2017年10月、鎌倉・鶴岡八幡宮の少し先にある閑静な住宅街に「Chocolaté romi-unie(ショコラテ ロミ・ユニ)」がオープンしました。絵本に出てくるお菓子の家のような扉を開くと、大きな窓から差し込む光に溶け込むように、ふわりと甘い香りが漂ってきます。
小さなチョコレートが並ぶショーケースは、きらめく宝石箱のよう。
ずっとつくりたかった、街の小さなチョコレート屋さん
ここは、菓子研究家の”いがらしろみ”さんが手がけるチョコレート屋さん。いがらしさんと言えば、フランスのジャム・コンフィチュールの草分け「Romi-Unie Confiture(ロミ・ユニ コンフィチュール/鎌倉)」、そして焼き菓子のお店「Maison romi-unie(メゾン ロミ・ユニ/学芸大学)」が連日、大盛況。高い知名度を誇る菓子研究家です。
そんないがらしさんの新しいお店が、こちらのチョコレート屋さんなのです。実は「ジャム屋さんを開く前から、ずっとチョコレート屋さんをやりたかった」んだそう。
コンセプトは「気軽なチョコレート屋さん」と語るいがらしろみさん
いがらしさんがフランスに渡ってお菓子づくりの勉強をしていた際、何よりも好きだった作業が「チョコレートづくり」だったのだとか。
「昔、お菓子屋さんで働いていた際、”お菓子屋さんで働くこと”に煮詰まったときがあって。そんな時に支えてくれたのが、チョコレート。”私、お菓子屋さんは向いていないんじゃないか”と落ち込んだときでも、チョコレートづくりはすごく楽しくて、”いつかチョコレート屋さんをやりたい”とずっと思っていました」
チョコレートへの思いを胸に抱きながらも、さまざまなタイミングが合い、先にオープンしたのはコンフィチュール(ジャム)屋さん。2004年に鎌倉にオープンした「ロミ・ユニ コンフィチュール」は、いつものトーストがスイーツに変わるとっておきのジャムとして、瞬く間に人気店になりました。
でも、同店では、実はさりげなくチョコレートもつくられていたのです。毎年バレンタイン前に行われる「ジャム屋さんが1日だけチョコレート屋さんになる」というイベントでつくられるromi-unieさんのチョコレートは、いつも大好評! ファンの間では密かな人気アイテムでした。
秋冬はチョコレート屋さん、春夏はお菓子教室。
しかし、チョコレートはつくるにしても持ち歩くにしても、やはり秋冬向きのスイーツ。春夏はアイスクリームを販売するチョコレート屋さんは多いですが、いがらしさんの場合、アイスクリームにはあまりときめかず、どうしようか?と、なかなかタイミングがつかめずにいたそうです。
一方で、学芸大学店で行っていたお菓子教室が満席になることが増え、お教室をもう少し広い場所できちんと行いたい…と考えていたある日、ふと「お菓子教室と、交互にやればいいのでは?」と、ひらめいたそう。
こうして、”秋冬はチョコレート屋さん、春夏はお菓子教室”というスタイルで、念願だったチョコレート屋さんがオープンしたのです。
コンセプトは、「親しみやすいチョコレート屋さん」
ショップのコンセプトは「格式ばらない、親しみやすいチョコレート菓子のお店」。
有名ショコラティエがいて、行列ができるようなチョコレートショップではなく、「気軽に入れるチョコレート屋さん」を目指しています。
現在、ショコラテ ロミ・ユニのメイン商品であるボンボンショコラは、6種類。
スタンダードなガナッシュ(ミルク、ビター)のショコラに、アールグレイの風味のエレガントなショコラ、プルーンの熟成ブランデーを効かせたフルーティなトリュフ、鎌倉の老舗カフェ café vivement dimancheのコーヒー豆を使ったコーヒー・ガナッシュ、そして、塩バターキャラメル&ミルクチョコレートガナッシュが詰まった、Romi-Unie Confitureのジャム瓶の形をしたチョコレート!
選び抜かれた材料で、ひとつひとつ丁寧に手づくりされたチョコレートは舌触りがとてもなめらかで、それぞれに風味豊かな味わいが。目にも楽しく、ひとつ食べれば幸せが口いっぱいに広がります。
「自分でボンボンショコラを買うときに種類が多すぎると迷ってしまうので、お店では種類を絞りました」という理由で厳選された6種類。わかります。
決して種類が多いわけではないけれど、どれもここ鎌倉でしか味わえないromi-unieさんのチョコレート。どれにしようか本当に迷ってしまいます。
心躍るチョコレートの「お菓子」がたくさん
ボンボンショコラ以外にも、チョコを組み合わせたお菓子が所狭しと並んでいます。
焼き菓子のお店(Maison romi-unie /学芸大学)でも看板商品の“romi-unieクッキー”との組み合わせですから、どれもハズレなし! 絶対においしくいただけること、間違いありません。
バターが香るシンプルなサブレにチョコレートをサンドしたクッキーや、カカオ味のサブレにホワイトチョコレートをサンドしたクッキー、チョコチップクッキーなど、どれも懐かしい雰囲気を合わせ持ちながら、romi-unieにしかないオリジナルのお菓子たちです。
オレンジピールをビターチョコレートでコーティングした「オランジェット」は、柑橘の爽やかな香りとビターのほろ苦さがくせになる味わいで、男性にもおすすめ。レモンピールをミルクチョコレートでコーディングした、よりまろやかな「シトロネット」もあります。
ショコラ・マカロンはカカオ生地にガナッシュをサンドして、さらに表面にもチョコレートがかかっています。チョコレート感たっぷりで、ひとつでも満足感があります。
その下のスノーボール風のチョコは、フランス・アルザス地方のプルーンでつくられた熟成ブランデーのトリュフ。ふんわりとお酒の香りが立ち、ほのかな苦味が口の中で混ざり合います。ウィスキーなどが合いそうですが、わたしはワインと合わせたい…。
これだけでもおいしそうなサクサクのビスケットに、チョコレートを組み合わせた王道のチョコレート菓子。バターの風味とミルクチョコは。最高の組み合わせですよね。
しかも、小鳥の型は陶芸家の鹿児島睦さんがデザインしたものだそう。さりげなく贅沢!
動物型のショートブレッドとチョコレートを組み合わせたお菓子も。少し厚みのあるショートブレッドとチョコレートで食べ応えありです。
こちらのこねことワンちゃんの型も、鹿児島睦さんのデザインだとか。かわいい!
小さいお子さんのいるご家庭への手土産として持っていったら、争奪戦になりそうです。
焼き菓子詰め合わせはお土産にぴったり。
先ほどのオランジェット詰め合わせや、アーモンドをジャンドゥージャでくるんだ「おやつチョコ」も。
これらのおやつは日持ちがするので、ゆっくり少しずつ食べるおやつとして常備しておくのもいいかもしれません。
ここはチョコレート屋さんですが、romi-unie定番のコンフィチュールも少しだけ置いてあります。コンフィチュールとチョコレートを組み合わせたギフトなんて、いただいたら本当にうれしいですよね!
編集部お気に入りチョコレートはこちら
\お気に入り 1/【キャラメル・ショコラテ】
前列右、コンフィチュールのびんの型のチョコレート。
一口頬張ると、中から塩バターキャラメルがとろり。ほんのり効いた塩気とチョコレートのまろやかさが一緒になって、至福の味わいです。
こちらのような、塩キャラメルが入っていないコンフィチュール型チョコもあります。ミルクとビターとホワイトの「ショコラ・トリオ」。シンプル定番なチョコレートです。
\お気に入り 2/【パピー&キトゥン ショコラテ】
サクサクのショートブレッド×チョコレート。ペロペロキャンディーみたいな形もかわいくて、食べるときもなんだか楽しい。耳からガブリと食べちゃうよ!
こねこはプレーンショートブレッドにビターチョコ、ワンちゃんはコーヒーのショートブレッドにミルクチョコ。わたしはワンちゃんがお気に入りです。ふわっと鼻に抜けるコーヒーの風味は、コーヒー好きにはクセになるおいしさ!
\お気に入り 3/【ショコラ ミルク】
左から2列目の明るい茶色のボンボンショコラ、ミルクチョコレート味。ボンボンショコラはどれもおいしいけれど、甘すぎず、やさしい味わいのミルクがお気に入りです。
土日限定! チョコレート×3のシュークリーム
今なら、土日限定でチョコレートのシュークリームも販売されています。その名も「チョコ・チョコ・チョコシュー」。
カカオの生地にチョコレートのカスタードクリーム、そしてチョコレートのホイップクリームという、チョコレート好きにはたまらない一品です。ポンっと帽子をかぶったようなビジュアルもかわいい!
ご近所のリピーターさんが続出の大人気商品で、午前中で売り切れる日もあるほどだとか。もし見かけたら、迷わずゲットしたいものです。
4月からはチョコレート屋さんからお菓子教室にチェンジ
2017年にオープンしたばかりの、この「Chocolaté romi-unie(ショコラテ ロミ・ユニ)」は、今年は3月18日でひとまず終了。4月からは、ここでromi-unieさんのお菓子教室が始まります。
基本は単発のコース。マドレーヌやフィナンシェなど一覧の中からつくりたいお菓子を選んで申し込むシステムで、こちらも敷居は低く、お菓子づくりを楽しんでもらいたいという思いが伺えます。
予約はすでに始まっていますので、どんなお菓子を習えるのか興味のある方は、公式サイトを覗いてみてくださいね。
お菓子教室が始まったら、チョコレートケースがあるお部屋は、できあがったお菓子を試食する部屋になるそうです。このチョコレートたちも、しばらくの間は見納めですね……。
人気の観光地・鎌倉にありながら、「Chocolaté romi-unie」のある西御門は観光客がまばらな隠れ家スポット。決して賑やかではないけれど、近くにはおいしいフレンチレストランや素敵なアンティーク屋さんなど、こだわりのお店がぽつりぽつりと点在しています。また、鎌倉宮や荏柄天神社などの昔ながらの寺社仏閣もあり、ゆったりとお散歩するにはちょうどいいコースです。
なくても困らないけれど、そこにあるとちょっと幸せ。
チョコレートは、そんなふうに人生を少しだけ豊かにしてくれる魔法の食べ物です。
冬のお休みのひととき、たまには観光地の喧騒を抜けてチョコレートのための特別なお散歩に出かけてみてはいかがでしょうか。
わざわざ行くチョコレート屋さんは甘く心地よく、きっとその日を幸せにしてくれるに違いありません。
問い合わせ先
- Chocolaté romi-unie ショコラテ ロミ・ユニ
- 〒248-0004 神奈川県鎌倉市西御門2-1-14
- TEL: 0467-38-7071
- 開店時間:10:00~16:00
- 開店日:水曜日~日曜日(10月下旬~3月下旬のみ)※2018年は3月18日まで(2月12日・13日は営業)
- 定休日 月曜日・火曜日・年末年始
- ※チョコレートはオンラインショップでも取り扱いあり(一部店舗限定商品あり)
- TEXT :
- いしだわかこさん 編集者
公式サイト:WAKAKO ISHIDA