ここ数年、かき氷ブームはとどまることを知りません。連日、テレビや雑誌では「おいしいかき氷店」が特集され、SNSにはかき氷の写真があふれています。なぜこんなにもかき氷が人気なのか? 年間1,800食のかき氷を食べ続け、人気テレビ番組『マツコの知らない世界』のかき氷特集に2度も出演して話題の、「かき氷の女王」原田麻子さんに、その魅力をうかがいます。

かき氷の魅力は「儚さ」にある

かき氷スペシャリスト、「氷舍mamatoko(ヒョウシャママトコ)」の原田麻子さん
かき氷スペシャリスト、「氷舍mamatoko(ヒョウシャママトコ)」の原田麻子さん

原田さんがかき氷の魅力にとりつかれたのは約10年前。京都の老舗「京はやしや」で抹茶のかき氷を食べたまさにその「瞬間」だったと言います。

「それまで、かき氷に特に深い思い入れはなかったんですが、初めていわゆる着色料の抹茶シロップではなく、本格的な抹茶蜜を食べて、“かき氷ってすごい! おいしい!”と思いました」

かき氷は昔から夏の風物詩。しかし、こんなにも進化を遂げたのはつい最近のこと。

「東日本大震災以後、計画節電なども影響して、環境省がクールビズを掲げるようになったころからだと思います。昔ながらの涼み方や身体をクールダウンしてくれる食べ物に再び注目が集まった中のひとつがかき氷だったのかもしれません」

そのころ、すでにかき氷の魅力に取りつかれていた原田さんは、おいしいと聞いたかき氷を食べるために、東京を中心に食べ歩いていた。その数は、年間1,800食。日計算すると1日3杯は食べているというから驚きです。

「かき氷の世界はとても奥深くて、氷の削り方ひとつで味が左右されることも。まさに職人技なんです。それを生み出す店主さんたちが、憧れの存在になっていきました」

匠たちとの出会いが、原田さんを変えた。当時、新聞記者として忙しく働いていた原田さんのモチベーションは、すでに「自分の店をもちたい」という方向に変わっていたのです。

「お店をオープンさせるにあたり、ほかのお店で修行させてもらったり、いろいろな方にアドバイスをいただきました。この時期にかなり知識を蓄えることができたと思います」

中野新橋にある「氷舍mamatoko(ヒョウシャママトコ)」
中野新橋にある「氷舍mamatoko(ヒョウシャママトコ)」

そして2016年の夏。中野新橋に念願の「氷舍mamatoko(ヒョウシャママトコ)」をオープン。行列ができる人気店へと成長しました。ここまでのめり込んだかき氷の魅力を原田さんはこう語ります。

「かき氷って、儚いですよね。すぐに食べないと溶けてしまう。その一瞬のためにすべて注ぎ込む。そこに魅力を感じています」

中野新橋にある「氷舍mamatoko(ヒョウシャママトコ)」の店内
中野新橋にある「氷舍mamatoko(ヒョウシャママトコ)」の店内

大人におすすめする「氷舎mamatoko」のかき氷5選

最近のかき氷の進化はすごい…ということで、原田さんのお店「氷舎mamatoko」で、大人がぐっとくるかき氷を厳選。意外な組み合わせに驚いてしまう、「はじめまして」のかき氷もお届けします。

■1:辛味と氷が好相性でファンの多い「しょうが」

しょうが ¥800
しょうが ¥800

かき氷好きにファンが多いという「しょうが」のかき氷。すりおろしたしょうがを、カレーなどに使うクローブというスパイスと一緒に煮込んでいるというソースは氷と相性抜群!

■2:まるでコッペパン!?「お醤油黒糖みるくに小豆」

お醤油黒糖みるくに小豆 ¥900
お醤油黒糖みるくに小豆 ¥900

氷全体を覆うようにかけられた醤油+ミルクのソースを、小豆の優しい甘みでまろやかに。まるでコッペパンを食べているような、新鮮なのにどこか懐かしい味わい。

■3:甘酸っぱさが魅力の「ラズといちごとみるく」 

ラズといちごとみるく ¥1000
ラズといちごとみるく ¥1000

ふんわりときめ細やかな氷に、色鮮やかなラズベリー&ミルクのソースをこれでもかというほどにどっさりトッピング。絶妙な甘酸っぱさが食欲をそそります。

■4:日替わりの日本酒を使った「酒粕クリームとヨーグルト練乳」

酒粕クリームとヨーグルト練乳 ¥850
酒粕クリームとヨーグルト練乳 ¥850

酒粕クリームに使う日本酒は日替わり(この日は「京都 桃の滴」を使用)。見た目はいたってシンプルなのに、口の中に入れると広がる深い味わいが広がります。ちなみに、酒粕クリームレアチーズ(¥900)もあり。

■5:新鮮な果肉を堪能できる「もも」

もも(山梨県産)¥1,000
もも(山梨県産)¥1,000

新鮮な桃の果汁や果肉を余すことなく使った、シンプルなかき氷。まるで桃そのものを食べているようで、食べ応えも抜群です。

「氷舍mamatoko(ヒョウシャママトコ)」のメニュー
「氷舍mamatoko(ヒョウシャママトコ)」のメニュー
「氷舍mamatoko(ヒョウシャママトコ)」の店内
「氷舍mamatoko(ヒョウシャママトコ)」の店内

まだ出合ったことのないかき氷もあったのでは? 「かき氷は儚いもの」。四季を繊細に感じ取る日本人にとって、春の桜、夏の花火、秋の紅葉に冬の初雪と同じように、「かき氷」も特別なものなのかもしれません。これからもまだまだ続くであろう、かき氷のニューウェーブ。ぜひ、麗しのかき氷に会いに「氷舍mamatoko」へ足を運んでみてください。

PROFILE
原田麻子(はらだ あさこ)
1983年生まれ。高校時代から読者モデルとして多数のストリート雑誌で活躍。大学卒業後は、新聞記者に。2016年、かき氷好きが高じて、「氷舍mamatoko(ヒョウシャママトコ)」をオープンさせる。テレビ番組『マツコの知らない世界』では、かき氷のスペシャリストとして2回の出演を果たす。自身のインスタグラム@achakokoでは、毎日のかき氷日記を更新中。

問い合わせ先

  • 氷舎mamatoko(ヒョウシャママトコ) 
  • 営業時間/[月・水・木]14:00~19:00(L.O.18:30)、[土・日]13:00~18:00(L.O.17:30)
    早終い・不定休あり
    座席数/11席(予約不可)
  • 住所/東京都中野区弥生町3-7-9 メゾンモンターニュ 
この記事の執筆者
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石野千尋(@)