加工(生地の断裁と縫製、組み立て)と、日本の傘づくりが始まった当初から続く分業制とその工程、100以上。すべてが高い技術をもつ、職人による手作業です。

「細部まで妥協しないていねいなつくりは、長く使ってこそ実感できるもの。これも名品の条件です」(チズさん)

  • ころんとした輪っかの手元は楓の一刀彫前原光榮商店の日傘の象徴ともいえる、パラソルのような輪っかの持ち手。素材は使うほどにツヤと味が出る楓。素材、形ともに、好みのパーツを選ぶこともできるが、昔から変わらないこの形が一番人気。オレンジ色の露先も当時の形を維持、彩りを添えています。
  • 強度と美しさにこだわった10本骨雨傘、日傘とも一般的な傘骨は8本だが、前原光榮商店の雨傘は16本、日傘は10本が基本。風にも強いという強度面のメリットはもちろん、開いたときのシルエットの美しさに驚きます。
  • 開いた時にわかる円形に近いフォルムざっくりとした麻のような風合いの厚手の生地は、綿の番手の太い糸を使用。定番のオフホワイト、ブラックのほか、鮮やかなイエローやレッド、シックなベージュやグレーなど全22色。

※掲載した商品の価格は税抜です。

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PHOTO :
赤尾昌則