リアルなパリの情報をパリジェンヌが発信するニュースレターが人気の『My Little Paris(マイ リトル パリ)』。日本では毎月届くギフトボックス『My Little Box』として、知られています。

この『My Little Paris』に携わる人々の日常を追った書籍『マイリトルボックスからの贈り物 素敵なパリスタイル!』が、かわいいもの好きな女性に話題となっています。それを受け、来日した共同創業者の一人セリーヌ・オルジュバンさんへのインタビューが実現。パリへの思いや『My Little Paris』を通じて実現したいことなど、共感できるお話をうかがうことができました。

瞬く間に読者が増え、『My Little Paris』を事業化することを決意

ーーセリーヌさんはブルターニュ育ちで、ずっとパリに憧れていたそうですね。パリのどこがセリーヌさんを惹きつけたのでしょうか?
パリはバカンスで時折訪れる場所でした。街の美しさもさることながら、実家がベーカリーだったため、パリのベーカリー巡りが本当に楽しくて。マドレーヌ広場にある『ラデュレ』と、シェルシュ ミディ通りの『ポアラーヌ』のサンドウィッチは本当においしかったですね。パリの思い出は、食とリンクしています。
グランゼコール(高度専門職業人養成を目的としたフランス独自の高等教育機関)で学ぶため、18歳でパリに来てからは毎日のように散策し、毎年引っ越して様々なパリに触れていました。ロンドン、モントリオール、香港、アフリカと住みましたが、やっぱりパリが一番好きですね。
パリでの思いを懐かしそうに語るセリーヌさん
ーーパリで生活するようになってから『My Little Paris』を創業するまでを教えてください。
ソルボンヌ大学を卒業後、当時ロンドンに住んでいた恋人を追いかけて、現地のモルガン・スタンレーに就職して顧客の新規開拓をしていました。そんな中、『My Little Paris』の共同創業者となる2人と、共通の友人を介して会うことに。彼らはライターを探していて、大学で文学と歴史を勉強していた私は、最初はライターとして参加しました。
最初は趣味のつもりでした。でも私の記事で取り上げた砂糖がパリ中からなくなるほどの反響があったこと、当初は友人に向けたメルマガのつもりが、発刊の1か月後には千人、半年後には1万人と、購読者がどんどん増えたこと。これはフルで働かないとユーザーの要望に応えられないと感じるようになり、『My Little Paris』を創業しました。 
インタビューが行われた東京オフィス。愛らしいインテリアで統一されているのはパリ本社と同じ
ーー『My Little Paris』はフランスのほか、ドイツと日本で展開しています。なぜ遠く離れた日本を選んだのでしょうか?
創業時から携わっているイラストレーターのkanakoさんが日本人ですし、パリのオフィスに取材に来る日本の方は、必ずインテリアを「かわいい!」と言ってくれます。それで日本とは共鳴できる部分が多いと感じていました。アニエスベーやA.P.C.、メゾン キツネなど、日本で成功しているフランスブランドのイメージもありました。

『My Little Box』を通じて、楽しいサプライズを提供したい

「何歳になってもサプライズは嬉しいもの」と語るセリーヌさん
ーー『My Little Box』のアイデアも新鮮です。このシステムを思いついたきっかけを教えてください。
ポストを開けた時に、読者にうれしい驚きを与えたいからです。今、ポストに届くものといえばなんでしょうか? 請求書だったり、Amazonで注文したものだったり。自分がわかっているものばかりで驚きがありませんよね。でも幼い頃は、おばあちゃんからの小包が届いているなどのサプライズがありませんでしたか? 
サプライズは世界共通で楽しいことですし、テクノロジーは進化しても人の心は変わらないと信じています。
ーー『My Little Box』が人気を集めている理由を、どう考えますか?
やはり郵便ポストを開けた時のサプライズにあるではないでしょうか。ユーザーはラッピングを解くのに平均7分かけている結果が出ています。この時間はマトリョーシカを開けている時のように、メリー・ポピンズがバッグから何を出してくるのか待っている時のように、みなさん、ワクワクしているのではないでしょうか。
読者からは童心に帰るという意見をもらっていますし、誰かへの贈り物だけでなく、自分へのプレゼントとしても人気があるのは、そのおかげでしょうね。
『My Little Box』の魅力をマトリョーシカやメリー・ポピンズになぞらえたセリーヌさん

パリの本当の魅力を知ってもらうため、リアルな生活を見せる

ーー『マイリトルボックスからの贈り物 素敵なパリスタイル!』を出版した理由を教えてください。
私は東京やニューヨークに行くと、観光地よりも人の生活を感じられる場所に惹かれます。パリも同様で、本当の魅力はガイドブックに載っていないところにあります。それは路地にある良いお店だったり、誰かの家だったり。だから海外の方にパリジャン・パリジェンヌのリアルな生活をお見せしたいと思いました。
130人の従業員の周りには、何千人もの友人のサークルがあります。職人や起業家、クリエイター、アーティストなど、様々な職業の方を紹介することで、パリの多様性を示したかったのです。
『マイリトルボックスからの贈り物 素敵なパリスタイル!』の中で一番のお気に入り写真を見せるセリーヌさん
ーー好きなページはどれですか?
これは私と私の家族の写真です。気づかないうちに撮られていましたが、心が揺さぶられる写真になりました。当時お腹にいた子どもも、9か月になっています。
ーー日本文化に影響を受けている人が何人もいたのが印象的でした。
パリは日本ブームといえば、日本ブームです。そのブームは1世紀以上続いていますけれど(笑)。
ーー日本とフランスで、似ているところはどこですか?
新しい魅力的なお店ができると、新しもの好きなパリの人はすぐに並ぶのですが、そこにはたいてい先に日本人が並んでいます(笑)。このように気になるものがあれば、遠くまで行くのも厭わない部分が似ています。それに美しいもの、良いものを愛するセンスも。
「フランス人と日本人は好きなものセンスが似ている」とセリーヌさん 

2015年のテロを契機に、未来をより良くするサービスを提供したくなった

ーー『My Little Paris』の今後のビジネスの展望を教えてください。
パリのイメージは美しさや愛だと思うのですが、今後もそれらを活かした、さまざまなサプライズを仕掛けたいと思っています。
今、フランスとオランダ、デンマークだけで展開しているサービスを今後は東京でも始めたいし、中国やロシアでも事業をスタートさせたい。パリを中心にしたシナジーを世界中に伝えていきたいですね。
創業10年を迎えた『My Little Paris』。次の10年は社会的な取り組みを増やしていくそう
ーーセリーヌさん自身が『My Little Paris』を通じて叶えたい目標はありますか?
『My Little Paris』を始めて10年。2015年にパリではテロがありましたが、それ以降パリの人たちの考え方が変わってきました。以前はおいしいブランチの店を紹介した記事への反響が大きかったのですが、今はスタートアップや、自分でどう社会的なアクションを起こすのか…といった、ポジティブな記事に関心が集まっています。
社会的なアクションのひとつとして、エコロジーを意識した事業を始めています。『Green Letter』というニュースレターで、エコに関する情報を発信し始めましたが、これには大きな反響があります。そしてパリ市内に緑を増やすプロジェクトを、パリ市長とともに推進しています。
女性向けのコワーキングスペース『Mona』も作りました。日本のお母さんたちはとても大変だと聞きますが、パリも女性が働く場所として、決して理想的ではありません。フランスのスタートアップ企業の中で現状、資金調達ができている98%は、男性起業家によるもの。
AI技術も、男性が男性のために作っているように思えます。私には2人の娘がいますし、男女の不平等さをなくして対等にしたい。私たちには未来を良くする使命があります。そのためには女性同士が助け合い、さらに男性と女性が協力することが大事だと信じています。
最後の目標は、家族で東京に住むこと。ビジネスを展開するうえで、東京への移住は必要だということもありますが、日本食は世界で一番おいしいから(笑)。子どもたちの制服もかわいいしね。
「良い未来を描くため女性同士はもちろん、男女が協力することが大切」と語るセリーヌさん

『マイリトルボックスからの贈り物 素敵なパリスタイル!』

「マイリトルパリからの贈り物 素敵なパリスタイル! ~Chez les Parisiens~」¥3,000 + 税

フランスを拠点に、日本・ドイツで毎月異なるテーマでサプライズボックスを届ける『My Little Box』。パリのエスプリを感じるコスメやアクセサリー、雑貨などを詰め込んだボックスは世界中で15万人以上に愛用されています。

サービスのみならず、スタッフや家族のライフスタイルも注目されており、彼らのライフスタイルを凝縮した写真集がフランスで刊行。本書の日本語翻訳版では、『My Little Box』チームが取材したパリジェンヌのライフスタイルの中から、日本の読者にフィットする暮らし方が特に編集され、掲載されています。

大好評発売中!

「マイリトルパリからの贈り物  素敵なパリスタイル! ~Chez les Parisiens~」
【内容紹介】パリ現地に住む人しか知らないおしゃれスポット情報も満載! リアルなパリを感じられる 1冊です。
2019年2月28日発売 ¥3,000 + 税

本の詳細はこちらから

この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
PHOTO :
横田紋子
EDIT&WRITING :
津島千佳