過疎化が進む鳥取の町おこし!高級食パン専門店「もう言葉がでません」による鳥取活性プロジェクト
「毎日が幸せになるようなパンを届けたい」「おいしさを超えた、楽しいベーカリーを」……そんなビジョンを持ち、全国各地で高級食パン専門店をはじめとしたさまざまな形態のベーカリーをプロデュースしてきた、岸本拓也氏。
彼が代表をつとめるジャパンベーカリーマーケティングは、2019年11月7日現在、108ものベーカリーをプロデュースしています。食パンに限らず、いろいろなパンを扱うゼネラルベーカリー、そしてクリームパン専門店などもあり、その種類は多岐にわたります。
元々ホテルマンだった経歴を持つ岸本氏は、ベーカリーづくりにおいても「訪れた人に、いかに幸せになって、楽しく帰ってもらうか」というホスピタリティを大切にしているそう。
そのため、岸本氏のプロデュースするベーカリーは毎回、内装やロゴ、店名に徹底的にこだわり、大衆の驚きやワクワク感を引き出すことに成功しています。
そして2019年11月8日(金)、岸本氏のジャパンベーカリーマーケティングが、自社直営としては初となる高級食パン専門店を鳥取市にオープンしました。その名も「もう言葉がでません」。
今回もインパクト大な店名の高級食パン専門店ですが、素材にこだわった口どけのよい食パンを地域の人々に届けることはもちろん、食パンの力で町おこしを目指す、「鳥取活性」プロジェクトでもあるというのです。
「もう言葉がでません」は、いったいどんなお店で、そしてどんなプロジェクトなのでしょうか?
「もう言葉がでません」の食パンに使用する厳選素材とは
その店名のとおり、絶句してしまうほどのおいしさを実現した「もう言葉がでません」の食パン。耳までやわらかく、最高に口どけがよいのが岸本氏のプロデュースしてきた高級食パン専門店の食パンの特徴ですが、今回もまたこだわりの素材を使用しています。
ポイントになっているのが、コーヒーに合うとされる黄褐色の砂糖「赤砂糖(琥珀)」。鳥取が砂糖とコーヒーの消費量がランキング上位であることから、この砂糖を使用するに至ったそう。赤砂糖は伝統的な製法でつくられており、独特の甘みとコクを持ち、味に深みを与えてくれます。
まるで粉雪のような雪塩は、ミネラル豊富でまろやかな味わいをプラス。食パンの甘みを引き立てます。
口の中でほどける、絹のような質感をつくり出すのに欠かせない小麦粉は、製法にこだわってつくられ、粒子が細かいのが特徴。ミルキーでコクがある無添加の上質な国産バターも使用しています。
また、独自の製法で水分を多く含んでいるので、耳までやわらかく、「のどごしがよい」とまで思えるようななめらかな口どけを実現しています。
こだわりの厳選素材を用いて、べースとなるレシピは2年もかかってつくられたという食パンは、まさに言葉にならないほどのおいしさ。今までに食べたことがない食パンでありながら、また食べたくなる、毎日食べたい……そんな日々の食卓に根付くような食パンなんです。
■1:赤砂糖のコクがある甘み「なまの口どけ」(プレーン)
厳選した小麦や無添加の生クリーム、国産バターを使用し、上品な口どけのプレーンタイプの食パン。ミルクとの相性も抜群な赤砂糖をブレンドすることで、優しい甘みに仕上がっています。
ひと口食べれば、そのあまりの柔らかさに驚くはず。生クリームなどの水分をしっかり保持しているので、もちもち感もあって、冷めていてもしっとりとおいしいんです。
さらに驚くのは、その甘み! 何もつけなくても、2、3枚はぺロリと食べきってしまいそう。飽きがこない、絶妙な優しい甘みなんです。
■2:酸味と甘みのバランス◎「まぼろし」(レーズン)
もう1種は、レーズンの入った食パン「まぼろし」。
たっぷりと練り込まれた芳醇なオーストラリア産のサンマスカットレーズンは、大粒でとってもジューシー。しっとりと舌触りのいい生地に、酸味と甘みのバランスが最高なサンマスカットレーズンが非常にマッチしています。
デザートにもなりそうな食パンなので、手土産としても喜ばれるのではないでしょうか?
食べ終わると、「今のはまぼろしか?」と思えるほどあとを引く、そしてまた次が食べたくなる……そんな食パンです。
■3:食パンに合わせたい2種のはちみつも販売!
今回、食パンに合わせて食べるとおいしいはちみつも販売されています。
店名になぞらえて「言葉がでないよハニー」と名付けられたはちみつは2種類。グアテマラ産のコーヒーを使ったはちみつと、イタリア産のレモンを使ったはちみつです。
京都の老舗はちみつ専門店・金市商店によるこのはちみつは、極力人工の添加物や香料を使わず、手づくりや素材にこだわってつくられています。
「コーヒー」はちみつは、コーヒーの味がするというわけではなく、コーヒーのような酸味がある深い甘さが感じられます。甘さだけでなく、後味はスッキリ。コーヒーに砂糖がわりに入れるのも、コクが出ておすすめだそう。アイスクリームやパンケーキのトッピングにも!
「レモン」はちみつは、柑橘系ならではのさわやかな香りとフルーティーな味わいが特徴。レモンに合わせてハニーレモンにしたり、お酢と合わせてバーモントドリンクにしたりするのもいいですね。ヨーグルトにかけるのもおすすめだそう。
鳥取を感じられる、こだわりのロゴデザインにも注目!
店名同様、見る人にインパクトを与えるのが、独特のイラストでお店のコンセプトを表現しているオリジナルロゴ。
食べたことがないおいしさの食パンを前に絶句しているような男性のイラストですが、よくよく見ると鳥取の名産品などがこれでもかと詰め込まれているんです!
生産量日本一の二十世紀梨、東西16㎞にわたる日本一広大な砂丘、全国でもトップクラスの水揚げ量を誇るハタハタ、冬の味覚の王様で今年の漁が解禁されたばかりの松葉ガニ、百名山にも選ばれている中国地方の最高峰・大山、霊獣・麒麟が舞う伝統芸能の麒麟獅子など、数々の鳥取名物が、男性の洋服に描かれています。
ぜひ探して、ロゴからも鳥取を感じてみてください。オープン当日の11月8日(金)と翌日の11月9日(土)には、このロゴの顔部分が描かれたオリジナルトートバックを先着100名にプレゼントするそうですよ。
目指すは鳥取活性!「ベーカリーお譲りします」プロジェクトとは?
実は岸本氏は、鳥取を本拠地とするサッカーのクラブチーム・ガイナーレ鳥取の代表取締役GMである岡野雅行氏と縁があり、この夏、ジャパンベーカマーケティングがガイナーレ鳥取のオフィシャルスポンサーに就任しました。
そして、「鳥取を一緒に盛り上げたい」という想いから、サッカーだけではなく、パンによって過疎化の進む鳥取を活性化すべく、直営のベーカリーをもオープンする運びに。
岸本氏は、異業種のオーナーとの取り引きも多い中、「地方で飲食業をやること」について相談される機会もあるのだとか。地方の飲食業を成功させるのは厳しいそうですが、パン屋は成功していると感じる岸本氏は、「地方には限りない可能性があり、パン屋で活性化することは可能なのでは」と話します。
岡野氏との縁から鳥取に興味を持った岸本氏は、改めて鳥取には大いなる自然、アニメカルチャー、たくさんのおいしい食材などがあり、とても魅力的な町であることに気づいたそうです。そして地方創生のビジョンのもと、自然と今回の「もう言葉がでません」のオープンにつながりました。
岸本氏には、当初は直営店として「もう言葉がでません」を軌道に乗せたのち、興味を持ってビジョンに共感してくれる地元のオーナーがいれば、お店を譲りたいという考えがあるのだとか。題して「ベーカリーお譲りしますプロジェクト」。
ベーカリー業界としては画期的な試みであるこの町おこしプロジェクト、鳥取県内で成功した暁には、お隣の島根県への展開も視野に入れています。
「島根県民には秘密にしてください。」と書かれたポスターが印象的でしたが、今後島根に展開することも見越しての、あえての「秘密」という文言がニクイですね。
「ベーカリーで地方を元気に」という壮大な目的を掲げたプロジェクトでもある「もう言葉がでません」。日本には、鳥取だけでなく、魅力的な土地がまだまだあります。今後、この流れは全国に広がっていきそうですね。
まずは「もう言葉がでません」の食パンを食べて、パンの持つ大いなる可能性を感じてみてはいかがでしょうか。
問い合わせ先
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- 小林麻美