男のワードローブに欠かせないダッフルコートといえば、グロヴァオールの名品、モンティが代名詞。ただ、紳士が着るには、学生っぽくならないよう大人の男らしさを演出することが不可欠だ。メンズプレシャスで活躍するトップスタイリスト、村上忠正氏が、ジェントルマンにふさわしいダッフルコートの着こなしを紹介する。
英国の秋や日常から着想を得た紳士のダッフルスタイル
村上さんが提案するのはアースカラーの着こなし。ベージュのダッフルに深みのあるブラウンのスーツとスカーフ。このシックな着こなしのポイントは黒いニットポロとブーツだ。この英国カントリーサイドの秋を思わせる枯れ感が、ダッフルコーデに貫禄を付与するのだ。
スタイリスト村上忠正氏が提案する、無骨にして繊細なスタイリング
「ダッフルを大人っぽく着るには、スーツを合わせるのが定石。ことこうした深みのあるブラウンの一着なら、より英国らしいシックな雰囲気にきまります」。
さらにくったりとしたベージュのハットやブラウンのシルクスカーフといった小物使いもダンディなイメージを加速させる。
「コートもスーツも、トレンドを意識して全体的にゆったりとしたシルエットになるよう心がけました。足元もドレス靴ではなく、モダンな黒いブーツを合わせています」。
硬骨な雰囲気のなかに、緻密な計算がなされた、英国スタイルが完成した。
英国クラシックを知りすぎた男が提案するスタイル
林さんが提案するのは素っ気なさ。ケンブリッジの日常をイメージした装いは、バイオレットのシャツとジーンズというカジュアルスタイル。
この「ちょっと近所まで」といった素っ気なさが英国上流階級のリアルなムードを生み出すという。
季節感のあるカラーコーディネートで魅せるか、こなれ感を生むリアルな英国スタイルで勝負するか―。
「英国的な着こなしと聞いてぱっと思い浮かぶのは、お洒落をしないこと。細かい計算なんかしない、しゃらくさくない。このダッフルの着こなしは、ケンブリッジに住む貴族のドラ息子が、朝、紅茶に入れる牛乳がないのに気づいて、ベッドに脱ぎ捨てていたシャツとジーンズを着ていやいや街に出る。ダッフルは部屋で寝ている友人のものを失敬、みたいなイメージ」。
英国の上流階級の子弟が好むというバイオレットカラーのシャツをキャメルカラーのダッフルと合わせたり、コートのそでを通さずに肩かけしたり、細かい部分にも英国クラシックな演出がなされている。
いつまでも学生風の着こなしをしていてはならない。ここでは、手軽にアレンジできる、永久定番コートの着こなしを紹介した。ぜひとも、ダンディなダッフルコートのスタイルを楽しんでみていただきたい。
※価格はすべて税抜です。※価格は2016年秋号掲載時の情報です。
- クレジット :
- 撮影/渡辺修身 スタイリスト/河又雅俊 ヘア&メーク/KOTARO(SENSE OF HUMOR) モデル/Cuba 文/押条良太