4月に開催された時計の祭典「ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ 2024」で「ヴァシュロン・コンスタンタン」が発表したのは、芸術性の高さに魅了される『エジェリー』の詩情溢れる最新作。

現地を訪れ、いち早く実物に触れて取材した、ウォッチ&ジュエリー ジャーナリストの本間恵子さんが、その魅力を余すところなくお伝えします。

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「ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ 2024」で発表された時計『エジェリー・ザ・プリーツ・オブ・タイム(コンセプトウォッチ)』

夢見るように美しく香り立つ、艶麗のコンセプトウォッチ

世界最大級の時計見本市「ウォッチズ&ワンダーズ」の開催に沸くジュネーブで、老舗ウォッチメゾン「ヴァシュロン・コンスタンタン」が発表したのは『エジェリー・ザ・プリーツ・オブ・タイム』。

気鋭のオートクチュールデザイナー、イーキン・インと調香師、ドミニク・ロピオンとのコラボレーションで、エレガンスを極めたコンセプトウォッチをつくり上げました。見る角度によって表情を変える文字盤は、甘やかなライラック色。

イーキンが選んだ「はかない白昼夢のような、女性らしく繊細な色合い」を、上質なマザーオブパールで実現しています。クチュールドレスのプリーツを思わせる放射状の意匠は、ギョウシェと呼ばれる伝統技法で彫刻されたもの。そして丸い小窓にはピンクゴールドの月が浮かび、夜空を巡って月の満ち欠けを教えてくれます。

さらにストラップには手作業で刺繍が施され、マザーオブパールのかけらが縫い留められています。

この作品で表現したかったのは、「時間からの解放」だとイーキンは語ります。

どこまでも優雅なこの作品には、もうひとつの魅力が。

著名な調香師ドミニク・ロピオンが、時をイメージした4種類のフレグランスをこの作品のために調香しているのです。フレグランスは目に見えない極小の粒子となり、刺繍が施されたストラップに縫い込まれ、時計を身につけることで粒子が壊れると、ミステリアスな甘い香りがふわりと立ち上るのです。

時を告げ、また時を忘れさせてくれる、官能的な『エジェリー・ザ・プリーツ・オブ・タイム』。高級時計製造とオートクチュール、パフュームを融合させた、世界にたったひとつのアートピース。

名門「ヴァシュロン・コンスタンタン」の美意識が、ここに結実しています。

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北京で生まれ、4歳からパリで暮らすイーキン・インは、パリ・クチュール組合に正式加盟する実力派オートクチュールデザイナー。近年はアートシーンでも活躍中。
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著名ブランドのフレグランスを手掛けてきた調香師ドミニク・ロピオン。多数の受賞歴を誇る香水界のレジェンド。

ライラック色の艶めきは、どこまでもラグジュアリーに

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高級時計製造の粋を注いだ2024年の最新作。時計/右『エジェリー・ムーンフェイズ』[PG×ダイヤモンド、ケース径37mm、ライラック色のアリゲーターストラップ、機械式自動巻き/ほか2本の替えストラップ付き]¥6,160,000/世界限定100本、予価・左『エジェリー・ザ・プリーツ・オブ・タイム(コンセプトウォッチ)』[PG×ダイヤモンド、ケース径37mm、マザーオブパールと刺繍入りカーフレザーストラップ、機械式自動巻き]/非売品(ヴァシュロン・コンスタンタン)

ヘリテージピースからも想を得た、ロマンあふれるムーンフェイズ

ジュネーブで発表され、センセーションを巻き起こした前述のコンセプトウォッチのほかに、「ヴァシュロン・コンスタンタン」は100本限定のスペシャルな『エジェリー・ムーンフェイズ』も発表。

こちらは香りはしませんが、同じように上質なダイヤモンドをあしらい、文字盤にプリーツをイメージしたマザーオブパールにギョウシェ彫りが施されています。このため、見る角度によって文字盤が月の光のようなニュアンスを帯び、センシュアルなライラック色を楽しませてくれるのです。

このモデルのもうひとつの魅力は、自分で簡単にストラップを交換できること。メゾンが開発した独自のインターチェンジャブルシステムによって、爪を痛めることなくストラップの着脱が可能です。

付属するストラップは、イーキン・インがこの時計のために選んだパウダーピンクのグレイン仕上げカーフスキン、ライラックのアリゲーター、ミッドナイトブルーのサテンストラップの3本。

彼女のクチュールに使われるパステルトーンにも似たニュアンスのあるストラップの色彩が、全体のムードを鮮やかに変化させます。

そしてコンセプトウォッチとも共通するのは、ムーンフェイズという機構が組み込まれていること。2時位置の小窓の中にはマザーオブパールの雲がかかり、その向こうに月が顔を出して、また隠れます。三日月や満月、新月など、空にかかる月の位相を表示するこの機構も、イーキンのお気に入りなのだそう。

「私の場合、現在時刻を知るために時計をつけているのではありません。私にとって月は心の扉を開き、創造的なインスピレーションを与えてくれる存在です。心に訴えかけてくる何かがあるから、ムーンフェイズを選んだのです」とイーキン。

中心軸をあえてずらし、2時位置にムーンフェイズを配したデザインは、「ヴァシュロン・コンスタンタン」がかつて手掛けた女性用の懐中時計にも見られると語るのは、メゾンのプロダクト&イノベーションディレクター、サンドリン・ドンガイ。

「19世紀末からメゾンは女性用の時計を手掛け、女性のために並外れたクリエイティビティを発揮し続けてきました。その流れを受け継ぐものこそ『エジェリー』なのです」。

ライラック色のオーラを放つ『エジェリー・ムーンフェイズ』は、女性たちに寄り添うメゾンの心意気でもあるのです。

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数量限定モデル『エジェリー・ムーンフェイズ』は、ストラップを交換すると表情の変化が楽しめる。右から、ミッドナイトブルー、ライラック、パウダーピンクの、素材が異なる3本のストラップが付属。
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「ヴァシュロン・コンスタンタン」で2018年からプロダクト&イノベーションディレクターを務めるサンドリン・ドンガイ。ラグジュアリーなものづくりのスペシャリストで、新作開発に女性らしい視点を加える。

※文中の表記は、PG=ピンクゴールドを表します。
※掲載商品の価格は、すべて税込みです。

問い合わせ先

ヴァシュロン・コンスタンタン

TEL:0120-63-1755

PHOTO :
VACHERON CONSTANTIN
WRITING :
本間恵子
EDIT :
下村葉月、安村 徹(Precious)