雑誌『Precious』では「My Action for SDGs 続ける未来のために、私がしていること」と題して、持続可能なよりよい世界を目指す人たちの活動に注目し、連載しています。

今回は、ライフスタイルショップ「RE(而意)」CEO ルオ・ユエンさんの活動をご紹介します。

ルオ・ユエンさん
ライフスタイルショップ「RE(而意)」CEO
黒竜江省出身。地元大学で法律を学び、’03年に北京へ。’07年、不動産関係の仕事で担当した日本人建築家・菅根史郎と結婚。’12年より夫婦で「ライフスタイル関連の店を開きたい」として起業。’18年「RE」1号店をオープン。

環境や健康への意識を高める自転車のあるライフスタイルを提案

「RE」は自転車専門店(※)…なのだが、外から見るとカフェ? アウトドアショップ? 花屋? という感じで、「通りすがりに『なんのお店ですか?』って立ち寄ってくださるお客様が多いんです」とルオさんはうれしそうに話す。

「ここは、自転車を売るだけでなく、自転車に乗る人をサポートするお店でもあります。サイクリングやアウトドア関連のグッズも揃っていますし、自転車のメンテナンスやカスタマイズもできる。音楽イベントなども開催しています。上海の人に、自転車をもっと身近に感じてもらえたら、と」

専用道も整備されている自転車先進国のヨーロッパに比べ、中国では駐輪場がないなど、自転車はまだまだちょっとした移動のための「道具」でしかない。フランスやドイツでは日常的にサイクリングを取り入れている人の割合が40%を超えているが、中国ではわずか0.4%。自転車でスポーツや旅行を楽しむという概念自体がほとんどないのが現状だ。

「それでも少しずつ、意識は変わってきていると思います。’18年に1号店をオープンし、現在、上海に4店舗、北京に4店舗を構えていますが、北京では駐輪やレンタルができる自転車ステーションの設置を進めているんです。コンビニエンスストアと同じくらいの数まで増やせていければ」

環境に配慮すること=おしゃれ、という価値観を広めることが、自転車普及につながると考える。

「私たちは、子供によりよい社会を引き継ぐために、自転車という事業を選びました。ただ消費するだけの『消費者』ではなく、環境にも健康にも配慮しながら、よい生活を楽しむ『生活者』であることを提案していきたいですね」

【SDGsの現場から】

●メンテナンス中にカフェでひと息、もできるショップ

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気になったことがあればすぐメンテナンスに。手をかけることでパートナーのような存在に。

●お気に入りを長く乗るというスタイルに

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取り扱うのは「街でもフィールドでも長く乗れる」自転車。自社ブランド製品は日本で製造。

※上海の自転車事情とは​…早期にシェアサイクルが普及したことで「自転車は近所で乗るもの」という認識に。乗り捨て禁止などの規制強化で、大量の廃棄自転車が出るなど社会問題に。

PHOTO :
長舟真人
WRITING :
剣持亜弥(HATSU)
EDIT&WRITING :
正木 爽(HATSU)、喜多容子(Precious)
取材 :
萩原晶子