身長156cmと小柄なインテリアエディターDが、実際に家具を触ったり、座ったりしながら、女性ならではの視点でインテリア名品の魅力を掘り下げます。今回ご紹介するのは、何かと使い勝手のいいスツール。日本と北欧のエッセンスが融合したデザインが魅力的なマスプロダクションの「HARRY スツール」です。

コーナーに「雰囲気」をつくり出してくれる、豊かな表情が魅力のHARRY スツール

たっぷりとした大きさが、空間に静かな存在感を放つ「HARRYスツール」

【ブランド】マスプロダクション【商品名】HARRY スツール【価格】¥105,840(税込)【サイズ】幅630×奥行320×高さ480mm 座高410mm【材質】オーク材

ひと目見たときから、日本の伝統的な組手「くさび」のような構造と美しいプロポーションが印象に残った「HARRY スツール」。とあるラグジュアリー物件で、大ぶりなソファーの横に置かれても引けをとらない、そのおおらかな量感と軽やかさに改めてデザインの魅力を感じました。

ミニマルな空間にポンと置かれても、ごちゃごちゃした場所にあっても、どちらにもしっくりくる豊かな木の表情と、シンプルな潔さをもったスツールです。

下段にはvitra社のtoolboxを使っています。

例えば下の段に資料や道具箱を入れておいて、上段をサイドテーブルのように使うのも便利です。床に直置きするよりも、整理整頓された印象を保つことができます。自宅でちょっとした雑務をするコーナーづくりにも、フリーアドレスのオフィスにも便利でスマートです。

背のないスツールは、腰骨で支えることを座る人に意識させるので、自然と美しい姿勢を保つことができます。

来客時にスツールとして使用するにも、「間に合わせ感」なくおすすめできる優雅なたたずまい。オフィスで開かれる立食パーティーなどでは、人数合わせの利便性だけでなく、主催者側が休憩を取りたい際など、姿勢が崩れることなく立ち上がりもスムーズなので、美しいスツールはとても便利なアイテムです。

軽くて堅牢で個性的なのも「HARRYスツール」の特徴

二枚のラミネート材が、小さな硬い木材によってひとつに繋がれています。

スツールは単純な構造で美しい造形をつくるという点で、デザイナーにとって挑戦のしがいのあるインテリアアイテム。美しい名作も数多くあります。

計算されたプロポーションと、無国籍性、熟練した職人の技術によって完成した「HARRY スツール」は、今後世界中で長く愛されるアイテムに育つ素養を兼ね備えています。公共施設やオフィス、住宅などのさまざまなシチュエーションに適用できる万能なプロダクトです。

持ちやすく、女性ひとりで気軽に移動できる重さです。

スウェーデンのブランドですが、デザイナーが魅せられた日本の鳥居や伝統的な大工の継木技術がデザインソースだそう。どこかしらなじみやすいのは、日本の文化にも影響を受けているからかもしれません。

量産品であることの美しさを大切にしている「マスプロダクションズ」

焼きたてのパンからインスピレーションを受けた、サイズ展開が豊富なアートピースのようなソファ

2009年に、家具のコンサルタント業で経験を積んだふたりのデザイナー、イギリス人のクリス・マーティンとスウェーデン人のマグナス・エレヴァックが立ち上げたスウェーデンのブランドです。

ともすれば、量産品=廉価製品といったイメージが先行する現代に、敢えて「マスプロダクション(大量生産)」というブランド名をつけ、「機能的でエレガントなデザイン」というネオモダニストのビジョンを実現。設計から広報まで一貫してデザイナーが関わってこだわっています。

生産現場でエンジニアや機械オペレーターと緊密に協力し、工具から材料、あらゆる切り取りや曲げ、そして環境への懸念に至るまでビジョンを共有する徹底ぶり。

Tioシリーズは、使用するスチールの量を最小限に抑えて設計され、コンピューター制御の機械を駆使し製作されます。アウトドア、インドアともに使用可能。スタッキング可

2010年スウェーデンのストックフォルムファニチャーフェアで「Tio」シリーズでデビューするやいなや、数々の国際的な賞を受賞するなど世界で高評価を受け、一躍注目を浴びることになります。現在は、多くの有名なクライアントを抱え、スウェーデン国立美術館の常設展示にもコレクションが加わっています。

写真左/クリス・マーティン氏、右/マグナス・エレヴェック氏

チーフデザイナー、クリス・マーティン氏のデザインは、機能、材料、そして製造工程の副産物です。彼はミニマリストと呼ばれてきましたが、実際には彼は芸術的な想像からではなく生産ラインからインスピレーションを得て、形に落とし込む実用主義者です。

スマートで使いやすく無駄のない彼らのプロダクトは、素材のもつ美しさがいかんなく発揮されてチャーミングです。そういったアイテムを取り入れることで、私たちの生活を新しい時代の豊かさに導いてくれるのではないでしょうか。

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この記事の執筆者
イデーに5年間(1997年~2002年)所属し、定番家具の開発や「東京デザイナーズブロック2001」の実行委員長、ロンドン・ミラノ・NYで発表されたブランド「SPUTNIK」の立ち上げに関わる。 2012年より「Design life with kids interior workshop」主宰。モンテッソーリ教育の視点を取り入れた、自身デザインの、“時計の読めない子が読みたくなる”アナログ時計『fun pun clock(ふんぷんクロック)』が、グッドデザイン賞2017を受賞。現在は、フリーランスのデザイナー・インテリアエディターとして「豊かな暮らし」について、プロダクトやコーディネート、ライティングを通して情報発信をしている。
公式サイト:YOKODOBASHI.COM