カシミヤ、ビキューナ、アルパカなど、貴重な高級素材を、原毛の仕入れから検品まで手がけ、世界のトップメゾンからその生地を指名されるファブリックメーカーの「コロンボ」。
本社ファクトリーの取材で魅了された美しく豊かなものづくりを、最新アイテムとともにご紹介します。
繊細な配色で奏でるカシミヤコートが、日常をリュクスに
遠目からでもシックに着映えするカラーブロックのコートは、軽さと暖かさが格別なカシミヤのダブルフェース仕立て。
ニュアンス豊かな色合いとクリーンなシルエットが、上質な装いをモダンに更新したい、大人のおしゃれ心を満たしてくれます。
最高の素材が引き立てる、タイムレスなスタイル
シーンを問わず着られるネイビーのジャケットコートは、エクストラファインウールとアンゴラ混紡の、ダブルフェース。ピーコート風のダブルブレストで、着こなしの幅も広く愛用できます。ニットは、ふんわり暖かな最上級素材、キッドカシミヤの逸品。
夢のような着心地を、コロンボがかなえ続ける理由
イタリアの本社工場を、スタイリスト戸野塚かおるさんが訪れ、珠玉のファブリックができ上がる秘密を教えていただきました。
ミラノから車で1時間半ほどの地、ボルゴセシア。モンテローザからの雪解け水など、きれいな水と澄んだ空気に恵まれた風光明媚なこの一帯は、世界のトップ繊維ブランドが、高品質な毛織物をつくることで知られています。その高級繊維ブランドを牽引するリーダー的な存在が、コロンボです。
常に「最高」の糸を求め続けて…
創業者、ルイージ・コロンボ氏は、1960年代後半、織物産業に携わる叔父に影響を受け、希少で高価な糸のみを扱うことに心を決め、会社を興します。
以来一貫して、最上の素材を信頼できる原産地より入手。すべての工程に目を注ぎ、極上のファブリックを生産してきました。
今回、本社工場をスタイリスト戸野塚かおるさんが訪問。現社長、ロベルト・コロンボ氏に話をうかがう機会を得ました。
「創業よりわが社は、カシミヤ、キャメル、ビキューナ、グアナコなど希少性の高い素材を扱い続け、現在、ラグジュアリー素材の世界有数の生産者となっています。
それらの多くが、トップクラスのファッションメゾンに使われていることは、大きな誇りです。
素材の貴重さを考え、20年以上前から、内モンゴルなどで、素材のもとになる動物を育てる人々への教育にも取り組み続けています。
動物に負荷のないよう、自然な方法で原毛を調達することも大切に、追求しています」
「控えめな上質」を美学にした服づくり
日本でも販売している、オリジナルウエアについてもうかがいました。
「服づくりは、控えめであることが哲学です。ファッション性を見せつけなくとも、質の高い生地は人の心を満たします。上質でモダンな服を好む方に、支持されています」
お話の後には工場に足を運び、原毛の選別、洗毛、紡績…など、一連の工程を見せていただきました。初めて目にする光景は、驚きの連続!
「カシミヤ特有の毛並みを出すのに、アザミの実を使うと聞いたことはありましたが、今もここまで手をかけているとは…! だからこそ特別な手触りなのですね」と戸野塚さん。
高度な機械が駆使されていると同時に、大勢の職人が、織り目のひとつまでチェックし仕上げるなど、細かな作業に専念する様子にも感嘆。
「最高の素材にこれだけの技術と人の手をかけることで、ラグジュアリーな生地ができ上がるわけですね。トップメゾンから支持されるのも納得がいきます」と、感慨を深めます。
取材後、しばらくたってから日本にいる私たちにイタリアからニュースが届きました。
世界最大の素材見本市「プルミエール・ヴィジョン」のテキスタイル部門で、コロンボが技術革新を評価され、グランプリを受賞したというのです!
魂のこもった素材選びとたゆまぬ挑戦がつくり出すコロンボの生地。夢のような着心地の進化は、これからも続いていきます。
問い合わせ先
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- BY :
- 『Precious12月号』小学館、2019年
- PHOTO :
- 熊澤 透(人物)、唐澤光也(RED POINT/静物)、Frank Vaughan(ミラノ取材
- STYLIST :
- 戸野塚かおる
- HAIR MAKE :
- hiro TSUKUI(ヘア/Perle)、三澤公幸(メイク/3rd)
- MODEL :
- 立野リカ(Precious専属)
- COOPERATION :
- 丸の内ブリックスクエア 三菱地所
- EDIT&WRITING :
- 長瀬裕起子、中村絵里子(Precious)
- RECONSTRUCT :
- 安念美和子