パーソナルな宝物の数々にかいま見るジュエリーとの理想的な付き合い方——伊藤美佐季さんの人生を彩るジュエリーの歩み
女性誌からトップブランド、芸能界まで、押しも押されもせぬ唯一無二の存在となったジュエリーディレクターでスタイリストの美佐季さん。いつもジュエリーに寄り添ってきた、人生の軌跡を振り返ります。
ジュエリーとの理想的な関係を追い求めて

伊藤美佐季さんがジュエリーの世界に足を踏み入れたのは、22歳のとき。以降、ジュエリーのPRの仕事で、イタリアの遊学先で、帰国後に始めたスタイリストの現場で、ジュエリーのメンターとなる有名無名の出会いがあり、そして、ジュエリーの一流品に触れて多くの学びを得たと言います。
「今でこそジュエリーの書籍を出版するなどしていますが、もちろん私自身も若い頃は『人と違うものが欲しい』といった安直な考えから、自分らしくもないジュエリーに手を出してしまうという失敗をしたことも…。そういった経緯も踏まえて、私がプレシャス世代の女性にいちばんお伝えしたいことは、年齢を重ねるほど似合うジュエリーは増えていくものだから、自分を物語るジュエリーがどれなのかを吟味して、自分を素敵に見せるスタイリングを身につけていってほしいということ。
著書にも記しましたが、『外したジュエリーを見るだけで誰のものかわかる』、そんなジュエリーとの関係が理想です。ジュエリーはつける人と共に成熟していくものでもあります。毎日身につけられて、人生のパートナーとなって寄り添ってくれるジュエリーに、みなさんも出合えますように」(伊藤さん)
【Vintage】愛してやまないヴィンテージジュエリーの原点

初めてのミラノ出張でイタリア女性のこなれたジュエリー使いに感銘を受けて以来、勉強のために年2回、ヴィチェンツァで開催されるジュエリーフェアに単身で訪れていた時期があったそう。
「定宿近くのジュエリーショップでヴィンテージに開眼。私自身は、エドワーディアンスタイルに代表されるような繊細さよりも、写真のような1940年代頃に流行った華やかなボリューム感に惹かれます」(伊藤さん)
【Lucy Icon】普段使いのアイコンジュエリーは幸福のモチーフ

「格調高い趣が漂うトップジュエラーのアイコンは、ジュエリーワードローブの格を底上げしてくれます」と語る美佐季さんが所有するアイコンジュエリーはいずれもブレスレットで、“ブシュロン” の『セルパン ボエム』と “ヴァン クリーフ&アーペル” の『ヴィンテージ アルハンブラ』。
「蛇が8頭連なる “末広がり” と “四つ葉のクローバー”。お守りでもあるので、モチーフの意味も大切にしています」
【Heritage】尊敬する方から受け継いだジュエリーへの想い

美佐季さんのジュエリー哲学に多大な影響を与えた、“ボン マジック” の先代オーナーデザイナーだった白井多恵子さん。
「色石のブレスレットはご子息が形見として譲ってくださったもの。カーキパールのピアスは生前に、私の瞳の色に似合うからといただいたもの。大切な人と共有した時間が、ジュエリーを通してありありと思い出される。こんな一面も、ほかのアイテムにはないジュエリーの魅力」
【Encounter】一期一会の巡り合いも大切に。旅先で手に入れるジュエリー

「その昔、イタリアの街角でヴィンテージジュエリーと運命の出合いを果たしたように、旅先でジュエリーを見つけるのが楽しみに。写真のネックレス(本来はベルト)とイヤリングは、京都の『ユキ・パリス コレクション』で入手。行ったら好みのものがある、そんなお店が世界にいくつかあったらと想像するだけでわくわくします。素敵な出合いを逃さないためにも、感性とスタイルを磨き続けたい」
【Favorite Style】最近お気に入りのジュエリーコーディネートを拝見!

「シグネットリングは人差し指、コインリングは小指に。がつんと存在感のあるリングを両手につけて、薬指に細めのリングをいくつも重ねてメリハリを出すのが最近のスタイル」。
かといって、ずっと一緒…というわけではないのが美佐季さんの手元です。しばらくすると新旧を織り交ぜて更新されるのが常。「せっかく手に入れたジュエリーだから、自分を飽きさせないためにも必要なこと」
※掲載アイテムはすべて私物です。ブランドへの問い合わせはご遠慮ください。
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- PHOTO :
- 池田 敦(CASK)
- STYLIST :
- 伊藤美佐季
- EDIT&WRITING :
- 下村葉月、福本絵里香(Precious)