【目次】
【「世界人権デー」ってどんな日?「起源」と「歴史」】
■「世界人権デー」って何?
「世界人権デー」は、毎年12月10日に行われる国際デー(国際機関によって定められた記念日)です。英語表記は[Human Rights Day]。「世界人権の日」あるいは単に「人権の日」とも呼ばれます。
■「起源」「由来」は?
1948(昭和23)年の12月10日、国際連合(国連)第3回総会において、すべての人民とすべての国とが達成すべき共通の基準として、「世界人権宣言」が採択されました。世界人権宣言は、基本的人権尊重の原則を定めたものであり、人権保障の目標や基準を初めて国際的に謳った画期的なものです。これを記念して、1950年の第5回国連総会で、採択日である12月10日が「世界人権デー」と定められました。
日本では法務省の人権擁護機関が、人権デーを最終日とする1週間(12月4日から12月10日)を「人権週間」と定めて、1949(昭和24)年から毎年、各関係機関及び団体とも協力して、全国的に人権啓発活動を特に強化して行っています。
■「世界人権宣言」について詳しく
世界人権宣言は、「基本的人権尊重の原則」を定めた文書です。それ自体に法的拘束力はありませんが、人権の保障を初めて国際社会に示した画期的なもので、人種・性別・宗教・出身などに関わらず、すべての人が平等であり尊厳をもつべきだとする、普遍的な人権の原則が明記されています。 前文と30の条文から構成され、世界各国の憲法や法律に取り入れられるとともに、様々な国際会議の決議にも用いられ、強い影響を及ぼしています。
【いま、世界で起きている“人権の課題”】
20世紀には、世界を巻き込んだ大戦が二度も起こり、特に第二次世界大戦中には、特定の人種の迫害、大量虐殺など、人権侵害、人権抑圧が横行しました。このような経験から、人権問題は国際社会全体に関わる問題であり、人権の保障が世界平和の基礎であるという考え方が主流になってきました。
しかしながら、「世界人権宣言」から半世紀以上経った現在でも、世界の多くの場所で人権侵害や差別、抑圧、紛争、貧困などの問題が残っています。
■人権問題は、実は身近なところにも…
UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の最新レポートの数値によると、 2024年末時点で、紛争や迫害により故郷を追われた人の数は1億2,320万人にのぼります。しかも、過去10年間で、難民をはじめ、そのほか、避難を強いられた人の数は、前年比で増え続けているのです。紛争地域における民間人への被害や、戦争・武力衝突による人権危機は大きな問題です。そして、それだけでなく、私たちの身近な生活にも、いじめや虐待、性被害等の子どもの人権問題、外国人や性的マイノリティ等に対する不当な差別や偏見といった多様な人権問題が、依然として存在しています。
特に近年は、インターネット上での誹謗中傷などの人権侵害が深刻化しています。さらに、性的マイノリティや障害のある人の人権問題への関心も高まり、人権教育や啓発の役割はこれまで以上に大きくなっています。
【人権問題を身近にとらえ、私たちにできることとは?】
人権に関わる問題を解決していくためには、私たちひとりひとりが、自分以外の「誰か」の問題ではなく、自分のこととして捉え、互いの人権を尊重し合うことの大切さについて、認識を深めることが不可欠です。では、今日からできる具体的なアクションには、どんなことがあるでしょうか。
■人権問題に関心を寄せ、現実を「知る」ことから始める
■インターネットでの誹謗中傷など、身の回りの差別に荷担しない
■自分が知らず知らずに抱いていた「偏見」を自覚する
■友人や家族と問題意識を共有する。「見て見ぬふり」をしない
■難民支援団体や福祉団体への寄付など、自分にできることをする
■SNSの情報をそのまま信じ込まず、正しい情報かどうかを見極める力=情報リテラシーを身につける
■多様性を尊重する
【人権や多様性に配慮した言葉づかいとは?】
■人をカテゴライズしないことを意識する
まず念頭に置きたいのが「これが(私にとっての)普通」という境界線をつくらないこと。何気なく使ってしまいがちな言葉を言い変えてみましょう。
外国人 → 外国にルーツをもつ方/○○出身の方/〇〇の国の人(国名がわかっている場合)
健常者 → 障がいのない人
普通の人 → 多くの人/一般的なケース/よくある例
片親家庭・母子家庭 → ひとり親家庭
年寄り → ご高齢の方/シニアの方
若者は〜 → 若い世代の方/青年層
■職場での配慮ある言い換え
こんなの普通できるでしょ → 人によって得意・不得意がありますよね
理解が遅い → もう少しサポートが必要かもね
どうしてできないの? → どうサポートしたらいいかな?
あなたには無理ね → どうすればいいのか、ほかの方法を一緒に考えましょう
“外国人枠” → “○○ルーツの方を対象にした制度” など
■性別やパートナーに関する言い換え
不用意に詮索しないことが前提であり、結婚や出産、性別役割を「当然のもの」として押しつけるのはNGです。
彼氏/彼女はいるの? → パートナーはいますか?
男らしく/女らしく → あなたらしく/自分らしく
奥さん/旦那さん → パートナー/配偶者
まだ結婚(出産)しないの? → 人それぞれの選択がありますね
男なんだから泣くな → 感情を大切にしていいんだよ
変だね/普通じゃない → 個性的だね
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人権に関わる問題は「遠い国の出来事」ではなく、いじめや虐待、外国人や性的マイノリティ等に対する偏見など、「いま、自分も関わっているかもしれない問題」です。まずはリアルな問題意識をもち、身の回りの「差別」や「偏見」に気付くことが大切です。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- 参考資料: United Nation(Human Rights Day](https://www.un.org/observances/human-rights-day/?utm_source=chatgpt.com) /『デジタル大辞泉プラス』(小学館) /法務省「人権週間」https://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken03.html /UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)「数字で見る難民情勢2024年」(https://www.unhcr.org/jp/global-trends-2024?utm_source=chatgpt.com) :

















