「日本が誇る建築家の作品に住むこと自体を楽しみたい。だから、家具もものも極力置かず、空間の美しさを生かすようにしています」と話す本田美奈子さんは、北欧出身の夫とともに大の建築好き。縁あって、憧れの建築家のひとり、妹島和世さんが建てた集合住宅を借りることになり、セカンドハウスにすることを決めた。
京都の住宅街に建つこの家は、リビングも浴室もほぼ全面ガラス張り。「リビングから見える景色がいちばんの贅沢。春の花や夏の緑もきれいだし、雪で真っ白になる冬もいい。四季折々の眺めを楽しめます」
約5mもの天井高をもつリビングルームは、ガラスを多用した開放的な空間。ガラスの向こう、椅子が2脚並んでいるウッドデッキのスペースは、半屋外になっている。家具はミッドセンチュリーのデザインが好きで、ダイニングテーブルはフレンチミッドセンチュリーを代表する建築家、ジャン・プルーヴェ。重ねたスツールはアルヴァ・アアルト。「一生使い続けられるような、普遍性のあるデザインを選んでいます」と本田さん。
刻々と移りゆく光の色や空の色をのんびり追いかける時間ほど、心を癒やすものはない。「本当に必要な最小限のものだけで過ごす暮らしは、セカンドハウスだからできること。そのぶん、美しいものだけを、よく吟味して置くように意識しています」
妹島和世さんが京都に設計した集合住宅「NISHINOYAMA HOUSE」。全10戸の住宅が集まる敷地内には、植栽豊かな共有庭や屋根のある半屋外スペースが点在。暮らしと自然をつなぐ仕掛けが考えられています。
バスルームは天井もガラス張り。「あまりに心地いいので、バスタイムは一日2回以上。雲の流れを見ているだけでリフレッシュできます」
リビングからウッドデッキを挟んで建つ“離れ”のような畳の間。
柳 宗理の「バタフライスツール」をシンプルにしつらえています。隣は骨董の重箱。
ウッドデッキには、アメリカンミッドセンチュリーの名作、通称「ワイヤーチェア」。イームズと並ぶミッドセンチュリーのデザイナー、ハリー・ベルトイアの作。
「京都に別荘をもってから骨董探しが楽しくなりました」と本田さん。南部鉄の鉄瓶は骨董市で見つけたもの。大好きなロイヤルコペンハーゲンと合わせて。
- TEXT :
- 本田美奈子さん LYDIA代表
公式サイト:LYDIA公式サイト
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- クレジット :
- 撮影/篠原宏明 文/輪湖雅江