パリと世界各地で発表された新作コレクションから読み解く【宝飾界の未来がわかる!「ハイジュエリー」の最旬キーワード】

宝石、技巧、機能、新しい価値観──ハイジュエリーの魅力は、美しさだけではありません。

パリのオートクチュールウイークで発表されるトップジュエラーの新作を見て、触れて選んだ10のキーワードから、宝飾界で今、起こっていることを読み解きます。

さあ、知れば知るほど興味の尽きないハイジュエリーの世界へ。

【KEYWORD】ロゴもシンボルもいらない!伝統の細工や技巧がシグネチャーに

ロゴやモチーフがなくても、ひと目でブランドがわかる! それを叶えるのが伝統の細工や技巧です。「ヴァン クリーフ&アーペル」のミステリーセット、「ミキモト」の真珠を編み上げる職人技、「ポメラート」のチェーン。磨き抜かれた手仕事がシグネチャーとなり、どんなロゴより雄弁にブランドの美学を語ります。

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「ヴァン クリーフ&アーペル」のクリップに施されたミステリーセット。専門の職人が石を再研磨しながらレールにセットする。卓越した技そのものがメゾンのシンボルとなった好例。 (C)MASAHIKO TAKEDA
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「ポメラート」の新作ネックレスに輝くのは、1970年代のドレサージュ・チェーン。独特のフォルムとボリューム、ゴールドの色調を見ればひと目でブランドがわかる。

【KEYWORD】肌に沿う「しなやかさ」こそ、ハイジュエリーに欠かせない条件

目指すは、布地のしなやかさ! 今のハイジュエリーには、肌に沿う極上のつけ心地が欠かせません。しなやかさを生むのは、パーツを結ぶ接続部やジュエリーの精緻な構造です。その技術はまさに日進月歩。新たなコレクションが発表されるたびに、驚く進化を遂げています。

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『マンシェット アンペリアル ブレスレット』[YG×RG×WG×PT×DIA]参考商品(ヴァン クリーフ&アーペル) (C)NORIYUKI KOIKE(CASK)

緻密なシェブロン(山形)構造が、リボンのようになめらかな動きを実現! 腕の曲線に沿いながら、ブレスレットとしての美しい形もキープする、その絶妙なバランスが見事。

【KEYWORD】伝統の宝飾技巧をモダンジュエリーに!サヴォアフェールを次世代へ

細密画、グリプティック(宝石彫刻)、エナメル細工など、古来の装飾技巧が新作ハイジュエリーと出合い、現代的かつラグジュアリーに! 伝統はただ守るのではなく、新たなものと融合させて次世代へつないでいく──。その大切な役割を担うのもトップジュエラーの使命です。

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(C)BOUCHERON

「ブシュロン」の新作ハイジュエリーコレクションの『フラワー』を手掛ける細密画家。拡大鏡越しに、ピンククオーツに花を描いていく。極細の筆で彩色しては乾燥させる工程を幾度も重ね、絵を立体的に。一時は後継者不足が懸念されたものの、今では若い職人も増えつつあるという。

【KEYWORD】トランスフォーマブルが簡単に!「日常のハイジュエリー」もすっかり浸透

特別な日だけではもったいない! トランスフォーマブルなハイジュエリーは、変形の操作も驚くほどスマートに。ひとつの作品を装いに合わせて何通りにも楽しめる自由さが、ハイジュエリーを日常へぐっと近づけています。

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『サンボル エトワール』ネックレス&イヤリング[WG×タンザナイト計565.68ct×インペリアルトパーズ26.21ct×カーネリアン計18.47ct×スペサルタイトガーネット計4.55ct×DIA計34.30ct、イヤリングを附属]¥275,660,000/参考価格(シャネル) (C)CHANEL

「シャネル」のハイジュエリーコレクションのロングネックレスは、実用性の高いトランスフォーマブル仕様。ネックレスの一部を取り外せば、ショートネックレスとブレスレットに変化する。

【KEYWORD】挑戦はいつもハイジュエリーから── セッティング技術の進化が止まらない!

宝飾界の技術革新は、いつもハイジュエリーから! 近年多く見られるのは、ジュエラーが自ら思い描くデザインのために開発したセッティング技術。エナメルや樹脂を用いたものまで登場し、その進化は目を見張るばかり。

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(C)BOUCHERON

「ブシュロン」の『レイン』ネックレスの制作風景。真空下でロッククリスタルの内側から樹脂と4800石のダイヤモンドを封入。石内部でダイヤモンドを、まるで宙に浮遊しているように固定することに成功した。

【KEYWORD】ハイジュエリーの世界において、ジェンダーレスはもはや常識

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「ブシュロン」はいち早くジェンダーレスを打ち出してきた。発表会では、5組のジュエリーセットを纏った男女5人のモデルが登場。

色も、モチーフも、デザインも、性別で区切らない。選ぶ基準は、ただひとつ「心惹かれるか」。ハイジュエリーはより自由でパーソナルなものへ。ジェンダーレスは流行ではなく、今や宝飾界のスタンダードなのですから。

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「ミキモト」の発表会。パールも今や性別を問わず楽しむジュエリーに。

※文中の表記は、WG=ホワイトゴールド、RG=ローズゴールド、DIA=ダイヤモンド、PT=プラチナを表します。
※掲載商品の価格は、すべて税込みです。

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EDIT&WRITING :
福田詞子(英国宝石学協会 FGA)