世界各地から集めたメンズリングが一堂に!

ヴァン クリーフ&アーペルのサポートを受け2012年に開校したジュエリーと宝飾芸術の学校「レコール」による、メンズリング コレクションをテーマとしたエキシビションが、2022年3月13日(日)まで六本木・東京ミッドタウン内「21_21 DESIGN SIGHTギャラリー3」にて開催中です。

エキシビジョン「メンズ リング イヴ・ガストゥ コレクション」の会場
エキシビション「メンズ リング イヴ・ガストゥ コレクション」の会場

本エキシビションは、パリの有名アンティークディーラーであるイヴ・ガストゥ氏が集めた古代から現代に至るまでのメンズリング コレクションの中から、厳選された逸品を集結したもの。メンズリングにフォーカスしたコレクションは珍しく、大変貴重な内容となっています。

アンティークディーラーのパイオニア的存在として名高いイヴ・ガストゥ氏

イヴ・ガストゥと彼の息子ヴィクトール・ガストゥ
イヴ・ガストゥと彼の息子ヴィクトール・ガストゥ(C)ギャラリー・イヴ・ガストゥ

フランスのカルカソンヌで古美術商をはじめたイヴ・ガストゥ氏。1986年にパリのボナパルト通りに開いたギャラリーが、パリのサンジェルマン・デ・プレ地区を代表する有名スポットとなったことにより、彼の名は広く知られるようになりました。

40年以上にわたりアート市場を開拓してきた彼は、まさにアンティークディーラーとしての先駆け的存在でもあります。

イヴ・ガストゥ氏コレクションによるメンズリングの数々
エキシビションにて展示されるガストゥ氏によるメンズリングのコレクション。

2018年にパリの「レコール」で展示されるまでその存在は秘密にされていたという、ガストゥ氏が所有していた類稀なメンズリングの数々。2020年に生涯を終えるまで、30年以上にわたり世界各国を旅しながら集めてきた作品たちは、彼の人生の偉業であり、究極のクリエーションでもあります。

約400点もの多彩なアイテムに出合える巡回展

2018年のパリでの開催後、今回の東京、そして香港で行われるこの巡回展では、彼が長年にわたり集めてきた作品たちのなかから、コレクションを象徴する400点余りが披露されます。

「歴史」「ゴシック」「キリスト教神秘主義」「ヴァニタス(空虚)」「幅広いコレクション」という5つのテーマに則し展示されており、全体を通してひとつの小説のような構成となっています。それぞれのリングから、ガストゥ氏というコレクターとしての背景や、彼を想起させるストーリーなど、アイデンティティを垣間見られる点も見どころのひとつです。

17世紀のヴェネツィア共和国のドージェ(元首)がはめていたリングなど、間近で目にすると女性用のジュエリーとはまた違った魅力に気づかされるはず。そのなかから、主要な展示作品についてご紹介します。

■1:驚くほどに凝ったディテールが施されたリングたち

イヴ・ガストゥコレクションより、ヴェネツィア元首の指輪、オルゴールの指輪
左/ヴェネツィア元首の指輪。カーネリアンに施された楕円形のインタリオ(沈み彫り)には、葉のモチーフとヴェネツィア共和国の元首の紋章を象ったモチーフがデザインされている。右/オルゴールの指輪。ゴールドとシルバー製の19世紀につくらたもの(写真:ベンジャミン・チェリー)

ひときわ高い権力の象徴であるヴァネツィア共和国のドージェ(元首)が身につけていたリングは、ベゼルを開くと封蝋を入れておくための空洞があり、シーリングスタンプとしても使用することが可能。この空洞は、毒を隠すためにも使われていたそう。

写真右のリングは、音楽の演奏装置がジュエリーに組み込まれているという、極めて珍しい逸品。花のモチーフに隠された歯車を回転させることで、音が鳴る仕組みとなっています。

■2:その繊細なつくりに息を呑む「司教の指輪」

イヴ・ガストゥ氏のメンズリングコレクションより「司教の指輪」
司教の指輪。1920年から30年の間に作られたもの。(写真:ベンジャミン・チェリー)

中央のアメジストの周りにダイヤモンドを配した「司教の指輪」は、ガストゥ氏お気に入りリングのひとつ。司教の白手袋の上から着用することができるよう、側面の幅が広くなっています。礼拝だけでなく日常生活のなかでも着用されるこうした指輪は、ミサや行列の際に手袋の上から着用できるよう、調整可能となっているそう。

■3:愛する人の死を乗り越えるために作られた「哀悼の指輪」

イヴ・ガストゥメンズリングコレクションより、英国の哀悼の指輪
イギリスにおいて亡くなった人を偲んで着用された哀悼の指輪。左のリングには、オープンワークのゴールドにカメオが嵌め込まれています。右のリングは、リングの両肩にパルメットと呼ばれる唐草模様のモチーフがあしらわれたニエロ象嵌。ベゼルには人間の髪の毛があしらわれているのが特徴。(写真:ベンジャミン・チェリー)

18世紀後半から19世紀初頭にかけて、イギリスにおいて亡くなった人を偲んで着用されていたという哀悼の指輪は、愛する人の死を乗り越えるために、死者に捧げる哀歌や追悼の言葉とともに作られたそう。指輪には、故人の名前が刻まれたり、遺髪や肖像画が入っていることも。


以上、現在開催中の「メンズ リング イヴ・ガストゥ コレクション」エキシビションについてご紹介しました。ジュエリーは女性的なものというイメージを超越する、個性豊かなメンズリングの数々とその背景にある歴史や文化を体感しに、ぜひ会場へ足を運んでみてください。

※外出時には新型コロナウィルスの感染対策を十分に講じ、最新情報は公式HPなどでご確認ください。
※イベントは予告なく変更・中止になる可能性がございます。予めご了承ください。

<「メンズ リング イヴ・ガストゥ コレクション」エキシビション詳細>

問い合わせ先

ヴァン クリーフ&アーペル ル デスク

TEL:0120-10-1906

この記事の執筆者
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PHOTO :
(C)ギャラリー・イヴ・ガストゥ(ガストゥ親子のポートレイト)、ベンジャミン・チェリー(指輪写真)
EDIT :
池尾園子