Preciousウォッチアワード審査員7名はここに着目!百花繚乱の新作ラグジュアリーウォッチ、その潮流を総括!

ラグジュアリーウォッチ、特にレディスモデルは、近年に類を見ないほど豊作だった2021年。パンデミックによる影響は少なからず受けながらも、高級時計市場は活況を見せています。

マニュファクチュールからジュエラー、トータルファッションメゾンまで、華やかに出揃った新作から、審査員たちが着目した2021年の潮流とは!?

「Precious WATCH AWARD 2021」審査員

雨宮 塔子さん
フリーキャスター・エッセイスト
(あめみや とうこ)TBSのアナウンサーとして活躍後、1999年に退社し渡仏。フランス語、西洋美術史を学ぶ。2016〜2019年、『NEWS 23』(TBS)のキャスターを務めた後、再びフランスへ。スイスの時計フェアの取材歴もあり、時計への造詣は深い。2021年にはYouTubeチャンネル「À l'aube」を開設。
犬走 比佐乃さん
スタイリスト
(いぬばしり ひさの)本誌をはじめ数々の女性誌や、長年担当している鈴木保奈美さんほか、多くの女優のスタイリングも手掛け、「マダム犬走」の愛称で広く支持されている。30年以上第一線を走り続けているキャリアで培われた「名品」に対する高い審美眼には定評があり、時計好きとしても知られる。
関口 優さん
『HODINKEE Japan』編集長
(せきぐち ゆう)時計専門誌の編集長を4年間務め、2019年9月、世界的な時計デジタルメディア『HODINKEE Japan』の編集長に就任。2020年12月には『HODINKEE マガジン日本版』を創刊し、デジタルと両輪で日本における時計ジャーナリズムを牽引する。最新号が12月3日に発売された。
立野 リカさん
モデル
(たつの りか)アメリカ・カリフォルニア州出身。特技のテニスは、ジュニア時代に全米ダブルスで優勝したほどの腕前。2011年、モデルとしての活動をスタート。2015年9月から本誌専属モデルを務める。仕事柄多くの名品ウォッチを手にしてきた経験から、磨き抜かれた審美眼の持ち主に。
本間 恵子さん
ウォッチ&ジュエリージャーナリスト
(ほんま けいこ)大学卒業後、宝飾メーカーに入社。ジュエリーデザイナーとして勤務した後、その知識を生かし、宝飾専門誌エディターに転身。その後フリーランスとなり、女性誌や新聞など幅広いメディアで専門性の高い記事を執筆している。アンティークウォッチの愛好家としても知られている。
岡村 佳代さん
ウォッチ&ジュエリージャーナリスト
(おかむら かよ)名品時計のムックを手掛けたことをきっかけに、その魅力に開眼。スイスの時計フェアの取材歴は20年以上と業界屈指のキャリアを誇り、女性に機械式時計の魅力を啓蒙した第一人者としても知られる。マニアックになりすぎないわかりやすい筆致で、女性誌、男性誌から専門誌、新聞と、幅広い媒体で記事やコラムを執筆している。
守屋 美穂
『Precious』 編集長
(もりや みほ)小学館入社以来27年にわたり、女性ファッション誌の編集や新媒体の立ち上げに携わる。読者ターゲットである働く女性のファッションから美容、ライフスタイルまで幅広い分野に精通する。ラグジュアリーウォッチに関しても、スイスの時計展・バーゼルワールド取材経験も。

ますます選択肢が増えた女性のための機械式時計

2021年も、ラグジュアリーウォッチの新作発表は春先から本格的にスタートしました。Preciousでは日本上陸を果たしたニューモデルを徹底取材し、9月号でお届けしましたが、それ以降に発表された最新作も合わせ、「大人の女性にふさわしい」時計を吟味。タイプごとにカテゴライズし、「名品の真価を知る」7名の審査員によって厳正な審査を行い、各部門で最多の票を得た時計がアワードに輝きます。

パンデミック2年目となった2021年でしたが、混乱を極めた2020年を乗り切ったラグジュアリーメゾンは、近年にないほど精力的に新作を発表。特にレディスウォッチは、男性時計愛好家から羨望されるほどの充実ぶりでした。

「年々機械式ムーブメント搭載のレディスウォッチが増え続けてきたように感じていましたが、今回はさらに魅力的な、女性のための機械式時計が出揃いました。時計としての真価を追求する女性は、今後も増えていくでしょう」(雨宮塔子さん)

時計_2,高級時計_1
『エジェリー・オートマティック』¥5,016,000 (ヴァシュロン・コンスタンタン)

●ケース:PG×ダイヤモンド
●ケース径:35mm
●ブレスレット:PG
●自動巻き

時計_3,高級時計_2,ダイヤモンド_1
『コンステレーション スモールセコンド』¥1,683,000 (オメガ)

●ケース:セドナゴールド×SS×ダイヤモンド
●ケース径:34mm
●ストラップ:アリゲーター
●自動巻き

フェミニンなディテールやダイヤモンド使いでエレガントに仕上げた、「女性のための機械式時計」。ケース径も35mmを切るものが多く、時計に対して保守的な女性にもつけこなしやすく。


それに呼応し、以前はレディスウォッチにはあまり見受けられなかったスケルトンウォッチが、ひとつのトレンドに。各メゾンの個性を映し出したエレガントな新作が話題を呼びました。

「今やレディスモデルでも、機械式ムーブメント搭載ならシースルーバックが当たり前に。女性の、時計に対する意識が成熟してきた証拠かもしれません」(守屋美穂)

時計_4,高級時計_3
『ルチェア スケルトン ウィンター 日本限定モデル』¥1,111,000 ※日本限定150本(ブルガリ)

●ケース:SS
●ケース径:33mm
●ストラップ:アリゲーター
●自動巻き

時計_5,高級時計_4
『ボーイフレンド スケルトン』¥13,530,000 ※世界限定55本(シャネル)

●ケース:ベージュゴールド×ダイヤモンド
●ケースサイズ:縦 37×横28.6mm
●ストラップ:キルティングパターンカーフスキン(インターチェンジャブル)
●手巻き

「女性のための機械式時計」の充実と呼応し、ムーブメントで魅せる「スケルトンウォッチ」も多くデビュー。


ジェンダーの垣根を越えた「ケース径40mm弱」が最旬サイズ

女性のための機械式時計の充実は、近年時計界を席巻している「ラグジュアリースポーツウォッチ」人気とも深く関連。その潮流はケース径40mm弱の「ジェンダーレスウォッチ」の台頭へと繋がっていきました。

「ふだんから撮影現場で、大ぶりの時計が増えたなと感じてきました。自分の意思で選び、自分の力で手に入れる、かっこいい女性像が浮かび上がります」(立野リカさん)

「時計専業ブランドでは、ケース径38mm程度のジェンダーレスサイズのモデルにおいて、女性を意識したつくりにしてきている印象。それは文字盤のエレガントなつくり込みなどに顕著に表れています。今季では、『パテック フィリップ』や『ヴァシュロン・コンスタンタン』、『オーデマ ピゲ』の、いわゆる三大メゾンがこぞって注力して業界をリードしていますね」(関口優さん)

時計_6,高級時計_5,ダイヤモンド_2
『ピアジェ ポロ』¥4,488,000(ピアジェ)

●ケース:PG×ダイヤモンド
●ケース径:36mm
●ストラップ:アリゲーター
●自動巻き

時計_7,高級時計_6,ダイヤモンド_3
『アクアノート・ルーチェ 5267/200A』¥2,310,000 (パテック フィリップ)

●ケース:SS×ダイヤモンド
●ケース径:38.8mm(10〜4時位置)
●ストラップ:コンポジット素材
●クオーツ

「ラグジュアリースポーツウォッチ」の人気はさらに加速! あわせて、ケース径40mm弱の「アラフォー」サイズも当たり前になり、「ジェンダーレスウォッチ」の拡充へと繋がった。


心華やぐ「綺麗色」は希望に満ちた未来への予感

一方で、特にジュエラーが手掛ける新作では、メゾンを象徴するアイコンウォッチで、「綺麗色」をまとったモデルが目を引きました。

「無意識のうちに、美しい色、明るい色を希求していたのかということに、私自身も気づきました。すでにベーシックな定番的名品を揃えた大人の女性に、高級市場が着目したのかもしれませんね」(犬走比佐乃さん)

「石留め、彫金、エナメルなど、工芸分野の職人たちのクラフツマンシップが光ったのも印象的でした。全体的に文字盤が非常に秀逸。高級時計は、やはり文字盤が大事だと再認識しました」(本間恵子さん)

時計_8,高級時計_7
『ハッピースポーツ 日本限定エディション』¥566,500 ※日本限定100本(ショパール ジャパン プレス)

●ケース:SS
●ケース径:30mm
●ストラップ:カーフ
●クオーツ

時計_9,高級時計_8,ダイヤモンド_4
『HW エメラルド』全色各¥1,760,000 (ハリー・ウィンストン)

●ケース:WG×ダイヤモンド
●ケースサイズ:縦24×横17.7mm
●ストラップ:サテン
●クオーツ

ストラップやダイヤル、そしてディテールに、鮮やかな「綺麗色」を採用したモデルが、例年にないほど華やかな話題を振りまいた2021年。明るい未来を予感させる幸福なオーラは心を明るく照らす。


女性にとって腕時計は古今東西、ただ単に時間を知るためのツールではなく、装い、気持ちを高め、そして自分自身のセンスや価値観を映し出すもの。

「スマホで正確な時間がわかる現代において、ラグジュアリーウォッチ市場の賑わいは矛盾している現象にも見えます。しかし便利な世の中になったからこそ、腕時計に魅力を感じ、価値を見出す女性が増えたのでしょう」(岡村佳代さん)

アワードに輝いた時計たちは、おしゃれの年輪を重ね、場数を踏んできた大人の女性たちの心を揺さぶる顔ぶれになったと確信しています

※2021年「Precious Watch Award」「MEN'S Precious WATCH AWARD」受賞ウォッチはこちら!さらに、今年一番輝いた時を過ごした「時の人」も選出!詳しくはこちら

 

※掲載した商品は、すべて税込価格です。

文中の表記は、WG=ホワイトゴールド、PG=ピンクゴールド、SS=ステンレススティールを表します。

問い合わせ先

PHOTO :
生田昌士(hannah/人物)、戸田嘉昭・池田 敦(パイルドライバー/静物)
STYLIST :
押田比呂美(レディス)、関口真美(静物)
HAIR MAKE :
川原文洋(UM/レディス)
MODEL :
立野リカ(Precious専属)
EDIT&WRITING :
岡村佳代、安部 毅、安村 徹・佐藤友貴絵(Precious)