ヴィクトリア女王時代、数多くの植民地を支配し、大英帝国はその絶頂期を迎えた。英国紳士のイメージと、英国風の男性服のルールは世界中に普及し、女王に続くエドワード7世とジョージ5世もそのイメージとルールの定着には大いに貢献した。

メンズファッションを革新させたウィンザー公!

紡毛スーツの素材感に合わせたスエード靴に注目!

ウィンザー公が着ているのはフランネルとおぼしきストライプスーツ。アクセントである小紋柄のタイが、華やかさを演出している。注目すべきは足元だ。この時代のドレスコードでは表革の靴を合わせるのが一般的。公はあえてスエード靴を合わせている。紡毛系スーツとの素材感をそろえたスエード靴で装う公式は、実は彼から始まったのだ。写真:Press Association/アフロ
ウィンザー公が着ているのはフランネルとおぼしきストライプスーツ。アクセントである小紋柄のタイが、華やかさを演出している。注目すべきは足元だ。この時代のドレスコードでは表革の靴を合わせるのが一般的。公はあえてスエード靴を合わせている。紡毛系スーツとの素材感をそろえたスエード靴で装う公式は、実は彼から始まったのだ。写真:Press Association/アフロ

しかし、第一次世界大戦とそれに続く時代に、イギリスとイギリスの紳士服を支配しようとしていたのは、もっとルールから自由で、くつろいだ、気楽なムードだった。王太子デイヴィッドこと、後のエドワード8世、あるいはウィンザー公は、そんな時代の象徴だ。

王太子時代から親しみやすい人柄の公は、政治家たちの「これで王が務まるのか」という懸念をよそに、国内外で大いに愛され、一種アイドル的人気を獲得した。服装もしかりで、ウィンザーノットやウィンザーカラーは言うに及ばず、ヌバックのウィングチップ靴、フェアアイルセーター、ツイードのジャケット、千鳥格子、グレンチェック……その多くが、父王ならば眉をひそめるような、保守的なルールを破るものであったにもかかわらず、巧みに流行を捉え、いちいち注目された。

ただ、気をつけなくてはいけないのは、公がただ流行の先端をいっただけではない、ということだ。若いころからサヴィル・ロウにひいきの仕立屋をもっていた公は、正しい男性服とは何かについても造詣が深かった。だから、流行の中から、後の世にクラシックたりうるものと、歴史のあだ花に終わるものを見極める、識者の目を持っていた。

ウィンザーなんとか、と異名をもった装いが、再評価を受け、あるいは定番として根付いているのを目にするたびに、わたしたちはウィンザー公の見極めがいかに正しかったかを思い知らされる。

Profile
Duke Of Windsor
1894~1972年。1936年、国王に即位するも「世紀の恋」と呼ばれる事件によって、同年自ら退位。ウィンザー公爵となる。英国メンズファッションの伝説的なアイコンだ。

※2011年秋号取材時の情報です。

この記事の執筆者
名品の魅力を伝える「モノ語りマガジン」を手がける編集者集団です。メンズ・ラグジュアリーのモノ・コト・知識情報、服装のHow toや選ぶべきクルマ、味わうべき美食などの情報を提供します。
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