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  • 大西真理子
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Van Cleef & Arpels ヴァン クリーフ&アーペルの ラッキー・モチーフ物語 Vol.6
Van Cleef & Arpels ヴァン クリーフ&アーペルの ラッキー・モチーフ物語 Vol.6

『女優・大政 絢さんが幸福感とともにまとう
5つのラッキー・モチーフ』

幸せの象徴とメゾンの
クリエーションの密なる歴史

自然と愛に満ちた、幸福のジュエラー「ヴァン クリーフ&アーペル」。
数あるコレクションの中でも、身につける人を豊かな気持ちに誘うさまざまなラッキー・モチーフは、長いメゾンの歴史のなかでもクリエーションの源として大切にされてきました。

美しい季節の情景を映し出した『ラッキー スプリング』や、そよ風の中で踊る花々をグラフィカルに模した『フリヴォル』をはじめ、四つ葉のクローバーをモダンに描く『アルハンブラ』、光という現象に遊び心をもたらした『ペルレ』、そして壮大な宇宙への畏敬が込められた『ゾディアック』と、表現方法は多岐にわたりますが、どのコレクションも誕生以来、現在まで変わらずに、愛され続けている名作です。

この5つのラッキー・モチーフを、女優・大政 絢さんがノーブルな佇まいで表現。
それぞれのコレクションの背景を知ることで、ジュエリーを身につける喜びを、より深く感じて…。

1.Lucky Spring ラッキー スプリング

1.Lucky Spring ラッキー スプリング

春の訪れを祝福する
花とてんとう虫の戯れ

新しい季節が到来する、穏やかな風景を描いたのが『ラッキー スプリング』コレクション。再生と復活のシンボルである「プラムの花」や、幸せをもたらす「スズラン」、そして古くから幸運を象徴する生き物とされている「てんとう虫」を組み合わせることで、春の情景がピュアに表現されている。ホワイト マザーオブパールの清らかな輝き、そしてカーネリアンとオニキスの鮮やかな発色が、自然界の色彩を瑞々しく描いて。

2.Frivole フリヴォル

2.Frivole フリヴォル

「花」という永遠の存在が
美と生命力を象徴する

『フリヴォル』コレクションの印象的なハート型の花弁をもつフラワーは、具体的な種類を指すものではなく、「花」という存在そのものを表している。メゾンがこれまで着想源としてきたさまざまな花の集大成であり、抽象的であるからこそ、イマジネーションが広がって。手元に、耳元に咲き誇るグラフィカルな花々は、自然がもたらす美の瞬間をとらえたかのよう。繊細なダイヤモンドとミラーポリッシュされたゴールドが、清廉無垢な輝きをたたえて。

3.Arhambra アルハンブラ

3.Arhambra アルハンブラ

モダンな四つ葉のクローバーが
新しいジュエリーの世界を開く

幸運のモチーフである四つ葉のクローバーからインスピレーションを得た、アイコニックなコレクション。誕生したのは1968年だが、それまでのジュエリーの主流であった装飾的なデザインとは異なるミニマルな佇まいで、当時のファッションの時流に沿った、日々楽しめるジュエリーとしての立ち位置を確立した。モチーフ自体はシンプルだけれど、マザーオブパールなどの天然素材や、ギヨシェ彫りといった装飾が、華やかな表情を生み出す。

4.Perlee ペルレ

4.Perlee ペルレ

燦然と輝く光の姿を
ゴールドビーズで抽象的に表現

『ペルレ』コレクションは、もともと貴石やモチーフを縁取るために用いられていた伝統的な装飾自体に、焦点を合わせたコレクション。細やかなゴールドビーズが、まばゆく煌めく光を遊び心たっぷりに表現している。さらにマラカイトなどのオーナメンタルストーンと組み合わせることで、輝きはより鮮やかに。メゾンの歴史を継承しながらも、モダンでシンボリックに昇華されたデザインが、洗練されたスタイルを導き出してくれる。

未知なる天空への憧れを
12星座の立体彫刻に込めて

メゾンがインスピレーション源として大切にしている、自然と天文学を融合した、ロマンティックなコレクション『ゾディアック』。12星座をゴールドのメダルにあしらうことで、身につける人にとって特別な意味を秘めたジュエリーに。各モチーフは、立体絵画のように緻密な彫刻で詩的に表現され、胸元をスペシャルに彩ってくれる。各星座に投影されているのは、人類が永遠に憧れる、宇宙という壮大な世界。自然が生み出した最大の奇跡を、美しいジュエリーに閉じ込めて。

ヴァン クリーフ&アーペルを代表する5つのラッキー・モチーフを、女優・大政 絢さんがノーブルな佇まいでまとうスペシャルムービー。生き生きとした動きの中で輝きを増す、ジュエリーの魅力を堪能して。

公開済みのコレクションはこちら

過去公開分Vol.01『ラッキー スプリング』

春の訪れを祝福する
多幸感溢れるコレクション

春の到来を、詩情豊かに表現した『ラッキー スプリング』は、新しい季節への期待がふくらむ、穏やかな情景を描いた絵画のよう。このコレクションは、“ヴァン クリーフ&アーペル”が大切にしている、自然への敬意と愛を具象化させています。メゾンの精神でもある詩的な世界観とポジティブな人生観が、愛らしいジュエリーへと昇華されて。輝きに満ちた優美な姿は、身につける人を、幸福感で包み込んでくれることでしょう。

キーモチーフとなるのは、古来から幸運を象徴する生き物である「てんとう虫」、再生と復活のシンボルとされる「プラムの花」、そして贈られた人に幸運をもたらすといわれる「スズランの花」。ジュエリーに用いた素材は、これらのモチーフをいきいきと表現するために、自然界がもたらす色彩を厳選。カーネリアンやオニキス、ホワイト マザーオブパールを、ローズゴールドと調和させることで、「春の訪れ」という現象を、美しいジュエリーに映し出しています。また、この『ラッキー スプリング』のように、季節がもたらす自然の変化から、作品づくりのインスピレーションを得ていると語る、俳人の小津夜景さんへのインタビューも実現しました。

愛らしいてんとう虫が
瑞々しく表現されて

『ラッキー スプリング』が描くのは、幸運や生命力の象徴であるプラムの花、スズラン、てんとう虫の3つのモチーフ。このすべてが配された新作のリングは、存在感のあるモチーフを軽やかに魅せながら、手元を可憐に彩るオープンデザインに。春の訪れを知らせる穏やかな情景が、手元が視界に入ってくるたびに映し出され、心が躍る。羽が開き、今にも飛び立ちそうなてんとう虫のペンダントは、躍動感を感じさせる、遊び心に満ちた逸品。広げた羽の間から覗くボディは、ローズゴールドで象られ、羽の斑点として配されたゴールドのスタッズが放つ煌めきと、美しい調和を奏でて。

清らかなプラムの花を
マザーオブパールで情緒的に描く

冬から春にかけて花開くプラムは再生と復活のシンボルとされ、プラムの開花は春の訪れを告げる合図となる。ニュアンスのあるホワイト マザーオブパールの輝きが、5枚の花弁をピュアに描き出し、丁寧に仕上げられたゴールドの雌しべが、花冠の中心を際だたせ、その輝きを一層高めて。まるで手首に清らかな花を宿したかのようなブレスレットと、デコルテを穏やかな輝きで照らすペンダントが、この春登場。

色彩溢れる素材使いも
コレクションの魅力のひとつ

花と葉、そして生き物が共に暮らす姿がひとつのジュエリーの中に凝縮され、優美な春の景色を織りなすブレスレットとクリップ(ブローチ)。カーネリアン、オニキス、ホワイト マザーオブパール、そしてローズゴールドと、自然界の色彩を詩的に解釈し、厳選したさまざまな素材が、美しく調和しているのも『ラッキー スプリング』ならではの魅力。色彩のコントラストが、生命力溢れる春の自然の姿を、ポジティブに描き出して。

Special Interview俳人・小津夜景さんが語る

「季節の移ろいが、
私の創作活動を刺激してくれます」

俳句とジュエリーは、どちらも小さな空間の中にある芸術。表現したいものに向かって素材を吟味し、メッセージを凝縮して伝えるところに、共通点があるのではないでしょうか。私は俳句だけでなく短歌なども詠みますが、文字数がとても少ないので、言葉という素材を、どう選りすぐって組み合わせるかが大事なんです。

あんのんと烏帽子に花のえくぼかな 著書「花と夜盗」(書肆侃侃房)より

現在私は、南仏に住んでいます。こちらで暮らしてはじめて、春は、鼻先をくすぐる香りのように、さりげなくやってくるものだと知りました。『ラッキー スプリング』を見た瞬間に「これは南仏だ!」って思ったんです。のどかで、自然が豊かで、植物や生物と濃密に暮らす町。上の句は、外でランチをしたときのことを詠んだものですが、テラス席の周りにたくさんの花が咲いていたんです。テーブルの上にも花がいっぱい散っている様子が、雅で平安時代のようだなと。そういった南仏の穏やかな風景と『ラッキー スプリング』には、通ずるものがありますね。そして、私の作品にも昆虫がたびたび登場します。小さくて、精巧で、それこそジュエリー的な感覚があってかわいい。てんとう虫は夏の印象ですが、このジュエリーを見ていたら、春の、満開に咲く花の様子に待ちきれなくなって、思わず飛んできてしまった感じを受けました。まるでジュエリーの中に時間が流れていて、そこに物語があるようです。

こんなふうに、創作活動をするときは外に出ることが多いです。咲いている花をじっと眺めたり、近くの海を散歩しながら見つめていると、昔のことを思い出せるようになるんです。きっと頭の中がリラックスして、記憶が取り出しやすくなるのではないでしょうか。だから作品には、自然や、もしくは自然から派生したものが多くて。私の場合は、花を見て、その美しさを描写するのではなく、その花が自分を刺激してくれるのを待っています。花をじっと観察しながら、自分の中に生まれた感情を、言葉にする作業。それが私にとって、詩歌を詠むことなんです。

Profile

おづやけい/1973年北海道生まれ。俳人。2013年「出アバラヤ記」で第2回攝津幸彦賞準賞、2017年句集『フラワーズ・カンフー』で第8回田中裕明賞を受賞。著作は句集『花と夜盗』のほか、漢詩翻訳つきの随筆集『カモメの日の読書』『いつかたこぶねになる日』など。現在はフランスに在住。

『ラッキー スプリング』に見る
モチーフ図鑑

Ladybug
Ladybug

てんとう虫

幸福の象徴、そして躍動感の表現としてジュエリーに用いられてきた、ブランドの伝統的モチーフのひとつ。

Plum blossom
Plum blossom

プラムの花

冬から春にかけて咲くその姿から、復活と再生のシンボルとされている。春の目覚めをいち早く知らせる存在。

Lily of the valley
Lily of the valley

スズラン

野に咲くスズランの花は、自然の恩恵を表して。決して派手ではないけれど、可憐で健気な様子が愛おしい。

©︎Getty Images

伝統とクラフツマンシップにも注目

『ラッキー スプリング』にインパクトを与えるてんとう虫のモチーフ。実は春を呼び込む使者として、長くブランドに愛されている。てんとう虫をチャームにした1933年のデザイン画も現存。

ブランドの伝統を継承する『ラッキー スプリング』コレクション。花から着想を得たジュエリーは、ブランド創業初期から誕生していた。こちらは1974年に発表されたサン ルイ クリップ。

モチーフはすべて、卓越した職人技によるゴールドビーズに囲まれて。オーナメンタルストーンをより輝かせ、美しくセッティングする、高度な技術が用いられている。

『ラッキー スプリング』にインパクトを与えるてんとう虫のモチーフ。実は春を呼び込む使者として、長くブランドに愛されている。てんとう虫をチャームにした1933年のデザイン画も現存。

ブランドの伝統を継承する『ラッキー スプリング』コレクション。花から着想を得たジュエリーは、ブランド創業初期から誕生していた。こちらは1974年に発表されたサン ルイ クリップ。

モチーフはすべて、卓越した職人によるゴールドビーズに囲まれて。オーナメンタルストーンをより輝かせ、美しくセッティングする、高度な技術が用いられている。

過去公開分Vol.02『フリヴォル』

Van Cleef & Arpels ヴァン クリーフ&アーペルの ラッキー・モチーフ物語 Vol.02『フリヴォル』
Van Cleef & Arpels ヴァン クリーフ&アーペルの ラッキー・モチーフ物語 Vol.02『フリヴォル』

花がたたえる美と生命力が
大きな光と調和して

「ヴァン クリーフ&アーペル」の創造の源といえる、「花」がモダンに描かれているコレクション『フリヴォル』。ハート型の花びらによるグラフィカルなフラワーモチーフは、新鮮味に溢れ、2003年の誕生以来愛され続けています。ミラーポリッシュが施されたまばゆく煌めくゴールドと、繊細な輝きを讃えるダイヤモンドのコンビネーションが、花が満開となる季節を祝福して。

メゾンが最も大切とするモチーフのひとつが「フラワー」。1920年代に初めてダイヤモンド クリップが登場して以降、コスモス、ポピー、デイジー、スズラン、サクラなど、現在に至るまで絶えずイメージソースとして取り上げられています。その中でも『フリヴォル』の描くモチーフは、具体的なものではなく、花という存在そのもの。その抽象性が、身につける人の想像力をかき立て、高揚感をもたらします。
「ヴァン クリーフ&アーペル」が、花が織りなす美しさや生命力から新しいジュエリーを生み出すように、日々花や自然と向き合い、創作活動を行っている、京都の染色家・吉岡更紗さんにもお話をうかがいました。

甘やかなローズゴールドが
フラワーモチーフを優美に映す

暖かな陽だまりを思わせる、ローズゴールドのコレクション。手元や耳元で咲く1輪の可憐な花は、ダイヤモンドやルビーが輝くことにより、表情がいきいきと。まるで花がそよ風に吹かれている、瞬間の美しさをとらえているかのよう。

ホワイトゴールドと
ダイヤモンドの清らかな競演

ホワイトゴールドとダイヤモンドで表現した『フリヴォル』は、野に楚々と咲く、純粋無垢な花を印象づける。メゾンの代表的デザインである、指と指の間にモチーフが位置する『アントレ レ ドア リング』は、花の瑞々しさを忠実に表現。

光がこぼれ落ちるような
鮮烈なイエローゴールドの煌めき

ミラーポリッシュによる輝きが明るい光を放つ、イエローゴールドをベースにしたコレクション。特に鮮やかなグリーンのエメラルドとの組み合わせは、庭園を彷彿とさせ、自然とメゾンの強いつながりを感じさせて。8輪のフラワーモチーフが重なるブーケのようなリングも、光が複雑に交差し、躍動感に溢れている。

Special Interview染色家・吉岡更紗さんが語る

「刻々と変わっていく、自然の瑞々しい
色彩を再現したいと思っています」

天然の植物から色素を汲み出し、天然の素材を手で染めるという、日本古来の染色法を行うのが「染司よしおか」。私は6代目当主を務めています。植物は、非常に豊かな色彩を生み出しますが、実際の花の色が、そのまま染料の色になるかというと、そうではありません。たとえばピンクの染料の代表は紅花ですが、花が咲いているときは黄色なんです。その花びらを水にさらし、黄色の色素を洗い流すと、花の中の5%にも満たないといわれるほど少量の赤い色素が残る。それがピンクの染料となるわけです。また材料も、紅花のように花びらであることはほとんどなく、根や葉、つぼみや木の皮といったものが中心。植物染めは、そういった植物の奥深くに潜んでいる色彩を、呼び起こす作業でもあるんです。

生地を染料で染め、定着させる、という作業を繰り返すことで、色の濃淡を調整していくのですが、その具合も季節や天候によって変わります。だから染色は、まさに自然と対話するかのよう。染める素材の種類や厚さと、染料の相性もあるので、それは知識と経験を元に、作業を重ねていくのですが、どんな状況でも、同じ色を再現できるようにしなくては、と思っています。よく植物染めと料理は似ている、と思うことがあるのですが、プロの料理人も、厳密にいえばまったく同じ食材を使っているわけではないのに、いつも安定した味の料理が提供できる。植物染めと聞くと、同じ色が二度と再現できないと思われる方もいらっしゃるのですが、そうならないことを、職人として目指したいですね。

蓼藍と刈安を重ねて表現した春の色「柳」を、シルクに染めて。意外にも、単体でグリーンに染色できる植物はなく、最初にブルーに染め、さらにイエローを重ねてつくる。
出典:『王朝のかさね色辞典』吉岡幸雄(紫紅社)

私は京都生まれ、京都育ちなのですが、街を歩いていると、自然の色が、日々変わっていくことを実感します。少し前には、川沿いのサクラと柳が色濃くなるのを見て、毎年のことながら、その美しい配色に感動していました。これからは、遠くの山の緑が、どんどん深く、鮮やかになっていきます。濃くはなっていくのですが透明感があって、私の目指す色はこれだと、確信するんです。

同じように『フリヴォル』も、花そのものだけでなく、花が咲き、風にそよぐ瞬間的な美しさを表現しているコレクションと聞き、うれしくなりました。具体的な花ではなく、フラットに表しているところに、こちらにも想像の余地が与えられているようです。花や自然というものは、その姿ももちろん美しいのですが、同じところにはとどまっていません。散って水面に浮かぶサクラの花びらや、風に揺れている柳、雨に濡れた葉など、そのどれもが違っていて、抒情的です。私もその美しさに憧れていますし、それを色で表現できたらと、常に感じています。

Profile

よしおかさらさ/1977年生まれ、京都市出身。江戸時代から続く染屋「染司よしおか」6代目当主。自然界に存在する植物を使い、古来の方法で染色を行う。奈良・東大寺二月堂の修二会、薬師寺の花会式などの伝統行事に関わるほか、国宝の復元、「源氏物語」に登場する色彩の再現なども手がける。

「ヴァン クリーフ&アーペル」
花のジュエリーの着想源

cosmos
cosmos

コスモス

花びらが整然と並ぶ姿の美しさから着想を得て、1950年代にはジュエリーが誕生。現在でも重要なモチーフのひとつとなっている。

daisy
daisy

デイジー

花言葉は「平和」や「希望」と、幸福感に満ちあふれている。1941年には、ダイヤモンドとサファイアでデイジーを象ったクリップ(ブローチ)を創作。

cherry blossom
cherry blossom

サクラ

サクラの花に蝶が戯れるクリップや、コーラルの花弁とカルセドニーの蕾で表現したハイジュエリーなど、幾度となくクリエイションの源に。

©︎Getty Images

伝統とクラフツマンシップにも注目

創業者エステル・アーペルの甥、ジャック・アーペルは、庭で摘んだ四つ葉のクローバーを同僚に贈ったという記録が残されている。メゾンがいかに幸運のモチーフを大切にしてきたかがわかるエピソード。

『アルハンブラ』初期、1977年の広告。最初に誕生したのはロングネックレスで、毎日身につけられるジュエリーを提案するという、当時としては斬新なコンセプトの店「ラ ブティック」に置かれていたそう。

コレクションを楽しむ要素のひとつが、さまざまな色彩をもつマザー オブ パールやハードストーン。厳密にカット、研磨されたのちに、細やかに仕上げられたゴールドの土台に、固定される。

創業者エステル・アーペルの甥、ジャック・アーペルは、庭で摘んだ四つ葉のクローバーを同僚に贈ったという記録が残されている。メゾンがいかに幸運のモチーフを大切にしてきたかがわかるエピソード。

『アルハンブラ』初期、1977年の広告。最初に誕生したのはロングネックレスで、毎日身につけられるジュエリーを提案するという、当時としては斬新なコンセプトの店「ラ ブティック」に置かれていたそう。

コレクションを楽しむ要素のひとつが、さまざまな色彩をもつマザー オブ パールやハードストーン。厳密にカット、研磨されたのちに、細やかに仕上げられたゴールドの土台に、固定される。

過去公開分Vol.03『アルハンブラ』

Vol.03『アルハンブラ』
Vol.03『フリヴォル』

幸運とポジティブな力を讃える
四つ葉のクローバー

「ヴァン クリーフ&アーペル」を象徴するモチーフのひとつ『アルハンブラ』が誕生したのは1968年のこと。「幸運」をテーマに作品を創造してきたメゾンにとって、四つ葉のクローバーに着想を得たコレクションが生まれたのは、運命であり必然だったといえるでしょう。ミニマルなフォルムに繊細なゴールドビーズの縁取り、そしてマザーオブパールやオーナメンタルストーン、ダイヤモンドといった天然素材との多彩な組み合わせは色彩豊かで、半世紀を超えた今なお、愛されて続けています。

また『アルハンブラ』は、永遠のラッキーモチーフとしてのほかに、ジュエリーの歴史に多大な影響を与えたという側面も。それまでジュエリーといえば、華麗なハイジュエリーを意味していましたが、『アルハンブラ』には「毎日身につけられるジュエリー」という、当時としてはまったく新しいコンセプトがあったのです。1960年代から1970年代の、女性のファッションが柔らかく、流れるようなシルエットに進化していく時代において、シンプルな『アルハンブラ』は美しく調和しました。また重ねたり、色を組み合わせたりするアレンジも、「ジュエリーを自由な発想で楽しむ」という、ファッションにおける新しい悦びを生み出したのです。

長きにわたる歴史と技術を受け継ぎながら、新しい発想も忘れない。『アルハンブラ』は、「ヴァン クリーフ&アーペル」における、伝統と改革のシンボルでもあるのです。それと同じように、美しい色彩を放つ漆藝、城端蒔絵の16代目を担う小原治五右衛門さんも、伝統を継承しつつ、新しい蒔絵の世界を生み出そうと活動しているアーティスト。ご自身のものづくりに対する思いを、お聞きしました。

コレクションの歴史を刻む
マラカイトの気高い佇まい

鮮やかなグリーンが印象的なマラカイトは、1971年に『アルハンブラ』に用いられた最初のオーナメンタルストーンのひとつという、コレクションの中でも歴史のある素材。独特な縞模様が、クローバーモチーフに高貴な存在感を与え、華やかなイエローゴールドとエレガントに調和する。ダイヤモンドのブレスレットは、伝統的なギヨシェ彫りが施されたモチーフと連なることで、輝きがより複雑に。

マザーオブパールのニュアンスが
肌になじみよく煌めいて

自然が生み出した、虹色の光沢をもつグレーのマザーオブパール。厳かな輝きは、身につける人に安らぎをもたらし、優しい女性らしさを映し出して。ローズゴールドとの落ち着いた組み合わせは、コレクションがもつ「毎日身につけられるジュエリー」というコンセプトを体現するかのように、あらゆるシーン、あらゆる着こなしに寄り添ってくれるはず。

自然がもたらす生命力を
感じさせる真紅のカーネリアン

エネルギーがもらえそうな色彩のカーネリアンは、クローバーモチーフとなることで、より強く幸運を導く印象に。繊細、かつ大胆なフォルムの『アルハンブラ』が、ポジティブなパワーに満たされる。リングはモチーフの中央にダイヤモンドが施されたデザイン。四つ葉のクローバーに、可憐で優しい表情が加わり、手元に上品な色香が誘われる。

Special Interview城端蒔絵・十六代
小原治五右衛門さんが語る

「新しい表現に挑むことで、
伝統は発展していきます」

富山県の南砺市城端で生まれた「城端蒔絵」は、戦国時代から続く伝統工藝。2025年には創業450年を迎えます。純白の白蒔絵をはじめ、色彩鮮やかな色漆を使って図柄を描くのが特徴で、中間色やぼかしの技法を使うことで日本画のような表現を生み出せる、世界でも類例のない漆藝ではないでしょうか。『アルハンブラ』も、さまざまな天然素材を使って、色彩豊かなジュエリーを生み出している。色を大切にする城端蒔絵との親和性を感じるところです。

城端蒔絵は一子相伝の藝術で、僕は2019年に16代目を襲名しました。作品のデザインから髹漆、蒔絵までを、すべて行います。制作に使う道具も自分で作ることもあります。ひとつの作品が完成するまでに約50の工程があり、制作期間は10か月以上。赤ちゃんが産まれるまでの期間を十月十日といいますが、自分の工房を、お母さんの胎内のように感じることがあるんです。今はなんでもすぐに手に入る時代ですが、人間の命は、それだけ長い時間をかけて育まれるもの。自分の作品も、同じくらいの時間を経て生まれてくると考えると、不思議な感覚にとらわれますね。『アルハンブラ』もまた、素材のカットや研磨など、卓越した職人により、多くの工程がなされて完成されるジュエリー。それを知ると、身につける人も、さらに愛おしさが増すのではないでしょうか。

治五右衛門塗八角箱「曙光 - Python II」2014年
蛇が脱皮する瞬間を和光銀と金蒔絵で表現。中央の柄を漆の道に見立て、漆塗りの起源である朱漆を使用した。これまでの城端蒔絵とは趣が異なる作品と、ニューヨークをはじめ、世界各地で評判を得た。

創作活動の転機は、蛇をテーマに作品をつくった2013年でした。それまで花や蝶、山といった、周囲の風景をモチーフにしていたのですが、その年に初めて「脱皮する蛇の姿」を描いたんです。当時、周りは厳しい評価だったのですが、僕は初めて、自分の目に見えた感動ではなく、心の中にあるものが表現できたと思えた。僕が暮らす城端という町は、自然が豊かで、寝室の窓から見える景色が日々変わるような、恵まれたところなのですが、それを作品にそのまま描くのではなく、僕が毎日それを見て、生きていくなかで感じたものを表せたと思ったんです。ニーチェの言葉に「脱皮できない蛇は滅びる」という名言があるのですが、まさにそれだと。僕はリアルな蛇を描きたかったわけではなく、脱皮という現象を表現したかった。思えばいつの時代の治五右衛門も、常に新しい表現を求め、脱皮しようと挑戦していたのではないかと。最近では作品を通して、技術だけではない、そういった心の部分を伝えることも大事だと考えています。『アルハンブラ』も歴史のあるコレクションと聞きますが、今も新しさを感じるデザイン。時代を超えて、いつもそばにいる存在に人は惹かれるもの。多くの人に『アルハンブラ』が愛されているのも、そういったところがあるからではないでしょうか。

Profile

じょうはなまきえ・じゅうろくだい おはらじごえもん/1979年生まれ、富山県出身。安土桃山時代・天正3(1575)年から一子相伝で継承する「城端蒔絵」の16代目。独自の手法をもって天覧品や茶道具などを制作する。日本、ニューヨーク、ワシントンD.C.、インドネシア、香港など国内外での展覧会活動や、城端曳山祭で巡行する曳山・庵屋台などの文化財保存修復に従事。令和元(2019)年に「十六代 小原治五右衛門」を襲名。作品は東京・銀座のギャラリーemmy art +にて観賞できる。

『アルハンブラ』に見る
モチーフ図鑑

Clover
Clover

クローバー

一般的には、シロツメクサとしても知られている。幸運をもたらすモチーフとして認識されている四つ葉は、約5000本に1本見つかるという説も。

©︎Getty Images

歴史とクラフツマンシップをひも解く

創業者エステル・アーペルの甥、ジャック・アーペルは、庭で摘んだ四つ葉のクローバーを同僚に贈ったという記録が残されている。メゾンがいかに幸運のモチーフを大切にしてきたかがわかるエピソード。

『アルハンブラ』初期、1977年の広告。最初に誕生したのはロングネックレスで、毎日身につけられるジュエリーを提案するという、当時としては斬新なコンセプトの店「ラ ブティック」に置かれていたそう。

コレクションを楽しむ要素のひとつが、さまざまな色彩をもつマザーオブパールやハードストーン。厳密にカット、研磨されたのちに、細やかに仕上げられたゴールドビーズの枠に固定される。

創業者エステル・アーペルの甥、ジャック・アーペルは、庭で摘んだ四つ葉のクローバーを同僚に贈ったという記録が残されている。メゾンがいかに幸運のモチーフを大切にしてきたかがわかるエピソード。

創業者エステル・アーペルの甥、ジャック・アーペルは、庭で摘んだ四つ葉のクローバーを同僚に贈ったという記録が残されている。メゾンがいかに幸運のモチーフを大切にしてきたかがわかるエピソード。

『アルハンブラ』初期、1977年の広告。最初に誕生したのはロングネックレスで、毎日身につけられるジュエリーを提案するという、当時としては斬新なコンセプトの店「ラ ブティック」に置かれていたそう。

コレクションを楽しむ要素のひとつが、さまざまな色彩をもつマザーオブパールやハードストーン。厳密にカット、研磨されたのちに、細やかに仕上げられたゴールドビーズの枠に固定される。

過去公開分Vol.04『ペルレ』

ヴァン クリーフ&アーペルの ラッキー・モチーフ物語 Vol.04『ペルレ』
Van Cleef & Arpels ヴァン クリーフ&アーペルの ラッキー・モチーフ物語 Vol.04『ペルレ』

まばゆい光の戯れを
遊び心たっぷりに描いて

小さなゴールドビーズが連なり、大きく朗らかな光を放つ『ペルレ』。2008年に誕生したこのコレクションは、「ヴァン クリーフ&アーペル」の長い歴史のなかで培われたクラフツマンシップを物語っています。もともとゴールドビーズは、1920年代から、貴石やモチーフを縁取るためのディテールとして用いられてきました。やがてメゾンが発展していくと共に、ゴールドビーズ自体も重要な存在に。1948年くらいからは、ゴールドビーズが主をなすようなジュエリーが制作されるようになります。

現在でも『アルハンブラ』など、代表的なコレクションを支えるディテールですが、もうひとつの軸としてゴールドビーズをひとつのモチーフとして焦点を合わせたのが『ペルレ』コレクションです。「光」という形のない現象を、球体のゴールドという有形物として表現。それを緻密に並べることで、軽やかな輝きが幾重にも重なり、洗練されたジュエリーに生まれ変わりました。ミニマルでグラフィカルな佇まいは実にモダンで、躍動感に満ちあふれています。

大きさの異なるゴールドビーズを連ねたり、ときにはダイヤモンドやオーナメンタルストーンと調和させるなど、自由で遊び心あふれるデザインが、メゾンの歴史に、新しい風を呼び込んだコレクション。同じように「江戸切子」という日本の伝統工芸に、現代的な表現方法をもたらしたことで話題の江戸切子職人・三澤世奈さんにも、創作の源について、お話をうかがいました。

幸せな気持ちに包まれる
華やかなカーネリアン

優しいローズゴールドと真紅のカーネリアンの、まろやかなコンビネーション。ゴールドビーズに呼応するようなドーム型のカーネリアンが、さらにピースフルな輝きをもたらす。リングは、「ヴァン クリーフ&アーペル」らしいオープンタイプ。指の間からカーネリアンとダイヤモンドのモチーフが顔をのぞかせ、身につける人だけでなく、周囲をも思わず笑顔にさせるほどにチャーミング。

マラカイトの高貴な煌めきが
成熟した表情をたたえて

深いグリーンのマラカイトとイエローゴールド。エレガントな組み合わせは、大人の女性にこそ映える逸品。オープンデザインのブレスレットとリングは、ダイヤモンドの輝きが加わることで、よりラグジュアリーに。また、センターストーンが際立ついちばん下のリングは、1968年に制作されたリングのデザインを再解釈。ダイヤモンドをゴールドビーズで挟むことで、鮮やかなコントラストが生まれる。

涼やかなターコイズが
ホワイトゴールドと清らかに調和

まるで水の泡のようにピュアな組み合わせ! クリーンなホワイトゴールドが、ターコイズのみずみずしいブルーを強調する。有機的なフォルムのブレスレットは、ゴールドビーズの大きさを巧みに調整し、全体を隙間なく包み込む印象的なデザイン。鮮烈な光を放つダイヤモンドとの相乗効果で、表情豊かに、個性のある手元を演出してくれる。

Special Interview 江戸切子職人・三澤世奈さんが語る

「味や遊び心は、精度が高いからこそ
美しく映えるのだと思います」

江戸切子は、ガラスを手作業で削り、磨きをかけて美しい文様を描く、国の伝統的工芸品です。その技を継承する「堀口切子」に私は在籍していて、ブランドの中の1ラインナップとして、自分の名前を冠した「SENA MISAWA」を立ち上げました。江戸切子をもっと親しみやすいものにしたくて、王道とは少し違う、新しい色やマットな質感、ミニマルなデザインを提案しています。「堀口切子」は、伝統を守りながらも、現代的な感覚を取り入れることを大切にしている工房。『ペルレ』も遊び心をもたせたコレクションとのことで、新しい発想を取り入れるブランドの精神は、共通する部分があるかもしれません。

私がいつも大切にしているのは、いくら新しさがあっても、これまでの江戸切子の文脈がわからなかったり、斬新すぎるものにならないことです。「SENA MISAWA」は、江戸切子の一部であり、「堀口切子」の一部であることが大前提。なので、江戸切子にあしらわれる菊花文や籠目文といった代表文様を、シンプルにモダンにアレンジするというように、私が江戸切子の歴史から学んだことを生かしながら、表現しています。

三澤さんの代表作品のひとつ「SHIPPO」。菱をつないで輪をつくる、吉祥紋としても知られている伝統文様「七宝文」を分解、再構築し、有機的な柄に。一見ランダムに見えるが、実際にはひとつのパターンがあり、限りなく広がっていく、繁栄の様を表現している。

江戸切子の文様は、カットする道具の性質上、幾何学模様が比較的作業効率がよく、汎用性も高いのですが、その条件を満たす新しいパターンを考えるのは、とても難しいんです。でも文様をつくること自体が、先人の功績のひとつでもあるので、私も何か自由で新しいものを提案したい思いが。『ペルレ』のゴールドの粒が整然と並ぶ姿と同じように、江戸切子の精度を残しつつ、有機的な感じが出せたらいいですね。

色については、最初は個人的な趣味として追求していました。江戸切子職人は、ガラスの素材自体をつくることはあまりないのですが、私は吹きガラスが趣味で。そのなかで、瑠璃や赤といった伝統的な江戸切子の色とは違う、かわいい色調が存在することを知ったんです。質感は、偶発的に生まれたところも。江戸切子の制作工程はジュエリーと似たところがあり、そのひとつが「磨き」ですが、その「磨き」の工程を経たときに、こういったマットな質感が生まれました。ムラも自然な色ガラスの付き方によるものなので、私のほうでコントロールはできないのですが、同じ色でもまったく雰囲気が異なるところに面白味があって、かえって心地いいなと感じています。

『ペルレ』も、ゴールドの小さな粒を、一つひとつ手作業で研磨して、生み出しているとか。粒が連なる様は、ものすごくきれいですし、ミリ単位以下の緻密さを想像すると、同じ「磨き」という作業を行う江戸切子職人の視点からしても、すごいなと驚きます。遊び心のあるデザインも、とても精度の高い技術があるからこそ、成り立っているのではないでしょうか。これは自分の価値観かもしれませんが、いわゆる味や遊び心という表現も、精度が高いからこそ美しいのだと、どこか思うんです。江戸切子もですが、ジュエリーにも同じように存在する世界なのかなと、『ペルレ』を見ると感じますね。

Profile

みさわせな/江戸切子職人。1989年、群馬県生まれ。大学在学時に、伝統と革新を重んじる江戸切子ブランド「堀口切子」と出合い、感銘を受け、2014年に所属する。2019年、制作・プロデュースするブランド「SENA MISAWA」を設立。独自の新しい発想で、江戸切子のさらなる可能性を切り開いている。

『ペルレ』を彩る
モチーフ図鑑

Gold Beads
Gold Beads

ゴールドビーズ

もともとは、貴石などを引き立てるための装飾だったものが、その後ひとつの存在として確立した、メゾン特有のモチーフ。光や華やかさを象徴的に表現。

歴史とクラフツマンシップをひも解く

1948年に発表された『クスクス コレクション』では、ゴールドビーズが主役となるようなデザインが登場。現在のブレスレットにも通ずるデッサンも残されている。

1960年代には、さらに遊び心が加わったしなやかなジュエリーが増えていく。イエローゴールドやサンゴ、パールをしなやかに連ねた『ツイスト コレクション』は1964年のもの。

ゴールドビーズは、ロストワックス鋳造という技法で型をつくったのちに、職人がひと粒ひと粒を手作業で形を整え、生み出される。さらに何段階にもわたる研磨で、大きな輝きが。

1948年に発表された『クスクス コレクション』では、ゴールドビーズが主役となるようなデザインが登場。現在のブレスレットにも通ずるデッサンも残されている。

1960年代には、さらに遊び心が加わったしなやかなジュエリーが増えていく。イエローゴールドやサンゴ、パールをしなやかに連ねた『ツイスト コレクション』は1964年のもの。

ゴールドビーズは、ロストワックス鋳造という技法で型をつくったのちに、職人がひと粒ひと粒を手作業で形を整え、生み出される。さらに何段階にもわたる研磨で、大きな輝きが。

過去公開分Vol.05『ゾディアック』

ヴァン クリーフ&アーペルの ラッキー・モチーフ物語 Vol.04『ペルレ』
Van Cleef & Arpels ヴァン クリーフ&アーペルの ラッキー・モチーフ物語 Vol.04『ペルレ』

限りなく広がる
宇宙へのロマンを星座に込めて

「ヴァン クリーフ&アーペル」がインスピレーションの源として大切にしている、自然と天文学を融合し、昇華させたコレクションが『ゾディアック』です。1950年代に純金製のメダルペンダントが発表されて以来、西洋の12星座を表現したジュエリーは、現在に至るまでラッキーモチーフの歴史を紡いできました。このメゾンの伝統に着目し、新たに2021年に登場したのが2種類のメダルペンダントです。なかでもイエローゴールドの『ゾディアック メダル』は、当時のデザインを初めて再現。デイリーに身につけられるようサイズを直径21mmにアレンジし、メダルの欠けや、縁取りがかすれているかのようなディテールを彫刻で忠実に施し、アーカイブのムードを生み出しています。もうひとつの『ゾディアック ロングネックレス』は、ローズゴールドの星座モチーフの背景に12種類のオーナメンタルストーンが配された、立体絵画のような逸品。1970年代に誕生したペンダントを再解釈したもので、自然が生み出すストーンの鮮やかな色と精緻な彫刻が重なることで、よりスペシャルに、ドラマティックに表現されています。

どちらも描かれているのは12星座ですが、その向こうにあるメッセージは、メゾンが長らく魅了されてきた自然への畏敬と天体への憧れ。同じように、幼少時代から植物や宇宙の世界に惹き込まれ、今では植栽家としてガラスの球体のテラリウム『スペースコロニー』を創作する村瀬貴昭さんに、お話しをうかがいました。

特別な思いを込めたくなる
立体感が魅力の星座モチーフ

直径21mmのメダルに、浮き彫りで描かれた星座のシンボル。画像にあるのは、12星座の中でも「水」のエレメントに属する蟹座と魚座。立体感のある彫刻に、『ゾディアック メダル』が初めて登場した1950年代の面影が映し出されている。裏側には、星座のマークと該当する期間のローマ数字が、浮き彫りであしらわれているから、どちらを表にしても身につけることができる。

細部まで緻密に表現された
浮き彫りにメゾンの伝統を感じて

「火」のエレメントである獅子座と、「地」のエレメントの乙女座のメダル。よく見ると、周囲が欠けていたり、縁取りがずれているようなあしらいが施されている。初期のデザインの細やかな部分までを再現することで、メゾンの歴史を、現代に呼び起こした。12星座それぞれが個性的に表現されているから、自分の星座だけでなく、パートナーや家族といった、大切な人の星座を選ぶ人も多いそう。チェーンは写真の70cmのほかに42cmも。

日常的に身につけたくなる
永遠のラッキーモチーフ

人類が存在する地球という惑星、そして未知なる宇宙という広大な世界に、自然への偉大さを感じ、生まれたのが『ゾディアック』コレクション。それを象徴する星座は、ロマンティックなばかりでなく、ひとりひとりの人生を物語るモチーフとしてふさわしい。毎日身につけるパーソナルジュエリーにして、共に人生を歩んでみては。画像は「水」のエレメントの蠍座と「風」のエレメントの天秤座。

Special Interview植栽家・村瀬貴昭さんが語る

「幼少期から触れてきた、
自然の偉大さと宇宙への憧れが創作の源です」

僕が創作している『スペースコロニー』は、ガラスの球体のテラリウム。植物だけでなく、ときには鉱石を配したりと、独自のアレンジを加えています。扱う植物は特別なものではなくて、例えばホームセンターで寂しく残っているものや、知り合いのご家族が持て余してしまった盆栽などを譲り受けたりも。プロの手でガチガチに管理されたものよりも、何かしらの理由で、植物自体の生命力によって、形になったものに惹かれるんです。自然というものは、人間の力を超えて再生されていくものだと、改めて感じる。『スペースコロニー』も、でき上がったところが完成ではありません。上からLEDライトが当たり、植物が成長していくので、これからどうなっていくのか想像したくなる、「その先がある作品」とでもいうのでしょうか。自然の偉大さはもちろん、限られた空間の中で、それをどれだけ大きな存在として見立てるか、広大な存在として捉えられるかという想像力が、要は宇宙的な概念なのかなと。『ゾディアック』を見て、まさにジュエリーも、同じような思考で生まれるものなのかなと思いましたね。

透明なガラスの球体のテラリウム『スペースコロニー』。上部のLEDライトを当てることにより、命が育まれていく。使用する植物ごとに何種類もの土をブレンドすることで、より強い生命力が導かれるのだそう。さまざまな植物が息づく姿は、まるで小宇宙のよう。

僕は1980年生まれなのですが、個人的に「フューチャー世代」だと思っていて。幼いときはロボットのプラモデルで遊んでいたし、ゲームだって、それまで喫茶店でしかできなかったインベーダーゲームが、一般家庭の中に入ってきた。車のデザインも未来的なものが増えていて、宇宙や未来といったものに対する想像力が、すごく高められた時代だったんです。自分の作品を『スペースコロニー(宇宙植民地)』と名付けたのも、その影響のひとつ。1969年から提唱されている、宇宙空間に人類の移住地をつくるプロジェクトを指すのですが、地球外に自然環境を整え、いかに人類を生かすかという発想に、インスピレーションを受けました。それに加えて、子供の頃に祖父の盆栽に触れてきたことにはじまり、アクアリウムや変わった植物に夢中だったことが、今になってすべてがつながり、作品となったのは、とても幸運だと思います。

現在、京都で暮らしているのですが、出身は大阪。ここにいて気づいたのは、人間と自然の距離の近さと、空間における間の取り方の素晴らしさです。街を歩いていて、当たり前のように山や川が目に入るけれど、道だってきれいに舗装されている。これだけ美しい街は、世界でもここだけではないでしょうか。京都の人の、自然に対するリスペクトがあるから成立しているんだろうなと、外から来たからこそ見えるものがあるんです。間の取り方については、神社仏閣や庭を訪れたときに感じる「やりすぎない美学」。空間を埋め尽くさない、やりすぎず、やらなさすぎずの最も美しいバランスを、常に計算してきたんだろうなという思いがして、それが自分の作品づくりにも、大きく影響していますね。実は『ゾディアック』をはじめ、「ヴァン クリーフ&アーペル」のジュエリーでも、同じような感覚にとらわれました。芸術作品とも呼べるほどに精巧でありつつも、装飾品としての佇まいが、きちんと保たれているなと。高い技術をもって、とても緻密につくられたものなのに、身につける人の負担にもなりすぎない。美しいジュエリーでありながら、身につける人も輝かせる、そのどちらをも両立させるバランスに、大きく刺激を受けるんです。

Profile

むらせたかあき/植栽家。大阪府出身、京都市在住。幼少期より祖父の盆栽に触れ、その後アクアテラリウム、珍奇植物の収集を経て、2012年にRe:planterとして活動を開始する。Replanter=Recycle(再生)×Plants(植物)×Player(者)の造語。消費社会に対する自然からの返信(Re:)をテーマに、あらゆる植物と人工物を融合し、植栽表現を探求する。

『ゾディアック』の
着想源となったモチーフ図鑑

Zodiac
Zodiac

12星座

西洋占星術や星座占いに用いられる、天球上の太陽の通り道である黄道に沿って並ぶ12の星座を指す。コレクションでは、夜空に瞬く星や、宇宙への憧れの象徴として解釈されている。

©︎Getty Images

メゾンの歴史と
クラフツマンシップをひも解く

コレクション誕生初期、1955年の『ゾディアック サイン』チャームの製品カード(天秤座)。いかに現在のコレクションが、メゾンの伝統を牽引しているかがわかる。

1974年のカタログ。左上に、星座モチーフのカフリンクスが掲載されている。「ヴァン クリーフ&アーペル」の長い歴史の中で、さまざまなジュエリーに採用されてきた。

コレクション最大の特徴である浮き彫りは、卓越した職人による難度の高い技巧によるもの。それぞれのキャラクターを立体化することで、絵画的、叙情的な雰囲気を醸し出している。

コレクション誕生初期、1955年の『ゾディアック サイン』チャームの製品カード(天秤座)。いかに現在のコレクションが、メゾンの伝統を牽引しているかがわかる。

1974年のカタログ。左上に、星座モチーフのカフリンクスが掲載されている。「ヴァン クリーフ&アーペル」の長い歴史の中で、さまざまなジュエリーに採用されてきた。

コレクション最大の特徴である浮き彫りは、卓越した職人による難度の高い技巧によるもの。それぞれのキャラクターを立体化することで、絵画的、叙情的な雰囲気を醸し出している。

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撮影/生田昌士(hannah/人物)、大原敏政(aosora/背景・動画内静物)
スタイリスト/伊藤美佐希
ヘア/小田代 裕(mod’s hair)
メイク/阪本明子(SIGNO)
ネイル/渡邉季穂(uka)
モデル/大政 絢(Precious専属)
動画制作/OFBYFOR TOKYO
構成/湯口かおり、濱谷梢子(Precious.jp)
WEB制作/ネクスト
  • 文中の表記はRG=ローズゴールド、
    WG=ホワイトゴールド、YG=イエローゴールドを表します。
  • 掲載商品の価格は、すべて税込みです。