一国の、ひとつの時代の終焉を世界が見守った日…そんな印象を受けた人も少なくない、英国史上最長の70年、そして最年長96歳の君主であったエリザベス女王(エリザベス2世)の国葬。2022年9月19日にロンドン・ウエストミンスター寺院にて荘厳な雰囲気のなか執り行われました。次期王の妻であるキャサリン妃、その弟の妻として慎ましやかに義務を果たしたメーガン妃、そして新たな王の配偶者となったカミラ王妃。それぞれにドラマティックな運命を背負った3名が歴史的な日にまとった、ブラックスタイルをチェックしていきましょう。
■1:キャサリン妃は…日本でも話題!女王から譲り受けたパールを身につけて
女王逝去から国葬までの服喪期間、あらゆるパターンのブラックスタイルを披露したキャサリン妃。その集大成ともいえるこの日の装いには、他の追随を許さない、確固たる品格を感じます。
まとったブラックのコートドレスは、ウェディングドレスでも着用した、ロンドンブランドのもの。6月初めに開催された女王の在位70年を祝うプラチナ・ジュビリーの祝賀行事のなかで、トゥルーピング・ザ・カラーの際着用していたホワイトと色違いです。バルコニーで女王との間に次男のルイ王子を挟み、笑顔で上空を見上げた、たった3ヶ月前のあの日と同じデザイン。
さらに身につけたパールのチョーカーやブレスレットは女王から譲り受けたものです。特に4連のチョーカーは、すでに日本でも話題になっていますが、1975年に女王が来日した際日本政府から贈られたもの。イヤリングは1947年にエリザベス女王が結婚式の日に贈られたパールを用いているのだそうです。パールのまろやかな艶めきとダイヤモンドの強い輝きがキャサリン妃の存在感をさらに際立たせた装いです。
■2:メーガン妃は…モード&ミニマルなラインが決め手!抑制の効いた洗練スタイル
メーガン妃は、結婚披露宴で着用したドレスと同じデザイナーによる、ブラックのケープドレスをまとって登場。詰まった襟元に特徴的なシルエットで洒落感たっぷりに格別な存在感を放っていました。
ジュエリーは王室の慣習にしたがい、パールのイヤリングをチョイス。耳元に輝く小さな艶めきが洗練を高めています。こちらも2018年にハリー王子と結婚した際に女王から贈られたもの、とされています。
小さくまとめたヘアにワイドブリムのハットがノーブルさを後押し。彼女の美しいラインが際立つ、シンプルでスタイリッシュなブラックスタイルです。
■3:カミラ王妃は…代々伝わるブローチでタイムレスな輝きをひと匙!お得意のフィット&フレアなシルエット
ウェストミンスター寺院での国葬に続いて行われた、ウィンザー城のセント・ジョージ礼拝堂での奉献式に到着したカミラ王妃。ブラックのコートドレスに同色の足元、花とネットのベールで飾られたファシネーター(ヘッドアクセサリー)のコーディネートです。
フロントや袖口にあしらわれたラインのデザインが控えめなアクセントを添えるコートドレス。優雅さを引き立てるフレアなシルエットのミディ丈スカートと、しっかりとしたショルダーラインが好バランスです。
左胸に輝くダイヤモンドのブローチは、2005年にチャールズ3世と結婚し王室に加わったときに女王から贈られたもの。1897年にビクトリア女王の在位60年を記念し孫が贈った「ヘッセ・ダイヤモンド・ジュビリー・ブローチ」と呼ばれる品で、スラヴ文字で数字の60がデザインされています。ダイヤモンドとサファイアを使用。ダークカラーの落ち着いたメイクとともに品格を授け、カミラ王妃に時を経て磨かれた優雅さをもたらしています。
エリザベス女王から贈られたジュエリーを身につけ、その長きに渡る無私の奉仕に敬意を示した3名の装いをご覧いただきました。
英国の伝統に則りながらも、それぞれの個性が表れたスタイルが印象的。美しさだけでなく、思いやりと奥深さのあるコーディネート、そのエレガンスは後世に語り継がれるに相応しい佇まいでした。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- PHOTO :
- Getty Images(キャサリン妃、メーガン妃、カミラ王妃)
- WRITING :
- 神田 朝子