上司に「この件は誰マター?」と問われて慌てないよう、今回はビジネスシーンでの「マター」の使い方を確認していきます。実は重要な意味を含んでいる「マター」について、わかりやすく解説しましょう。
【目次】
【「マター」の「実は奥深い意味」を簡単に解説!】
■カタカナ語の「マター」は「担当」、「責任」も伴います
ビジネスシーンで使われるカタカナ語としての「マター」は、ずばり「担当」といった意味です。「この案件は営業部マターで」や「山田さんマターの」など「名称+マター」で使うことが多く、「担当部署」や「担当者」などを特定します。
ところが単なる役割担当にとどまらず、決定権をもったり、責任を負ったりというニュアンスも含まれるため、重要な用語として認識しておいたほうがよさそう。「これは〇〇さんマターということで、よろしく!」と軽く言われても、安請け合いは禁物ということです。
■「人事マター」「営業マター」さらに「政治マター」とは?
前述したように、「人事マター」や「営業マター」、あるいは「〇〇さんマター」といったら、その部署や人が責任をもって担当するという以外に、「そちらの動向(考え方や決定)による」という解釈で使用する場合も。「クライアントマター」や「本社マター」といった場合には、「クライアント(や本社)の意向次第」ということにもなります。
また「政治マター」というフレーズは、「政治的な考慮が必要な案件」という意味に。
■英単語の「マター」の意味は幅広かった!
もともとは英単語の「マター[matter]」からきていますが、辞書で調べると、その意味の幅広さにびっくり! 「物質・成分・要素」や「事柄・事件・問題」「原因・理由」「状況・状態・事態」「重大事・重要性」「出版物・郵便物」に「老廃物・膿」と、まだまだあります。「担当者」的な意味合いは見当たりません。
英語で「no matter」というフレーズの意味は「問題ない・かまわない・たいしたことはない」。「no matter~」は、「たとえ~でも」でしたね。「your matter」は「あなたの問題」となります。
【すぐに使える「ビジネス例文」5選】
■1:「本件はぜひともうちの部署マターで進めさせてください」
■2:「A社マターの案件だが、来期からはB社に変更されるらしい」
■3:「〇〇さんマターの案件は、取引先とこじれることが多くて困る」
■4:「自分マターの仕事を任せてもらえるよう頑張ろう」
■5:「総務課マターなのか庶務課マターなのか、はっきりしてほしい」
【ビジネスシーンで使える「マター」の「言い換え」】
■担当 ■責任 ■預かり ■管轄
上記例文の■2なら、「A社担当(責任/預かり/管轄)の案件だが、来期からはB社に変更されるらしい」と、どれで言い換えてもよさそうですね。
【「マター」使用上の注意】
ここまで確認してきて気づいた人もいると思いますが、この「マター」というカタカナビジネス用語は、社内など、身内間での使用に限定されます。フォーマルなビジネス用語ではないため、一般的に社外では使わないのが大人のビジネスマナーです。
また、「人名+マター」で敬称を省略する場合は、気を張らない間柄での使用を。目上の人に対して使うのであれば、「〇〇部長マター」や「〇〇さんマター」と、役職や敬称を忘れずに!
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響きは軽い「マター」ですが、責任を伴う役割を表す言葉であるということが理解できたでしょうか? “デキるビジネスパーソン”を目指して、引き続きカタカナ語の理解を深めていきましょう。
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- Precious.jp編集部
- 参考資料:『ランダムハウス英和大辞典』(小学館)/『現代用語の基礎知識』(自由国民社)/『デジタル大辞泉』(小学館)/『すっきりわかる! 超訳「カタカナ語」事典』(PHP文庫)/『現代ビジネス用語事典』(日本文芸社)/『知っているようで知らない ビジネス用語辞典』(水王舎) :