年を取ると、アイシャドウだけでは目力ゼロ。まつげもやせて本数が減っているため、マスカラをいくら塗っても目の輪郭が引き締まりません。アイライナーを引いて初めて目の輪郭が際立ち、重く下がってきたまぶたもすっきりして見えるようになるのです。
つまり、加齢目元の修復にアイラインは必須。しかし、やみくもに引けばいいわけではありません。昔の手法では古い顔。アイラインにも流行があり、大人には大人の流儀があります。面倒だから、うまく描けないから……などと逃げてはいけません。アイラインを引いているのに効果がなく、残念な目元は問題です。
誰だって、実年齢のままの老けた目元は嫌ですよね。-10歳の力のある目元を勝ち取りたいもの。そのためには、正しいアイラインの太さ・長さ・見映えを知る必要があります。アイメイクの鬼門であるアイラインをもう一度、学び直しましょう。
■写真比較でよくわかる「アイラインの若返り効果」
まずは、アイラインの若返り効果を確認していきましょう。きちんとアイラインを引いている、というメイク上級者であっても、「いかにも引きました」と悪目立ちすることを恐れ、隠しラインのように控えめに描いていませんか? アイラインでどれだけ目の印象が変化するのかを4つの写真で検証してみました。
マイナス0歳のアイライン
まず、-0歳の写真から。ナチュラルに仕上げたい、というときに真っ先に省くのがアイライン。ですが、まつげがまばらになり、目の輪郭が曖昧な大人の目元は、アイシャドウだけではノーメイクと同じ。ナチュラルとは程遠い手抜きメイクになってしまいます。
マイナス5歳のアイライン
こちらは、-5歳。たるみでまぶたがかぶっているので、上まぶたのフレームどおりに細く黒のアイラインを入れてもラインが見えづらく、多少フレームが引き締まる程度。手間をかけて極細のラインを描いても、これだけでは目の大きさは変わりません。
マイナス7歳のアイライン
続いては、-7歳。目尻ラインを長くすると、目の横幅が多少は広く見えますが、ラインが細すぎて引き上げ効果なし。また、たるみで下がった目尻のフレームどおりのまま長く描くのは危険。目尻ラインが下がることで、かえってたるみを強調します。
マイナス10歳のアイライン
最後の写真が、-10歳。ポイントは、まつげの間を埋める、目尻側を太く仕上げる、下まぶたラインを加える、という3つ。
このように比較すると、たとえアイラインを引いていたとしても、上まぶたの際に細くラインを入れただけの目元(マイナス5歳の写真)、さらに目尻側を少し長くした目元(マイナス7歳の写真)では、劇的な若返り効果は感じられないのがわかるはず。
年を取ると、だれもがまぶたがたるみ、目が小さくなっているので弱々しい控えめなラインではアイラインを描く意味がありません。上まぶたの輪郭どおりに細く描くというセオリーは、忘れてしまいましょう。
マイナス10歳の顔写真を見るとわかるように、大人のアイラインとは、自分の目の形に惑わされることなく、目尻ラインを大胆に太く長くし、横広がりの大きな目に修正するためのもの。ここまでやって初めて、若返り効果が得られるのです。
■アイラインで若返るテクニック「5つ」のポイント
それでは、マイナス10歳の写真のようなアイラインを描くには一体どうすればいいのでしょうか? 「そうはいってもアイラインは難しい」と思っている人でも簡単にできる方法を紹介します。以下の5つがポイントです。
(1)一気に引かない!ちょこちょこ塗りでまつげの隙間を埋める
(2)たるみ目尻を引き上げるコツは目尻ラインに小さな三角をつくること
(3)目頭ラインはできるだけ細く。まつげが生えているところまで描き、目頭から5mmはあける
(4)目を縦に丸く大きく。下まぶたラインはブラウンで入れるときつくならずに自然
(5)下まぶたの目尻側にはベージュのハイライトをのせて明るくすると引き上げ効果がアップ
文字で見ると難しそうですが、写真で見ると非常に簡単なことがわかります。実践するときは、中央から目尻の隙間を埋める、目尻ラインを長く仕上げる、目尻側に自然な太さを足す、下まぶたラインを描く、の順番がベストです。これをレッスンすれば、誰でもうまく描けるようになります。具体的な描き方を確認していきましょう。
■簡単に10歳若返る「アイラインの描き方レッスン」
[レッスン1]中央から目尻の隙間を埋める
アイラインを描く最大の理由は、黒目 → アイラインの黒 → まつげの黒と、黒がつながり、黒が際立つことで立体感が生まれ、目そのものの印象が強くなるから。まずここでやるべきことは、加齢でスカスカになったまつげを増毛するかのように、中央から目尻に向かって、まつげとまつげの隙間を黒で埋め、失われた目の輪郭を再生させること。
そして、にじみにくく黒が濃いリキッドアイライナーが最適ですが、細くまっすぐ引く、難しいひと筆書きは必要ありません。それよりもまつげの隙間=白い粘膜を確実に埋めるために、まつげの下から筆先を当てて、左右に小刻みに動かしながら描くちょこちょこ塗りを。これなら不器用な人でも絶対に失敗しません。
目を開けたときにまつげとまつげの間の白い粘膜が見えず、黒のラインで埋まっていれば合格。それだけで目の輪郭がくっきりと際立つのがわかるはずですよ。
ステップ1:まつげの下から当てて、黒目の中心から目尻に向かって描く
描くのはまつげの上からでなく下から。まつげの上から描くとまつげの隙間は埋まらず、ラインが際から離れるのでNG。そして一気に引くのではなく、まずは黒目の幅だけ描きましょう。
ステップ2:一気塗りでは埋まらない。筆先を左右に小刻みに振りながら描く
細くまっすぐな線を描く必要なし。アイライナーの筆の先端を当てて左右に小刻みに動かしながら、まつげとまつげの隙間を黒で埋めていきます。
ステップ3:ガタついても気にしない。ちょこちょこ塗りで目尻の端まで描く
フレームどおりに描き、目尻で止めます。この段階では目尻ラインを長くしたり、太く仕上げる必要はなく、まつげとまつげの隙間を埋めることだけに集中しましょう。
ステップ4:まつげの隙間が埋まり、まつげを増毛したようにフレームが引き締まる
黒色のライン効果で、まつげが増えたように錯覚させるのがこのステップ。加齢でまつげがやせたり、抜けたりして失われたフレームラインが復活します。
[レッスン2]目尻ラインを長く仕上げる
アイラインでいちばん悩ましいのが目尻ラインの処理。どこまでのばせばいいのか、角度はどうすればいいのか、わからないから適当にしてしまうのが、この世代のアイメイクの弱点です。
まず、10年前に比べて目尻が下がっているのは確実。まぶたのたるみで目尻側の皮膚がかぶさり、下がり目になっているので、これを矯正しようとついやってしまいがちなのが、目尻ラインを無理にハネ上げてしまう……。これは明らかに古くさい顔になるので今すぐやめましょう。
そして、ここでの課題は、レッスン1ですでにまつげ間の隙間を埋めたので、今度はまつげの上からリキッドアイライナーを当てて、太さと長さを出す作業を。
長さを出す際に気をつけるべきは、上まぶたの輪郭の延長で描かないこと。目尻ラインが下向きになり、たるみを強調してしまいます。ステップ7の写真のように、下まぶたの際の延長線で、目尻から8mmはみ出して描き足しましょう。
ステップ5:目頭ラインは「黒目の内側」の位置からちょこちょこ塗りを
目頭側から描くと力が入り、太くなりやすいので描き始めは中央から。目頭の先端から約5mmあけてまつげが生えているところまで描きます。
ステップ6:まつげの上から筆先を当て、中央から目尻にかけてラインを重ねる
目尻側の太さと長さを出すために、今度はまつげの上からスッスッと少しずつ描き足しましょう。レッスン1で描いたラインと重なり太さが出ます。
ステップ7:描き足す目尻ラインは、下まぶたラインの延長線に向かって描く
上まぶたのフレームどおりに長さを描き足すと、目尻ラインが下向きになり、たるみを強調。下まぶたラインの延長線の位置を目指して描き足すのが正解です。
ステップ8:目を開けたとき見えているくらい、長めの目尻ラインがちょうどいい
10歳若返るアイラインに仕上げるためには、目尻はハネ上げない、そしてタレ目にならないように上まぶたのフレームどおりには描かないのが秘訣です。
[レッスン3]目尻側に自然な太さを足す
今回の目的は「10歳若返ること」であり、そのために目の印象をもっともっと強くしたい。けれども、アイラインを目頭から目尻まで均一に太くしてしまうのは厚化粧のもと。自然にインパクトのある目元に仕上げるには、目尻ラインだけを太く長くするのが正解です。
そのつくり方とは、ステップ7で目尻の止める位置がわかったと思いますが、その止め位置から、下まぶたラインの延長線を描き、小さな三角をつくります。そしてでき上がった小さな三角の中を黒く塗りつぶすと、目尻まつげの影になりすまして、自然と目の印象が強まります。これで作為的にならずに、10歳若返る目尻ラインが完成。
こんなに太くするなんて厚化粧に見えそう、と心配になるかもしれませんが、大人はまぶたがたるみ、目尻にかぶって際が見えにくいので、これくらい大胆に描かないと10歳若返るほどの修正は不可能です。アイラインに関してはナチュラルや控えめはご法度であることを覚えておいてください。
ステップ9:目尻ラインの端から、下まぶたの際につなげるように描き足す
筆の先端を使ってスッと描くと、目尻に小さな三角ができ上がります。このあとで中を埋めて、太さも微調整できるのでラインがガタついても問題なし。
ステップ10:筆の先端を使い、ステップ9でつくった三角の中を埋める
アイライナーは寝かせずに立てて、先端を使って小刻みに動かし、塗りつぶしていく作業を。少し伏せ目にするとまぶたのシワがのびて埋めやすいです。
ステップ11:正面からチェックして、太さが足りないようなら描き足して太さを出す
正面から見たときに目尻側のラインがたるみでかぶって見えにくいならば、目尻の三角が小さすぎるということ。その場合は、三角の上辺を描き足してみてください。
ステップ12:目を開けるとこんなに自然。まぶたがかぶるのを前提に太く描くのがコツ
ラインの太さに驚くかもしれませんが、10歳若返るにはこれくらいがちょうどいいのです。ライン効果で目尻も上まぶたも引き上がり、強い目元になります。
[レッスン4]下まぶたラインを描く
下まぶたラインなんて素人がやると失敗する…と今まで手つかずだった人が多いでしょう。でも、黒よりもソフトで引き締め効果が得られるブラウンのリキッドアイライナーを選べば大丈夫。自然と下まぶたの輪郭がくっきりとし、目の縦幅が劇的に広がります。
ただし、気をつけるべきは描く範囲。目頭から目尻まできっちり描くのは、上のラインと合わさって目を囲むことになり、目が小さくなります。正解は目頭側、目尻側ともに5mmあけること。これはプロがやっているワザで、抜け感をつくることできつく見えません。さらに下まぶたの目尻に明るいベージュのアイシャドウをのせれば、メリハリ効果で目尻がキュッと引き上がります。ぜひこのワザも試してみてほしいです。
ステップ13:まぶたの上から筆先を当てる。下まぶたラインもちょこちょこ塗り
下まつげの根元をブラウンの細いラインで埋めていくと、自然に目の縦幅が大きくなります。描くのは目尻から5mm内側の位置から、目頭の5mm手前まで。
レッスン14:囲んでしまうのはNG。色をのせるのはまつげが生えている範囲のみ
目頭から目尻まできっちり描くと、上まぶたラインとつながって目をぐるりと囲むことになり、きつい印象に。目頭と目尻をあけて抜け感をつくりましょう。
これでアイラインの描き方で目元の印象が激変することがわかったはず。下がり目尻を引き上げ、目を大きくする驚異の効果を試さない手はありません! 10年前の強い目元になるのは簡単です。
ぜひとも、これらの工程を試してみて、若返る目元を実感してみてくださいね。
- PHOTO :
- 鈴木宏
- HAIR MAKE :
- 尾花ケイコ
- MODEL :
- 真樹麗子(Precious)
- EDIT :
- 荒川千佳子、五十嵐享子(Precious)