メンズファッションの最新作を発表する世界最大級の展示会、ピッティ・ウォモ。同展に出展するブランド関係者や、会場を訪れる洒落者たちに、スーツをダンディに着こなした粋な大人が目立ちはじめてきた。しかも、スーツは巧みなディテールが際立った、仕立てのよさがにじみ出るビスポーク風のスーツ。体になじんだ完璧なシルエットとドレープ感は、最先端のスーツのトレンドを予感させるものだ。ここでは、スリーピース、ヴィンテージ調の生地、ダブルスーツの3つにしぼり、その見極め方を紹介する。

1.スリーピース
大きな襟が強烈な個性となるダブルのヴェストが必須

ビスポークの香りがするスーツのなかで、最も注目の集まるのがスリーピースである。ジャケットのラペルを大きく形づくるほか、ダブルヴェストにも、大ぶりのラペルを配することで、いかにもビスポーク風の、クラシックな表情となる。ラペル付きのダブルヴェストのほかにシングルヴェストの襟付きにも注目したい。

シックなチャコールグレーで際立つ、エレガントなスリーピース

背抜き仕立てでつくられたシングル2ボタンのジャケットは、大きなピークドラペルが象徴的。存在感のあるダブルヴェストや、サイドアジャスター付きのベルトレスパンツなど、まさにビスポークに比肩する、極上のつくり込み。細幅のロンドンストライプのシャツに、小紋のジャカードタイを合わせた、大人のエレガントなスタイルを堪能したい。

スーツ¥620,000・シャツ¥39,000・タイ¥26,000・チーフ¥15,000(ラルフ ローレン〈ラルフ ローレン パープル レーベル〉)靴/参考商品(リーガル コーポレーション〈ラルフ ローレン〉)帽子¥63,000(ボルサリーノ ジャパン)

2.ヴィンテージ生地
仕立て映えする、張りのある生地や味わい深い素材感がポイント

春夏の素材は、リネンに代表される乾いた感触の生地や、表面に凹凸感を施したシアサッカーやサマーツイードといった懐かしい風合いの生地に注目したい。しなやかでツヤのある薄いウールとは対照的な手応えのある生地感が楽しめるスーツは、サルトリア仕立てを彷彿させるラインを描くのだ。

ダンディに着こなす、清涼感あふれる春のベージュスーツ!

3パッチポケットを配して、軽快なスタイルを演出した、シングル3ボタン段返りのベージュのスーツ。スーツの色と相性のいいライトブルーのシャツに、ボルドーとブラウンを配色したニットタイでダンディに。パナマ帽とコンビの靴で粋なスタイルに仕上げたい。

スーツ¥220,000〈パイデア〉・シャツ¥36,000〈ルイジ ボレッリ〉/以上バインド ピーアール タイ¥18,000(ダンヒル)チーフ¥9,500(ビームス ハウス 丸の内〈ルイジ ボレッリ〉)帽子¥81,000(ボルサリーノ ジャパン)靴¥90,000(ストラスブルゴ〈バルバネラ〉)

3.ダブルブレスト
大きなラペルとボタン位置の妙、風格を表すシルエットが絶品

仕立てのように見えるダブルスーツのポイントは、大きなラペルにある。大きくつくられたラペルは、ビスポークで腐心するデザインでもあるからだ。さらに、左右ボタンの位置間隔が狭いデザインも、仕立ての風合いがにじみ出る。体にフィットしたダブルブレストは、シングルに比べてグラマラスに見えることからも、誂え服の雰囲気が漂うのである。

しなやかな仕立てで、フィット感を高めたモダンなダブルブレスト

薄手のウールを一枚仕立てで仕上げた、軽くしなやかなスーツ。既製スーツでは稀なデザインとなる、ダブル6ボタンの下ひとつがけで、ビスポークスーツのにおいを感じさせる。白いシャツにライトブルーのプリントタイを合わせ、爽やかな着こなしを。

スーツ¥105,000〈バラシャン〉・シャツ¥33,000〈ルイジ ボレッリ〉/以上バインド ピーアール タイ¥16,000(ビームス ハウス 丸の内〈フランコ バッシ〉)タイバー¥26,000(ダンヒル)チーフ¥24,000(ストラスブルゴ〈アルナルド・カプライ〉)靴¥68,000(パラブーツ青山店)

いかがだろう、ビスポークのディテールを持つ既製服の世界は、オーダースーツはまだ敷居が高いと思っている男性諸氏にも受け入れられる、最高のスーツ体験になるはずだ。

※価格はすべて税抜です。※価格はすべて2016年春号掲載時の情報です。

この記事の執筆者
TEXT :
矢部克已 エグゼクティブファッションエディター
BY :
MEN'S Precious2016年春号「この春、スーツはビスポークの香りをまとうべし」より
ヴィットリオ矢部こと本誌エグゼクティブファッションエディター矢部克已。ファション、グルメ、アートなどすべてに精通する当代きってのイタリア快楽主義者。イタリア在住の経験を生かし、現地の工房やテーラー取材をはじめ、大学でイタリアファッションの講師を勤めるなど活躍は多岐にわたる。 “ヴィスコンティ”のペンを愛用。Twitterでは毎年開催されるピッティ・ウォモのレポートを配信。合わせてチェックされたし!
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クレジット :
撮影/唐澤光也(パイルドライバー) スタイリスト/大西陽一(RESPECT) 構成・文/矢部克已(UFFIZI MEDIA)