“ポエトリー オブ タイム(詩情が紡ぎだす時)”──「ヴァン クリーフ&アーペル」が追求し続けている、独自のウォッチメイキングにおけるテーマのもと、このメゾンでしかなし得ない、そして「時計」の概念を超越したアートピースが誕生しました。
開いては閉じていく花々が、ロマンティックに時を告げて
Preciousの名品ウォッチにおけるひとつの大きなキーワードは「働く手元にふさわしい」。ではありますが、今回はそれはいったん置いておいて、「ヴァン クリーフ&アーペル」というメゾンの哲学を具現した、夢いっぱいのロマンティックなコンプリケーションをお届けしたいと思います。
それは新たな「ポエティック コンプリケーション」、“レディ アーペル ユール フローラル ウォッチ”。
この時計を見て、誰しもが「時計なの!?」、「シークレッットウォッチ?」と思うことでしょう。ご覧の通り、インデックスはおろか、針の1本すらそこには存在しません。では、どうやって時を知らせるのか? なんと、文字盤の上に咲き誇る12輪の花々が時刻を告げてくれるのです。
1時間ごとに変わっていく、文字盤上の庭の景色
時を知らせる役割を担うのが、12輪の花々、その花びらの開閉です。1時間経過するごとに1輪ずつ開花していく──つまり、1時なら1輪、2時なら2輪という風に。しかしただ単に咲いている花が増えていくわけではなく、1時間経過するごとに一度すべての花が閉じ、また新たに別のフォーメーションで花々が開花するのです。
さらに花が咲く順番は、午前と午後で変わり、さらにまた翌日には開く花の組み合わせが変わっていくのです!
着想源は、偉大な植物学者が遺した「花時計」のコンセプト
「現代の花時計」といえる“レディ アーペル ユール フローラル ウォッチ”。そのインスピレーションの源は、まさに18世紀に考案された「花時計」のコンセプトです。
時は遡ること、1751年。スウェーデンの植物学者カール・フォン・リンネが、著作『植物哲学』の中で、「非常に多彩な植物から成る庭園を想定し、一日における花の開閉時間を利用すれば、時間を知ることができる」という考察を発表しました。「ヴァン クリーフ&アーペル」はこの原理を応用し、“レディ アーペル ユール フローラル”と“レディ アーペル ユール フローラル スリジエ”というふたつの傑作を生み出したのです。
「ヴァン クリーフ&アーペル」プレジデント兼CEOニコラ・ボス氏はこう語ります。
「このプロジェクトは、ひとりの偉大な植物学者と異色のウォッチメーカーの出会いから生まれました。動植物分類学の父として知られるカール・フォン・リンネは、庭を時計にするという詩的なアイディアを抱いていました。一方、ヴァン クリーフ&アーペルは、独自の時計制作を追求する中で、芸術と科学の境界線上にある、リンネの素晴らしい花時計のコンセプトに関心をもったのです」
寒色系の花々が夏を思わせる“レディ アーペル ユール フローラル ウォッチ”
優しいトーンのブルーとグリーンの色調が夏の花々を想起させ、ホワイト・マザー・オブ・パールを背景に、葉や 花のモチーフが繊細に浮かび上がります。
同デザインで「桜」を表現した“レディ アーペル ユール フローラル スリジエ ウォッチ”
幸福感あふれる春の情景のなかで、メゾンを象徴する神秘的なブルーの蝶がピンクと赤の花々の間を飛び交い、文字盤のレリーフ効果を際立たせています。
「時計制作のプロジェクトに取り組む際、私たちが目指すのは、流れゆく時が紡ぐ詩情をメカニズムによってとらえることです。花が開いたり、閉じたりすることで時間を測ること以上に、詩的な方法はないでしょう」ニコラ・ボス プレジデント兼CEOのこの言葉の通り、掛け値なしに、腕時計史上もっとも詩的でロマンティックな作品を見事につくりあげた「ヴァン クリーフ&アーペル」。
この至高のハイコンプリケーションウォッチを手にできるのは、ごくわずかの限られた人だけです。でも、この作品は、究極のエレガンスを希求し続けているメゾンの美学を改めて伝えてくれます。
※掲載商品の価格は、すべて税込みです。
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- TEXT :
- 岡村佳代さん 時計&ジュエリージャーナリスト