多彩なジャンルや業態の飲食店が無数に存在し、世界的に見てもエキサイティングな東京のフードシーン。そのなかでも、この連載ではニューオープンを中心に、「今」行きたい、「人」を連れていきたい、そんな“大人のためのレストラン”をご紹介します。第2回は、2017年5月8日にグランドオープンした表参道の「フラテリパラディソ」です。

表参道ヒルズ内に誕生した「フラテリパラディソ」は、シドニーに本店を構えるイタリアンダイニング。2001年のオープン以来、当時共にシドニーで珍しかった通し営業のスタイルとナチュラルワインを広め、地元で絶大な支持を受けるレストランです。私も年始に本店へ伺い、「地元の人たちに心底愛されているんだな……」と実感したばかり。早朝から夜まで老若男女で賑わっていて、予約を取らないので常に行列(※東京店は予約可能です)。通りに面した店舗でテラス席もあり、お店の外も中も賑やかで非常に活気がありました。

表参道で体感する、本店さながらの活気とスタイル

左からフラテリパラディソジャパン エグゼクティブシェフの中安俊之氏、3人の本店オーナー、エンリコ・パラディソ氏、ジョバンニ・パラディソ氏、マルコ・アンブロジーノ氏。

業態や活気を含めた独自の「フラテリパラディソ」ワールドを創り上げたのはエンリコ&ジョバンニ・パラディソ兄弟とマルコ・アンブロジーノ氏のオーナー3人組。イタリアにルーツをもつ彼らはイタリアの食文化をシドニーに持ち込んだ立役者的存在。東京店でも本店同様、上質な素材にこだわったシンプルなイタリアンが楽しめます。東京店のフードは本店で長くヘッドシェフを務めた中安俊之氏が監修。本店も日本の食事情も知る中安氏のディレクションは、今後フードのみならず店舗全体へと波及していくに違いありません。

表参道ヒルズにオープンしたシドニー発のイタリアンレストラン・フラテリパラディソ
写真上が店内を入ってすぐのバーエリア、下がその奥に広がるダイニングエリア。本店と同じデザイナーが内装を担当し、手書きのメニューや壁にあしらわれたイラストも本店同様。

東京店はバーエリアとダイニングエリアの二部構成。ひとりでワインやお茶を楽しみたいときはバー、多人数でしっかり食事をしたいときはダイニングと、本店のオールデイダイニングスタイルがより明確になった印象です。シドニー同様の料理とフレンドリーな接客、店内に漂う活気を楽しみつつ、時間やメンバーに合わせてさらに細かくシチュエーションを選択できるのが東京店といえるでしょう。

オーナーと東京店ヘッドソムリエが提案するペアリング

左から東京店ヘッドソムリエのソン・ユガン氏、本店オーナーのジョバンニ・パラディソ氏。手にしたのはそれぞれのお気に入りワイン。「旨みたっぷりで、ナチュラルワインになじみのない方にもおすすめ」とソン氏が言うのはイタリアの微発泡ワイン(ブリュット&ビースト/ヴァッリ ウニーテ¥6,200)。「大切な友達が作っている、大好きなワイン。何度も現地に行ったことがあるよ」とジョバンニ氏が語るのは、シチリアのワイナリーによる希少なワイン(ファニーノ/ガブリオ ビー二¥20,000) ※ワインは共にボトルのみ。グラス提供なし

オールデイダイニングという業態と素材を重視したイタリア料理を提供している点に加え、「フラテリパラディソ」の個性を際立たせているのがワイン。本店同様、東京店もオーナーたちのルーツであるイタリアと地元オーストラリア、さらにフランスのナチュラルなワインがそろいます。今回は、東京店のワインリストを作成したオーナーのジョバンニ氏と東京店でヘッドソムリエを務めるソン・ユガン氏にスペシャリテとワインのペアリングを提案していただきました。

名物「パスタスカンピ」×東京店限定のロゼワイン

「パスタスカンピ」¥2,500、ワイン「ロザート ディ パラディソ/トム ショブルック」¥8,800(ボトルのみ)

まずは、ダイニングエリアで楽しみたい名物の「パスタスカンピ」(¥2,500)。卵黄と全粒粉入りのむっちりした自家製手打ち麺に海老の出汁が効いたトマトソースが絡みます。ジョバンニ氏がパスタに合わせたのは、オーストラリアのロゼワイン。「甲殻類の旨みが効いた料理には、しっかりしたワインが合う。グルナッシュ100%のロゼはクリアでチャーミングな色ながら、力強さのあるワイン。この葡萄独特の厚み、甘みがあって海老とトマトの甘みにもマッチする。少しハーブを思わせるワインのキャラクターもトマトと相性がいい。パスタとワインがどんどん進む組み合わせだよ(笑)」(ジョバンニ氏)

本店でも食べられない「ボッタルガクリーム プレッツェル」×東京店限定の白ワイン

「ボッタルガクリーム プレッツェル」¥1,700(ダイニングエリアでも注文可能)、ワイン「ビノ ビアンコ/ルーシー マルゴー」¥7,500(ボトルのみ)

バーカウンターでワインと共につまみたいのが「ボッタルガクリーム プレッツェル」。カラスミと全粒粉パン、燻製オイルなどでつくられたクリームとプレッツェルのセットです。こちらは姉妹店であるシドニーのワインバー「10 william st」の名物。本店では注文できないメニューなのです。ヘッドソムリエのソン氏が合わせたのは、色からして濃厚な白ワイン。

「カラスミの塩気、クリーミーな食感、スモーキーな香り、中央に加えたオリーブオイルのボリューム感と、まさにお酒が進む要素が詰まった一品。このワインはひとことで表すなら“旨み爆弾”。柑橘系の爽やかさと黄桃やりんごなど熟したフルーツの香りや果実味を合わせもちつつ、きれいな酸としっかりしたボリュームがあります。奥行きがあり、旨みたっぷりでカラスミの塩気やクリームの食感にマッチします。オリジナルワインや東京店限定ワインは、オーナーたちがワイナリーの造り手たちと15年以上にわたって築いてきた関係の賜物。150種類に及ぶワインリストには入手困難な銘柄が含まれているのも、当店の魅力だと思います」(ソン氏)。

この白ワインも先のロゼワインも、なんと東京店限定! シドニーの本店でも飲めない限定ワインは全8種というから、ワイン好きの方はぜひお試しを。

本店のDNAを宿しつつ、すでに東京店ならではの個性が諸所に感じられる「フラテリパラディソ」。思えば、表参道エリアで「ひとりふらっと1杯」、「ふたりでゆっくりワイン」、「みんなでわいわい食事」のいずれもがかなう場所ってなかなか見つからないですよね。シドニーで生まれた「フラテリパラディソ」独自のスタイルは、東京の街やスタッフと融合して、これまでにない食の空間を表参道にもたらそうとしています。

問い合わせ先

  • フラテリパラディソ TEL : 03-3408-0800
  • 営業時間/11:00〜23:00(月曜〜土曜/22:00フードL.O.、22:30バーフード&ドリンクL.O.)、11:00〜22:30(日曜/21:30フードL.O.、22:00バーフード&ドリンクL.O.) 定休日/なし
  • ランチタイムは11:00〜15:00、ディナータイムは15:00〜23:00(日曜は〜21:30)。ランチのコースは¥1,800、¥2,800。ディナーのコースは¥5,800。共にアラカルトあり。ワインはグラス¥850〜、ボトル¥4,300〜。
    全142席、個室なし
    住所/東京都渋谷区神宮前4-12-10 表参道ヒルズ3F

 

この記事の執筆者
早稲田大学卒業後、アシェット(現ハースト)婦人画報社に入社。『エル・ジャポン』、『エル・ガール』、「エル・オンライン」編集部を経て独立。現在はフリーランスのエディター、ライターとして紙/Webの両媒体を中心に、主にファッション、フード、ライフスタイルのジャンルで活動。セレクトショップ「ドローイングナンバーズ」ではワイン&フードのセレクトも担当。日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート。
クレジット :
撮影/柳詰有香(下3点) 取材・文/門前直子