正しい意味で使用している人より、カン違いのまま使用していた人のほうが多い「敷居が高い」という慣用句!
大人の会話に、しばしば出がちな「敷居が高い」という慣用句。「あのお店はちょっと敷居が高くて…」のように使用しますよね。
実はこの言葉、文化庁の『国語に関する世論調査』(平成20年度)で、67.9%もの日本人が正しく理解できていないことが判明した、大変間違いやすい言葉なのです!
正しく理解していた人の割合は、42.1%。大人の女性たるもの、ぜひとも後者に入りたいですよね? Respect(尊敬される)女性から、Shame(残念な)女性にならないために、間違いやすい言葉の意味を、しっかりと確認して参りましょう。
というわけで、クイズです。
【問題1】「敷居が高い」の正しい意味は、次のどちら?
下記の3つから正解をひとつだけ、選んでください。
1:高級すぎたり、上品すぎたりして、入りにくい
2:相手に不義理などをしてしまい、行きにくい
3:1と2の両方の意味がある
あなたはRespect?Shame?…正解は?
答えは…
2:相手に不義理などをしてしまい、行きにくい が正解!
間違えて1だと思って使用している方の割合が多すぎて、2の意味でも使える、と思ってしまいがちですが、「敷居が高い」という日本語には、本来「高級、上品」といった意味はありません。ですので、3:も不正解です。
冒頭の例文「あのお店はちょっと、敷居が高くて…」を正しく成立させるには「あのお店を以前は贔屓にしていたのに、最近足が遠のいていたので、久しぶりに顔を出すのに勇気がいる」や「あのお店で粗相をした事があるので、行きづらい」というような意味になります。
「あのお店は高級店だから、自分には身の丈が合わなくて入りにくい」という意味では、本来は使えません。
ちなみに、前出の文化庁の調査では「1:高級すぎたり、上品すぎたりして、入りにくい」と答えた方が45.6%、「3:1と2の両方」と返答した方が10.1%でした。
「高級すぎたり、上品すぎたりして入りにくい」という意味の慣用句を使いたい場合には、別のしっくりくる表現が存在します。
というところで、もう一問、クイズです。
【問題2】次の会話文で、○○○○の中に入れてもおかしくない4文字の外来語を答えてください。
※Aさんはドレス・コードのあるフレンチの名店『B』でのディナーに、取引先から当日、急なお誘いの電話をいただきました。
A「お誘い、心からうれしいのですが、残念ながら本日は弊社のカジュアル・デーで。本日の私の装いでは、『B』は○○○○が高くて伺えないのです」
【問題1】の回答1「高級すぎたり、上品すぎたりして入りにくい」を表すための表現は、何か?という問題ですね。…はたして、あなたは○に当てはまる4文字の言葉、思い浮かびましたでしょうか?
答えは、「ハードル」が正解!
「ハードルが高い」は話し言葉ですが、「ハードル=障害物」なので「難易度が高い、行動などの合格点が高い」、という意味で使用されます。「高級すぎる」「上品すぎる」というのも難易度の一種なので、「敷居が高い」の誤用に代わる表現をあえて探すとしたら「ハードルが高い」が使用できるでしょう。
どう表現すればいいのかしら? というシチュエーションで、適切な言葉をサッとセレクトできる語彙力の高さも、大人の女性の魅力のひとつです。使い慣れた日本語でも時々おさらいしながら、語彙力を鍛えて参りましょう。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- BY :
- 参考資料:文化庁「国語に関する世論調査」(平成20年)
- ILLUSTRATION :
- 小出 真朱