1日数組のみ、コース料理のみの優しい家庭料理で癒されるレストラン
昔から隠れ家のようなレストランが多いエリア、東京・西麻布。地下鉄の路線や駅が増える東京都心のなかでも、どこの駅からもちょっと遠い分、「わざわざ足を運びたくなる」「そこにしかない味がある」店舗しか生き残れない場所。そこにこの春オープンしたのが、香港からやってきた「CHOY CHOY KITCHEN」です。
営業はディナーのみで、1日数組の限られたゲストに対して、提供するのは¥15,000からのお任せコースのみ。シェフのグレース・チョイは、CNNのプライベートキッチン10選に選ばれ、初出版のレシピ本は2019年のグルマン料理本大賞を受賞したばかりの、アジアの料理界でも注目の人物です。
そんな彼女が腕を振るうのは、伝統的な中国の家庭料理。上海出身の母と香港出身の義母から受け継いだレシピを基に、自ら市場へ足を運び、その日訪れるゲストのためにつくり上げたメニューを提供します。
「東京で滞在するときに中華レストランを訪れることも多いのですが、友人からも日本ナイズした中華料理、フュージョンスタイルが今の東京らしいものだと聞いていました。実際に中華料理の真髄を伝えるところは残念ながら多くはありませんでした」(グレース・チョイさん)
確かに、ジャンルとしては中華料理とされるラーメンや餃子も、日本では独自の進化を遂げ、バラエティーに富んでいます。そういったものを認めつつも、伝的なレシピに基づき、旬を大切にした素材を使い、自分の真心を込めた料理を届けたい。そんな思いでグレースはこのお店を始めることにしたといいます。
自宅のようにくつろいでほしいという想いから、ゆったりとしたキャパシティーが取られていて、席数はシェフズカウンター10席とテーブル席12席のみ。
グレースを間近で見られるシェフズカウンターに予約を!
グレースが料理人になったきっかけは、幼少のころから料理が好きで、会社員として働いていてもなおその夢を捨てきれなかったからでした。2011年に隠れ家レストラン「CHOY CHOY KITCHEN」を香港で開業。
惜しげもなくそのレシピを明かしていますが、彼女のこだわりのひとつが化学調味料を使わないこと。旬の食材を家庭に招いた人に出すように、自ら毎日選んだ材料でつくります。
残念ながら日本では香港と勝手が違う面が多々あり、香港の料理そのままというのは実現が難しい面もあります。例えば、鶏を使った料理。香港では一般的な生の鶏も、日本では手に入りやすいのはチルドされたもの。
「日本の食材で再現するのは難しい挑戦ではありますが、私が日本で伝統的な料理をつくる意味はあると思っています。私の真心をお伝えしたい。本質的な中華を届けたいと思っています」(グレースさん)
毎日異なる料理を提供するなかでも、代表的な料理として提供されるのが「Poached Soy Source Chicken」。香港でも一番の人気メニューだったこちらは秘密のオリジナルソースに浸し、ゆっくりした火入れで仕上げられるシンプルな一品。ジューシーで醤油がしっかり染みた鶏肉は、ごはんを食べる箸が止まらなくなります。
また、「Traditional Steamed Seasonal Fish」はグレースオリジナルの蒸し魚料理。どんなテクニックなのかは、ぜひグレースに聞いてみて。
味はシンプルだけど、奥行のある優しい味。お酒とペアリングするのもいいけれど、私は自宅のようにお茶と一緒にゆっくり食べたくなりました。まず訪れるならば、シェフズカウンターを予約してどんな調味料を使っているかすべて見せてくれるグレースをかぶりつき楽しむのがおすすめです。
問い合わせ先
- CHOY CHOY KITCHEN
- 営業時間/17:00〜23:00(Drink L.O. 22:00)※完全予約制
- 定休日/土曜・日曜・祝
- 席数/22席(シェフズカウンター10席、テーブル12席)
- TEL:03-6447-0252
- 住所/東京都港区西麻布1-11-13
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- 北本祐子