栄養価が高く、調理アレンジも無限な卵。みなさんはそんな万能食材の卵を、購入後どのように保存していますか?

購入後はすぐにパックから卵を取り出し、冷蔵庫に備え付けられている卵ケースに移す方や、スーパーなどで常温で売られていることも多いことから常温保存をしている方もいるはず。しかし、こういった何気ない行動の中に、卵が劣化する原因が潜んでいるのです!

そこで今回は、卵が劣化してしまう保存方法についてご紹介します。さまざまな活動を通じて日本人の食生活に欠かすことのできない卵に関する情報提供をしている、日本養鶏協会にお話を伺いました。

卵が劣化する4つのNG保存方法

■1:冷蔵庫のドアに備え付けられた卵ケースで保存するのはNG

卵ケースが冷蔵庫のドアにある方は要注意。振動で卵が割れてしまうかも!
卵ケースが冷蔵庫のドアにある方は要注意。振動で卵が割れてしまうかも!

一般的な冷蔵庫には、卵ケースが備え付けられています。しかし、卵ケースが冷蔵庫のドア部分にある方は要注意! 

なぜならこの場所は、冷蔵庫のドアが開閉するたび、振動で卵の殻にひびが入る恐れがあります。また、ドア付近は冷蔵庫の奥に比べて温度変化が大きい場所。温度が安定していないと、雑菌が繁殖するリスクも高まります。

なお、冷蔵庫の奥に卵ケースがある場合は、ケースへの移し替えは問題ありません。卵ケースが冷蔵庫のドア部分にある方は、この場所を避けて奥におきましょう。

ちなみに、購入時のパックに入れたままの状態で冷蔵庫に入れるのはOK。ただし、卵は0℃以下になるとパックに入っていても凍結し、殻がひび割れしてしまいます。冷気の噴出口付近に置くのは控えて保存しましょう。

■2:冷凍保存するのはNG

卵黄は冷凍すると「ゲル化」する?
卵黄は冷凍すると「ゲル化」する?

卵は「常温保存」、「冷蔵保存」どちらでもOK。しかし、「冷凍」はNGです。

なぜなら冷凍すると中身が膨張し、殻が割れてしまうから。そこから雑菌が入り込み、繁殖する可能性があります。また、卵黄は解凍しても、固まったままの状態で元に戻りません。加熱調理してもゲル化は改善されず、おいしさが損なわれてしまいます。

なお、卵を割り溶きほぐした「液卵」(※1)での冷凍保存はゲル化しません。ですが、解凍した液卵は、空気中の雑菌に直接触れ、雑菌が繁殖しやすくなります。できるだけ、家庭での冷凍保存は控えましょう。

※1:液卵を製造・販売する上でメーカーは、国が定めた「鶏卵規格取引要綱」に準じて、厳格に温度管理(冷蔵管理)を行っています。各家庭ではこの厳格な温度管理ができないため、食中毒が発生する恐れがあります。

■3:冷蔵で売られていた卵を常温保存するのはNG

卵は急激に温度が変化すると結露が発生し、傷む原因になります
卵は急激に温度が変化すると結露が発生し、傷む原因になります

卵は、非常にデリケートな食材です。冷蔵で売られている卵を買った場合は、常温保存を避け、できるだけ早く冷蔵庫に入れましょう。急激な温度変化は結露の発生の原因になり、卵が傷みやすくなってしまいます。

結露ができるとなぜ卵が傷むのか。それは卵に「気孔」という小さな穴が7千〜1万7千個ほど空いているからです。結露ができると空気中の雑菌が気孔を通じて中に入り込みやすくなってしまいます。

スーパーなどで常温販売している理由は、急激な温度変化による結露の発生と、それによる傷みを防ぐため。ただ、保存に関しては、あくまでも4〜10℃以下が望ましいとされています。常温で購入した卵であっても冷蔵保存をしたほうが、鮮度は長く維持できますよ。

■4:尖ったほうを上にして置くのはNG

卵の殻は尖っているほうが強度があり丈夫?
卵の殻は尖っているほうが強度があり丈夫?

みなさんは卵をどのように置いて保存していますか?なんとなくパックからケースへ移し変えている方は、要注意! 卵は尖った「鋭部」を下にして保存するほうが正しく、丸みのある「鈍部」は下にしないほうがよいのです。

その理由はふたつ。

まず、卵は産み落とされるとき、「鋭部」から落ちます。そのため、卵は「鋭部」のほうが「鈍部」よりも殻に強度があり、ひび割れにくいのです。もうひとつの理由は、「鈍部」には「気室」があるからです。気室とは写真の青丸印部分。「気室」は字のごとく空気が入っています。「鈍部」を下にすると気室が上の鋭部へと移動します。この気室の移動に伴い、卵黄と気室内の空気が触れる可能性が生じ、空気が触れた場合に雑菌が入り込むリスクがあるのです。


【まとめ/卵が劣化する4つのNG保存方法】
1:冷蔵庫のドアに備え付けられている卵ケースで保存
2:冷凍保存
3:冷蔵で売られていた卵を常温で保存する
4:尖ったほうを上にして置く

ついやっていた行動が卵の劣化する原因になっています! ご紹介した保管方法をぜひ参考にしてみてくださいね。

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この記事の執筆者
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WRITING :
松崎愛香
EDIT :
高橋優海(東京通信社)