ウォッチ&ジュエリージャーナリストの岡村佳代です。
ラグジュアリーウォッチの取材を始めてから、気づけばもう20年以上経過しており、「ベテラン」とおっしゃっていただくことが多くなりました。乙女心的(笑)には複雑ですが、こうして新たに生まれた美しい時計たちと出合うたびに、少女のようにまっさらな気持ちでときめきます。ラグジュアリーメゾンの美学が凝縮された名品時計の数々――その魅力や物語をお伝えしていきたいと思います。
なんと! 極小の手巻きムーブメントを搭載した“セルペンティ”のシークレットウォッチが登場!
TIME IS A JEWEL――「ブルガリ」は2022年、ウォッチメイキングにおけるメゾンのコンセプトとして、「時は宝石」という言葉を掲げました。
その言葉に込めた思いを、「ブルガリ」のウォッチ デザイン センター シニア・ディレクター、つまりデザイン部門のトップであるファブリツィオ・ボナマッサ・スティリアーニ氏はこう語ります。
「我々のメゾンは皆さまから、よく、“色石の魔術師”という枕詞をつけて頂きますが、ジュエリーのように美しい時計をつくることが使命だと思っております」
今回、“セルペンティ”から4モデル、“オクト ローマ”からはコンプリケーションウォッチが2モデル、さらに“ルチェア”からも新モデルが3タイプと、圧巻のコレクション拡充を果たした「ブルガリ」ですが、「時は宝石」を最も体現しているのが、新開発の極小手巻きムーブメントを搭載した“セルペンティ ミステリオーシ ハイジュエリー シークレット ウォッチ”です。
時計の「命」、それ自体が美しくノーブルな「宝石」のひとつと解釈できるこの新開発ムーブメントは、直径わずか12.3mm、厚さ2.5mmという小ささ! もちろん、スイスのル・サンティエにあるマニュファクチュールで完全に自社開発、製造されたもので、“ピコリッシモ(イタリア語で極小の意)”と名づけられました。
一方、高い宝飾技術と豪華な宝石たちが結合した、ブレスレットやケースなどのジュエリーメイキングが行われているのは、イタリア・ローマのハイジュエリー工房。まさに「イタリアの美意識とスイスの時計製造技術力」を昇華させた、「ブルガリ」の唯一無二を雄弁に語るマスターピースが誕生したのです!
女性の日常を彩るふたつの“セルペンティ”が新たな表情を宿して
「ブルガリ」の象徴である”セルペンティ”のなかでも、働く女性たちの手元を彩り、ともに時を刻んでいくにふさわしい“セルペンティ トゥボガス”と“セルペンティ セドゥットーリ”。それぞれ新たなアプローチで、この偉大なアイコンの可能性をさらに広げました。
まずは、“セルペンティ トゥボガス”。日常に寄り添うシングルスパイラルのモデルが、イエローゴールド回帰を果たしました!
80〜90年代の華やかなムードを象徴するイエローゴールド。2000年代に入ってから、ウォッチ&ジュエリー界ではピンクやローズゴールドが台頭し、現在に至りますが、これからイエローゴールドがじわじわと復権を果たしそうな気配が漂っています。
実は世界的にもずっとニーズが高く、潜在的にイエローゴールドを望んでいたPrecious世代も多いのでは?
今回、「ブルガリ」がメゾンのシグネチャーにイエローゴールドを採用したことは、時計界の今後のトレンドにも影響を与えることでしょう。
そして、2019年に新たなブレスレットをまとい誕生した“セルペンティ セドゥットーリ”からは、ブラックラッカーダイヤルのモデルがデビュー!
これまでのホワイトダイヤルからドラマティックに変化したその表情は、妖艶かつシャープ。六角形のパーツが連なるブレスレットとのグラマラスなバランス、リュウズにあしらわれたカボションカットのピンクルベライトとのコントラストが際立ち、官能的な雰囲気を漂わせます。
ブルガリのシグネチャーである『セルペンティ』だけでも、これほど豊かなクリエイティビティを発揮したブルガリ。とても1回だけではお伝えしきれないので、前後編と2回に分けてお届けします。
後編は、高度な複雑機構を搭載したコンプリケーションを豪奢な宝石で彩った、ローマンハイジュエラーならではの作品(もはや芸術品の粋!)をご紹介する予定です。
※掲載商品の価格は、すべて税込みです。
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- 岡村佳代さん 時計&ジュエリージャーナリスト