本誌の読者にとっては、もはや説明不要だろうが今一度「サイ」についておさらいを。デザイナーの日高久代とパタンナーの宮原秀晃が手掛ける「サイ」は、テーラー用語で袖ぐりや鎌を意味する“SCYE”から名付けられたブランド。英国を出自とするクラシックを基調としながら、メンズクロージングの様々なエレメントをモダンに解釈し、卓越したパターンメイキングから生み出されるプロダクトは、メンズ、ウィメンズ共に根強い人気を誇る。一方の「パドモア&バーンズ」は、OVER40にとっては懐かしさを覚える人も多いだろう。

その歴史は古く、1934年の創業以来、アイルランドに伝わる伝統的なハンドメイド技術を活かした靴作りを継承。とくに独自に開発したハンドステッチによるフルモカシンのシューズは、クラークス社へと提案され、以降も同ブランドの提携工場としてワラビーに代表されるアイコニックなシューズの生産を請け負うなど、その確かなクラフツマンシップは連綿と受け継がれている。90年代末期に「シュプリーム」とのコラボレーションモデルをリリースすると一躍日本での知名度も高まり、その後セレクトショップの別注モデルや「アナトミカ」とのコラボレーションなどを通して、普遍的なデザインと技術力の高さを世に知らしめている。

決して色褪せることのないクラシックな佇まいを助長する3アイレット仕様

ブーツ¥40,700(マスターピースショールーム〈サイ×パドモア&バーンズ〉)
ブーツ¥40,700(マスターピースショールーム〈サイ×パドモア&バーンズ〉)
ブーツ¥40,700(マスターピースショールーム〈サイ×パドモア&バーンズ〉)

さて、前置きも長くなったが、改めてコラボレーションモデルを紹介しよう。一見するとスエード素材のシンプルなデザートブーツだが、従来のそれと比べて随分エレガントに感じるのは、端正なシルエットに依るところが大きい。「パドモア&バーンズ」のインラインモデルや、それこそ「クラークス」は2アイレット仕様で、コロンとした愛嬌のあるフォルムが特徴でもあった。

一方、本モデルは 1つシューホールを増やした3アイレットで、それに伴う甲高なつくりがトゥまでの優美なシルエットを創出。カジュアルな印象が強いデザートブーツだが、この僅かな仕様変更でより上品な佇まいに転化されている。ソールは定番のクレープソールで高いクッション性や長時間履いても疲れにくいのが嬉しい。デニムとの相性の良さは言わずもがなだが、「サイ」のルックブックにあったように太めのクロップドパンツと合わせてブーツの丈感を見せてもおしゃれに決まる。

ボトムスのシルエットやデザインを選ばない点も含めて、汎用性は極めて高く、多彩なスタイルを仕上げてくれるに違いない。

※掲載商品の価格は、すべて税込みです。

問い合わせ先

マスターピースショールーム

TEL:03-5414-3531

この記事の執筆者
名品の魅力を伝える「モノ語りマガジン」を手がける編集者集団です。メンズ・ラグジュアリーのモノ・コト・知識情報、服装のHow toや選ぶべきクルマ、味わうべき美食などの情報を提供します。
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PHOTO :
島本一男(BAARL)
STYLIST :
河又雅俊
WRITING :
佐藤哲也
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