自宅などでの待機を余儀なくされている人たちに、そして舞台芸術を愛する人たちに向けて、新国立劇場の過去の公演記録映像を無料ストリーミング配信する期間限定のサービス「巣ごもりシアター」。4月10日からスタートしているが、初回のオペラ『魔笛』が再生回数3万以上に達したのをはじめ、以降の作品(オペラ・バレエの舞台)も多くのアクセス数を記録して話題に。舞台芸術ファンを楽しませるだけでなく、日ごろ舞台に足を運ぶ機会がなかなかないという人たちの興味を深める機会ともなっている。

 日本だけでなく海外からも注目を集めている新国立劇場「巣ごもりシアター」だが、現在はオペラの舞台4作目となる『ドン・パスクワーレ』を配信(5月22日14時終了)している。

芸達者なキャストたちの演技と歌唱が好評を博した舞台

新国立劇場「ドン・パスクワーレ」より
新国立劇場「ドン・パスクワーレ」より

 19世紀前半のイタリアを代表する作曲家のひとりドニゼッティ。配信されている『ドン・パスクワーレ』は昨年11月に上演された舞台だが、それまで新国立劇場で上演されてきたドニゼッティのオペラといえば、『ルチア』と『愛の妙薬』の2作品。つまり、本作品は、大野和士オペラ芸術監督が、新国立劇場オペラのレパートリーのさらなる充実を目指して選んだ新制作の作品のひとつなのだ。そして、この極上のコメディ『ドン・パスクワーレ』の上演を待ち望んでいたオペラ・ファンも多かったという。

新国立劇場「ドン・パスクワーレ」より
新国立劇場「ドン・パスクワーレ」より

 物語は、若い恋人たちが機転のきく医師と手を組んで、大金持ちの老人ドン・パスクワーレをやりこめるという抱腹絶倒の展開。演出は、イタリアの著名劇場で数多くの作品を手がけているステファノ・ヴィツィオーリ。

 彼のプロダクションによる『ドン・パスクワーレ』は、1994年にミラノ・スカラ座での初演以来、イタリア各地で上演され続けている人気の舞台。舞台ファンの心をくすぐるイリュージョンのような舞台転換、精緻な舞台美術、絵画のような衣裳。そして、4人の主要な登場人物を魅力的に描き出した演出などで評価の高い決定版のひとつだ。

新国立劇場「ドン・パスクワーレ」より
新国立劇場「ドン・パスクワーレ」より

 加えて、タイトルロールを歌う、力強い声と高い演技力で日本でも大人気の名バス、ロベルト・スカンディウッツィをはじめ、選りすぐりのスター歌手たちが集合。彼らの演技と歌唱が、新国立劇場オペラパレスの客席の人々を魅了した。

 上質の舞台の臨場感を我が家で味わうことができる、この機会。ソファーにゆったり座って全3幕を鑑賞するのがおすすめ。笑いに次ぐ笑いを誘う名演技が、リモートワークの疲れや外出自粛による憂さを、きっと癒してくれるにちがいない。

G.ドニゼッティ作曲 オペラ『ドン・パスクワーレ 』

2019/2020シーズン(2019年11月9日上演)
全3幕 イタリア語上演/日本語字幕付
配信日:2020年5月15 日(金)15:00から22日(金)14:00

おうちでまったり!「巣ごもりシアター」はこちら

 おうちでまったり!「巣ごもりシアター」

※動画視聴に伴う通信料は視聴者の負担となります。

その他のお問い合わせはこちら

新国立劇場オペラサイト(日本語)

新国立劇場オペラサイト(English)

配信前にこれらを見ておけば、オペラ『ドン・パスワーレ 』の聴きどころや観どころがわかり楽しみが深まる。

巣ごもりシアター「ドン・パスワーレ」 関連動画集

出演者からのショートコメントと、公演のダイジェスト映像を紹介。

その他にも、新国立劇場公式YouTube チャンネルには、過去の公演のリハーサル動画やダイジェスト映像、出演者のインタビューなど、「巣ごもり」にぴったりの動画コンテンツが多数ある。この機会に視聴を楽しむのもいい。

新国立劇場 New National Theatre Tokyo

この記事の執筆者
音楽情報誌や新聞の記事・編集を手がけるプロダクションを経てフリーに。アウトドア雑誌、週刊誌、婦人雑誌、ライフスタイル誌などの記者・インタビュアー・ライター、単行本の編集サポートなどにたずさわる。近年ではレストラン取材やエンターテイメントの情報発信の記事なども担当し、ジャンルを問わないマルチなライターを実践する。
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