田島尚徳さんは地元の岐阜で修業後、一度独立を考えるも不況のため断念。サラリーマンへ転身して2年後、鮨職人に復帰、福岡、東京の鮨店での修業を経て、2014年、晴れて独立した異色の経歴のもち主です。
おまかせコースは、握りとつまみを交互に出すスタイル。
握る際に手を湿らせる手酢は、ネタによって酢の種類や配分を変えた3種、煮切りは4種を使い分ける繊細さが魅力です。田島さんの手から直接受け取るのも楽しい仕掛け。
「接待などでいらっしゃるお客様は、握ってもすぐ鮨に手をつけていただけないことも。そこで、いちばんおいしい状態で食べていただきたいと始めました。目の前に出されたら受け取らざるをえないでしょう?」と茶目っ気たっぷりに笑う田島さん。
型にはまらない自由な流儀や美学は、握りだけにとどまりません。焼き物用にわざわざ炭をおこしたり、食後のデザートも自ら手がけます。特注している美濃焼きの器や酒器への造詣も深く、今後の進化がますます楽しみな一軒。
「今日の鮨に満足していただいても、次いらしたときに成長していなければ再訪はない。常に進化していたい」。
田島尚徳さんに、こんなことも聞いてみました
問い合わせ先
- すし 龍尚 TEL:03-6873-4229
- 住所/東京都港区白金3-1-5
営業時間/18:00~21:30(最終入店)
定休日/水曜・祝日 ※前日までの要予約
おまかせコース ¥13,000~(つまみ5~6品、握り13~14貫)、日本酒1合 ¥900~
カウンター9席のみ
- TEXT :
- 田中美保さん 編集者
- BY :
- 『Precious6月号』小学館、2016年
- クレジット :
- 撮影/篠原宏明 取材/森中奈央(TRYOUT) 文/田中美保