芸術の秋の始まりに、美術館もいいけれど、アートギャラリーを訪れてみませんか? 今回おすすめするのは、銀座の老舗ギャラリー・日動画廊にて開催中の「PHILIP COLBERT NEW PAINTINGS」。日動画廊が普段扱う伝統的な絵画とは趣が異なるポップアートがなぜ展示されているのでしょうか?

注目のアーティストが日本で初めての個展を開催中

フィリップ・コルバートは、ロンドンを拠点に活動するスコットランド生まれのマルチアーティスト。彼の活動は絵画にとどまらず、音楽、家具、服飾デザイン、さらにパフォーマンスアートまで及んでいます。この展覧会では、新作約10 点を発表。

今回の展示について、日動画廊の企画・広報を担当する水口よしのさんに伺いました。

日動画廊では創業90周年を迎えた昨年にアンディ・ウォーホルとビック・ムニーズの展覧会を開催。ポップ・アートの生みの親であるウォーホル、印象派から現代美術までの美術史上の名作をテクノロジーを駆使し、ポップ・フォトグラフィーの形で再現するムニーズ、彼らに続くポップ・アート企画の第三弾に選ばれたのがフィリップ・コルバート。美術史をルネッサンス絵画まで遡り、現代の生活で使われているさまざまなものと融合させた「ポップ・シュールレアリズム」の代表として特筆すべき作家だといいます。

フィリップ・コルバートの作品
ビットコインや最近また人気になっているスポーツジャージなど、いまのカルチャーが投影されています

新作のひとつである「Dream Hunt riptych」は、笠間日動美術館所蔵の近代絵画のコレクションより、コルバートがインスピレーションを得て参照・引用して作品中に投影しています。

フィリップ・コルバート「Dream Hunt riptych」
新作の『Dream Hunt riptych』は585×270cmの大作
フィリップ・コルバートの自画像
絵の中に登場する真っ赤なロブスターは彼の分身。このセルフポートレートは初日に売れていました

なぜ彼はいま注目を集めているのでしょうか?

「絵画のみならず、マルチに活躍する多彩な才能をもっているということ。また、絵画に関しては近代現代美術の巨匠たちのアイコニックなモチーフと現代の大衆文化を象徴する絵文字や携帯電話などを同居させ、絵画の中で対話させようとしている点が、単に混沌としているのではなく、新たなシュールレアリズムを表現していると評価できると思います」(水口さん)

フィリップ・コルバートとさかなくんのコラボ絵画
展覧会ではさかなくんとコラボレーションした作品を会期末までチャリティーオークション中

SNS投稿推奨に壁面をデコレーション!老舗画廊の新たな挑戦

今回の展示では、SNS投稿を推奨するブースを設置したり、ギャラリーの壁を貼りかえるなど日動画廊としてはこれまでにない挑戦をいくつも行ったそうです。

「クラシカルな会場と、POPの融合がどこまでできるのかということが最大のテーマでした。壁紙も中途半端に一部の変更などとせず思い切ってすべての壁を目玉焼き柄にすることを決めました。フォトブースも画廊初の試みです。お客様が『たのしい』と感じていただけるような空間づくりに努めました」

クラシカルな銀座のアートギャラリーの新たな挑戦は、一見の価値あり。将来的にさらに注目されるであろう現代アーティストの作品を一度に鑑賞できる機会は逃さないで!

フォトブース
ギャラリーの一角につくられたフォトブース。会場内とは異なり、ブルーに目玉焼きの背景になっています
展覧会限定のTシャツ
今回の展示限定で販売されているTシャツは、大人用¥2,800・子供用¥2,200(税別)

問い合わせ先

  • PHILIP COLBERT NEW PAINTINGS
  • 会期/2018年9月4日(火)〜9月18日(火)※終了
  • 開廊時間/平日 10:00〜19:00 、土・祝日 11:00〜18:00
    休廊日/日曜
  • 会場/日動画廊 本店
  • 入場料/無料
  • TEL:03-3571-2553
  • 住所/東京都中央区銀座5-3-16
この記事の執筆者
TEXT :
Precious.jp編集部 
2018.10.23 更新
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WRITING :
北本祐子