いま、誰もがもつといわれる人間関係の悩み。仕事でも、プライベートでも、人と良い関係を築くことができたなら、何事もうまくいくものです。おもてなし協会の代表理事である直井みずほさんは「普段、誰かと会話をするとき、相手に合わせたコミュニケーションを行うことができれば、相手の好感と安心感があなたへの強い信頼感となる」と話します。そして、その強力な信頼関係を築くための「察し術」があるのだそう。

そこで今回は、相手の視線と手の動きから、相手の心を“察する”術を学んでみましょう!

相手の視線の動きで「心を察し」、気配りアップ!

直井さんによると、人の「視線」「目の動き」というものは、そこから強力なメッセージを読み取ることができるのだそう。

目は口よりもおしゃべり
目は口よりもおしゃべり

「おもてなしの心が流れる日本では、言葉にわざわざしなくても察する文化が根付いています。相手の心を汲み取ることが当たり前、表面化していない部分への理解が必要です。人は、気持ちをわざわざ言葉にするのは少ないのですが、何かしらその気持ちのサインを伝えています。心の状態を示す強力なメッセージを汲み取るアプローチの仕方で、気持ち良いコミュニケーションを取りましょう。

『目は心の鏡』『目は口ほどにものを言う』と言われるように、目は特に気持ちが表れやすく、目の開き、動き、視線の方向から相手の内面を深く知ることができます。会話は、相手と目を合わせて行っていくものですが、相手の視線の動きを観察し、相手に合わせたコミュニケーションで人間関係を深めていきましょう」

目の動きに注目!こんな人にはこんな対応を!5つのポイント

直井さんに、相手の視線の動きによる相手の心と共に、その心に合った適切な対応方法を教えていただきました。

目線だけで人の心が読める?
目線だけで人の心が読める?

■1:視線を下にそらす

「人がテーブルや床に視線を落としたまま話をするのは、気が弱く、相手を怖がっている場合です。そんなときは気遣い、優しく話しかけましょう。また、『どうしようかな』『どうすればいいかな』と考える思考状態のときも視線が下に動きます。相手が考えをまとめているときには、本人の左下に視線が動いて思考にアクセス中。集中して考えを明らかにできるように会話を続けず、少し待って、会話を進めるようにしましょう」

■2:左右に視線をそらす

「壁や左右に視線をそらす人は、相手に好意を持っていないか、拒否する動きです。急に近づかず、適度な距離を保ちましょう」

■3:目をキョロキョロさせる

「相手に対し不安感があり、落ち着けない状態です。世間話などをして相手をリラックスさせましょう」

リラックスさせるために温かいお茶でも
リラックスさせるために温かいお茶でも

■4:視線を上にそらす

「過去の経験を思い出すときには左上に視線を動かします。またイメージを膨らませ、何かをイメージしているときには、右上に視線を動かすことがあります。いずれにしても、視線を上にそらしたら、矢継ぎ早に質問を投げかけない、話を進めない、少し時間を与えることが必要です」

■5:まばたきが増える

「目の動きだけでなく、まばたきの度合いにも注意です。まばたきは緊張の表れ。会話の途中でまばたきが増えたときは、話の内容が相手にとって緊張を強いられるものと思って、上手に話題を変えましょう」

手の動きに注目!こんな人にはこんな対応を!3つのポイント

直井さんによると、目の動きのほか、もうひとつ、相手の心の声を伺うサインがあるのだそう。それは手の開き方。どういうことなのでしょうか?

相手の細かな動作にも気を配って
相手の細かな動作にも気を配って

「手の開き具合により、心の開き度、話の受け取り度がわかります。心の解放度が下がっていくと、開いている手が徐々に閉じられていきます。机を挟んで相手と対話しているとき、相手の手が机の上に置かれていたなら、その手の動きによって、会話のアプローチを変えるとスムーズです」

■1:指を広げている、手が自然に開かれている

「リラックスして話を好意的に受け取っています。今までの会話の仕方で話を進めましょう」

■2:手を軽く握っている

「相手に不信感が芽生えると、開いている手が徐々に閉じられていきます。軽く握っていて力が入っていなければ、まだ受け入れる余地が残っています。アプローチを変えて様子を伺いましょう」

■3:こぶしを固く握っている

「力を入れて手を握るのは、強い拒絶のサイン。これ以上話を聞きたくないと思っているので、早めに切り上げ、後日改めて場をセッティングしましょう」

マスターできればプライベートだけでなく、ビジネスの場面にも応用できる心を”察する”術
マスターできればプライベートだけでなく、ビジネスの場面にも応用できる心を”察する”術

いかがでしたでしょうか。人のちょっとした視線、目の動きや手の動きが、相手の心理を表していたとは驚きますね。ビジネスの応対や接待、接客などにも応用できそうです。ぜひ意識してみましょう。

直井みずほ氏
直井みずほさん
おもてなし協会代表理事、おもてなしエバンジェリスト、マナーマイスター
(なおい みずほ)御三家ホテル、航空会社にて多くのVIPをおもてなし。おもてなしをつなぐひろげることをテーマに「おもてなしコンシェルジュ認定資格」も行うおもてなし協会を設立。コミュニケーション、マナー等出版本多数。世の中に笑顔溢れあたたかくするおもてなしコンシェルジュの育成やおもてなしに関するコミュニティ・セミナーに注力している。
おもてなし協会
おもてなしコンシェルジュ認定資格
この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
WRITING :
石原亜香利