「本物の家具」が持つ魅力を味方につけてもらうために、インテリアエディター「D」が厳選した大人のためのインテリアアイテムをご紹介する連載。身長156cmと小柄なエディターが、実際に家具を触ったり、座ったりしながら、女性ならではの視点でインテリア名品の魅力を掘り下げます。第3回はカッシーナの『LC4』です。
「寝椅子」の代名詞にもなっている20世紀を代表する名作
足をあげてくつろいでも優美に見える曲線美
こちらのソファー、みなさんも一度は目にしたことがあるのではないでしょうか? ル・コルビュジエの寝椅子とも呼ばれる『LC4』というものです。体の線に合わせて綿密にデザインされた背座のカーブや、弓形のパイプをずらすことによって寝る角度を自由に変えられる点で、早くも人間工学的なアプローチが試されています。
過去のアーカイブから、現代にも合うカラースキームをピックアップした、チャーチ邸仕様の「LC4」
こちらの仕様は、2012年に復刻されたカラースキーム。薄いブルーのベースにグレーの毛皮というとても上品な組み合わせが、女性らしくてシックです。1928年、ル・コルビュジエとシャルロット・ペリアンが手掛けたチャーチ邸のインテリア用にデザインされました。このモデルが原型となり、翌年サロン・ドートンヌで『LC4』が発表されます。
カッシーナ は、歴史上の過去と現在の名作を更新し続けるブランド
カッシーナ家は17世紀から続く木工職人の家系で、チェザーレ・カッシーナが1927年に会社として起こしたブランドです。カッシーナでは主にふたつのコレクションが展開されています。20世紀初頭の巨匠建築家たちの作品を復刻したシリーズ「I Maestri(巨匠たち」の意)」。そしてもうひとつは現代を代表する建築家やデザイナーとのコラボレーションによる「Contemporary(コンテンポラリー)」。2015年秋にデザイナーのパトリシア・ウルキオラをアートディレクターに起用し、カラースキームやディスプレイ方針の変更により、シックな女性らしいエッセンスを楽しめるショールームとなっています。
真正品の「ル・コルビュジエ/ピエール・ジャンヌレ/シャルロット・ペリアン」コレクションの家具を製造しているのはカッシーナだけ
巨匠ル・コルビュジエの元で家具を担当したのは、実は女性建築家、シャルロット・ペリアンだった
現代建築の父とも言われる、ル・コルビュジエは家具デザインには手をつける気はあまりなく、トーネットの曲木の椅子などを好んで用いていました。そのころ、マルセル・ブロイヤーや、アイリーン・グレイが金属の椅子をデザインしたことに刺激を受け、ペリアンをアトリエに入れ、家具のデザインを担当させることになります。スケッチも、ペリアンのものが残っており、つまりル・コルビュジエのデザインとされている椅子は、実のところ女性建築家・デザイナーのシャルロット・ペリアンによるものだったと言えるのです。
問い合わせ先
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カッシーナ・イクスシー青山本店
営業時間/11:00〜19:00
定休日/水曜
TEL:03-5474-9001
住所/東京都港区南青山2-12-14 ユニマット青山ビル1・2・3F
- TEXT :
- 土橋陽子さん インテリアエディター
公式サイト:YOKODOBASHI.COM
- EDIT&WRITING :
- 土橋陽子