人生の後半戦を見据えて──40代からの決断と「キャリアの舵取り」

かの有名な中国の思想家・孔子は『論語』にて「四十にして惑はず」と述べたそうですが…、いやいや現代の40代は「不惑」どころか、迷うことばかり。そんな迷える私たちに、ひと筋の光を与えてくれる先輩たちの言葉には、これからを生きるヒントがぎゅっと詰まっています。

輝く先輩女性たちに、無我夢中で走り抜けてきた一周目が一段落した今、これから先の二周目、三周目はどんな未来を描きたいか?根掘り、葉掘り、お話しをお聞きしました。

今回は、ニッポン放送 代表取締役社長の檜原麻希(ひわら まき)さんにお話しをうかがいました。

「人生100年時代、どうせ長く働くなら、笑って楽しく、ケセラセラ」──ニッポン放送 代表取締役社長 檜原麻希さん

ニッポン放送 代表取締役社長の檜原麻希(ひわら まき)さん
ニッポン放送社内のスタジオにて。この日も別ブースでは人気番組の収録が。

「与えられた場所でがむしゃらに働いた20代を経て、30代後半から40代は、ふと自分の立ち位置や仕事に対して疑問をもつ時期。私自身もそうでした」

そう笑うのは、ラジオの在京キー局初の女性社長となったニッポン放送代表取締役社長の檜原麻希さん。入社当時はバブル期でCMの「24時間戦えますか」というセリフが大流行した時代。とにかく働き、仕事はもちろん遊びにも全力投球。

「長く働いていれば一度は、これでいいのかと、将来への不安や仕事の意味を考える時期があるのは自然なこと。私は転職に向けて動いたりもしましたが、会社を移る決断をするほどのご縁は感じられず、そんなときにフランスの商工会議所が実施する現地企業へのインターン制度を知り、応募したら合格。37歳のとき、半年間会社を休職し、自分でインターン先を探し、ケーブルテレビ局の映画部門で働くことに。ラジオ以外のメディアも経験してみたかったし、渡りに船でした」

現地では、映画の売買や、今村昌平監督の作品のフランスの配給権を獲得した会社ということもあり、今村監督のアテンドをしたりと、刺激的な日々を送った。

「今思うと、ここで一時休止できたのはよかったですね。一度会社の外に出ることで、これまでの仕事や会社を新たな視点で見ることができました。帰国後はちょうどインターネットが普及していく時期で、BSデジタルラジオやiモード向けサービスの立ち上げなど、希望してデジタルの仕事に関わることになりました」

なかでもラジオのデジタル化の試みとして立ち上げた「丸の内発のラブソング専門局Suono Dolce」は大きな話題に。デジタルの分野で長く活躍した40代を経て、49歳で編成局長、53歳で取締役に。57歳で代表取締役社長に就任した。

「管理職や役員にアサインされたら断らず引き受けようと決めていました。それが次世代への役割だと思うから」

「やはり、結果を残すことは大事です。一方で最悪の事態も常に想定しておく。そのうえで思いきり挑戦をして、仕事を楽しむ。また、管理職や役員にアサインされたら、断らず引き受けようと決めていました。それが次世代への役割だと思うから。ただし、さすがに社長就任の内示を受けたときは過呼吸になるくらい驚きました(笑)。でも、時代の流れもあるだろうし、チャンスをいただいたからには真摯に向き合おうと覚悟を決めました」

好きな言葉は、オールナイトニッポンの盟友・松任谷由実さんが口にするフレーズ「機嫌のいい女であれ!」。

「人生100年時代、どうせ長く働くなら、笑って楽しく、ケセラセラ。大人の女性なんですから、自分を大切にして、自分の機嫌は自分でとること。イヤなことがあってもひと晩寝たら忘れます。50代以降はよく寝て、よく働きましょう(笑)」

〈檜原麻希さんのHistory〉

ニッポン放送 代表取締役社長の檜原麻希(ひわら まき)さん
秘書室時代、語学力を生かして出張時の通訳なども担当。
ニッポン放送 代表取締役社長の檜原麻希(ひわら まき)さん
フランスのケーブルテレビ局でインターンをしていた頃。今村昌平監督と。

23歳: 慶應義塾大学文学部卒業後、ニッポン放送に入社
         制作部、編成局、秘書室、営業促進部などに勤務
37歳: 半年間休職し、渡仏
         フランスのケーブルテレビ局「Canal+(カナル・プリュス)」の映画部門でインターン
42歳: デジタル&イベント局 デジタルコンテンツ部長
47歳: デジタル事業局長
49歳: 編成局長。「オールナイトニッポン0(ZERO)」を立ち上げる
53歳: 取締役編成局長
54歳: 営業担当取締役
56歳: 常務取締役
57歳: 代表取締役社長に就任

直感で一問一答!

◉好きな言葉は?「もうひとつは “愛こそすべて”。2026年弊社のキャッチフレーズは “アイが聴こえるニッポン放送” ですが、まず自分、そして人を愛して」

◉生まれ変わったら何になりたい?「とびっきりいい男に生まれてスターになる」

◉動物に例えると?「うさぎ」

◉最近観たおすすめの映画は?「『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』」

◉推しは?「大谷翔平とBTS」

◉いちばん好きな時間帯は?「夕暮れどき」

◉今もらったらうれしいものは?「おいしいチョコレート」

PHOTO :
篠原宏明
EDIT&WRITING :
田中美保、木村 晶(Precious)