そろそろ秋物が気になる季節。男の服は毎シーズン、必要不可欠なワードローブを少しずつ増やしていくのが鉄則だ。スーツやジャケットを毎年新調する必要はない替わりに、その年らしさを表現するアイテムをプラスすることも忘れてはならない。
そこで役に立つのがベスト。スリーピーススーツで着用するベストは共地(上着とパンツと共通の生地)が多く、エレガントな印象を与えるには最適だ。とはいえ、後から買い足すベストは共地を選べない。だがファッションに新鮮さを演出するには、共地の必要はなく、むしろ、積極的に個性あるベストを選ぶ、という方法もある。そのほうがスタイルの幅が広がるし、手持ちの上着を有効に使え、今年らしい演出も容易になるからだ。
ジャケットやスーツを購入するより安価なのも、冒険しやすいポイント。自分が気に入って複数年愛用しているジャケットやスーツを着用してショップに行き、実際にコーデを試してみることをおすすめする。
ベストにも各種あるが、今、一番のおすすめは、ボタンが縦方向に2列ついているダブルベスト。クラシックなスタイルの面影を残す、男らしいアイテムだ。ラペルをあしらったものは、さらにゴージャスな着こなしを演出する。シャツの上着として楽しむ、オッドベストの洒脱なスタイルも表現できる。
アンサンブルで楽しむエレガントな別珍素材のダブルベスト
ジャケットと同じ素材を用いた共地のベストは、別珍素材のしなやかな質感が絶妙。狭いVゾーンのダブル8つボタンのベストは、ジャケットを脱いだときにも存在感を発揮し、クラシックかつエレガントな表情を見せる。
味わい深いブラウンで攻める
ダイヤゴナルという、斜めに織り柄が表れる厚手のウール生地を使い、ボタン位置を低く設定したエレガントな8つボタン。大きなショールカラーは、シャツの上にベストを着るだけでも洒落たスタイルを演出できる、クラシックなデザインである。
イギリス伝統の気品が漂う「ガブリエレ パジーニ」の大柄グレンチェック
「ガブリエレ パジーニ」は、大きなラペルをデザインした強烈な印象のジャケットと同様、6つボタンのダブルベストでも、大柄のグレンチェックを使って、ラペル付きのスタイルを表現した。脇ポケットのフラップや白い裏地もポイントだ。
ざっくりとした素材感が存在感のある着こなしに
英国紳士が愛した伝統的なスタイルを今のデザインでよみがえらせた「ハケット ロンドン」のベスト。大きくラウンドしたラペルを配し、ボタンの位置が変則的な8つボタンのダブルベストを生み出した。懐かしさを伝える、ざっくりとしたホップサック調の生地が絶妙。
いかがだろうか? ここではクラシックテイストの雰囲気が漂う、 ダブルベストを4種紹介した。ジャケットやスーツの上着にお金をかけるより、比較的コスパの高いベスト1枚で、男のコーデは間違いなくセンスアップする。あなたもダブルベストのコーデに挑戦してみてはいかがだろうか。
※価格はすべて税抜です。※価格は2016年秋号掲載時の情報です。
- TEXT :
- 矢部克已 エグゼクティブファッションエディター
- BY :
- MEN'S Precious2016年秋号〝ハードボイルド〞アイテムに回帰せよより
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- クレジット :
- 撮影/熊澤 透(人物)、唐澤光也(パイルドライバー/静物) スタイリスト/村上忠正 ヘア&メーク/MASAYUKI (the VOICE) モデル/Yaron 構成・文/矢部克已(UFFIZI MEDIA)