男らしさを表現する服装の基本形は、その成立から1世紀以上の歴史を経た、スリーピーススーツである。日本では明治時代に伝わったとされるこのスタイルは、現代では正統派コーデの代表的だ。ジャケット、パンツ、ベストの3つをすべて同じ生地(共地)で作ったものを指し、どれかひとつ欠けてしまってはスリピーススーツのエレガントは生まれない。

逆に、どんな男でもそれなりのスタイルに見せてしまえるのが、スリーピーススーツの良いところ。もちろん、シルエットや仕上げ、生地の質感など、欲を言えばきりがないが、最低限、ジャストサイズであれば良い。

実は、ファッションに興味がない人ほど、このスリーピーススーツの効果はてきめんなのだ。自分自身が相応の年齢になったと感じるとき、昇進や転職などで、仕事のやり方が変わったときなど、自分の佇まいを見直すきっかけになるのが、スリーピーススーツを着る、ということ。男はファッションで服を着るのではなく、社会的立場で服を選ぶべき。いわばスリーピーススーツは男の戦闘服とも言えるのだ。ここでは、地位と男ぶりをランクアップできる、気品の溢れたスリーピーススーツスタイルを5種類紹介する。

王道のネイビーとグレー、厳選した5着のスリーピーススーツをまとう

ダンディな雰囲気に加え、装飾的なコーデを演出できるスリーピーススーツは男らしくも、色気もある。正統的なネイビーカラーのスーツとカントリーな雰囲気のグレースーツ、ふたつの完成されたコーデでモダンな紳士の装いを紹介する。

気品ある大人に似合う正統派!
ネイビースリーピーススーツ

限りなく無地に近い、織り柄を施した艶のあるネイビーの生地を使い、ピークドラペルを配したスーツに、シンプルなシングルのベストで構成する一着。ネイビーの気品ある風合いのスーツに、ライトブルーを基調としたシャツと幾何学模様のジャカードのネクタイで、モダンな着こなしを表現する。

スーツ¥336,000・シャツ¥60,000・タイ¥29,000・チーフ¥16,000・タイバー¥47,000(ラルフ ローレン〈ラルフ ローレン パープル レーベル〉) フォブチェーン¥138,000(オールド&ニュー)

カントリーな表情に誘う
グレーフランネルのスリーピーススーツ

帽子をかぶり、ステッキを持つ。グレーフランネル・スーツの持ち味を生かした、カントリージェントルマンを気どる。

スーツ¥740,000・シャツ¥56,000・タイ¥29,000(キートン) タイバー¥5,000(オールド&ニュー) チーフ¥2,800(ビームスF 新宿〈ビームスF〉) 靴¥98,000(チャーチ 表参道店) 時計¥2,670,000(パテック フィリップ ジャパン・インフォメーションセンター) 帽子¥110,000(ボルサリーノジャパン) ステッキ¥50,000(伊勢丹新宿店〈タカゲン〉)

厳格にシルエットにこだわる
モダンなチェック柄のスリーピーススーツ

大きなピークドラペルをデザインした構築的なスーツに、襟元を際立たせたタブカラーシャツと幅のあるソリッドのネクタイを合わせて、クラシックな雰囲気の着こなしを表現。重厚な紳士のイメージに加え、大柄のチェックをデザインしたスリーピーススーツが、モダンな表情をも漂わせる。グレーを中心とした、モノトーンのコーデで粋な着こなしに。

スーツ¥690,000・シャツ¥60,000・タイ・チーフ/参考商品(トム フォード ジャパン) 時計¥2,670,000(パテック フィリップ ジャパン・インフォメーションセンター)

色気あるネイビーで攻めるナポリスタイル

ツヤのある滑らかなネイビースーツに、大きなショールカラーのラペルを配した、強烈なまでに存在感のあるダブルヴェストを組み合わせたスタイル。Vゾーンは、パープルのタイで、品よく演出。

スーツ¥420,000・シャツ¥42,000(イザイアナポリ 東京ミッドタウン) タイ¥24,000(バーニーズ ニューヨーク カスタマーセンター〈フランコ ミヌッチ〉) タイバー¥10,000(バーニーズ ニューヨーク カスタマーセンター〈ルイ ファグラン〉) チーフ¥3,800(ビームスF 新宿〈アルバート サーストン〉) 時計¥2,330,000(ブレゲ ブティック銀座)

ビスポークの香りが漂うパリ発信のエレガンススーツ

肩を強調したロープドショルダーやくびれたウエストライン、パリ有数のテーラーによる既製のスーツは、男の色気と知性が立ち上る鮮やかさが醍醐味だ。

スーツ¥500,000・タイ¥25,000(バーニーズ ニューヨークカスタマーセンター〈チフォネリ〉)シャツ¥25,000(ビームスF 新宿〈マリア サンタンジェロ〉) チーフ¥3,800(ビームスF 新宿〈アルバート サーストン〉) フォブチェーン¥108,000(オールド&ニュー) 帽子¥63,000(ボルサリーノ ジャパン) 傘¥38,000(ヴァルカナイズ・ロンドン〈フォックス・アンブレラ〉)

正統派スタイルのスリーピーススーツはいかがだったろうか? きちんとした服装は誰の目にも好感を持って迎えられるもは間違いない。あなたのビジネスライフはもちろん、男としての格はぐっと上がるだろう。

※価格はすべて税抜です。※価格は2016年秋号掲載時の情報です。

この記事の執筆者
TEXT :
矢部克已 エグゼクティブファッションエディター
BY :
MEN'S Precious 2016年秋号「この慎み深い格式こそ、紳士たる装いの頂点だ!英国的たたずまいはスリーピーススーツ に宿る」より
ヴィットリオ矢部こと本誌エグゼクティブファッションエディター矢部克已。ファション、グルメ、アートなどすべてに精通する当代きってのイタリア快楽主義者。イタリア在住の経験を生かし、現地の工房やテーラー取材をはじめ、大学でイタリアファッションの講師を勤めるなど活躍は多岐にわたる。 “ヴィスコンティ”のペンを愛用。Twitterでは毎年開催されるピッティ・ウォモのレポートを配信。合わせてチェックされたし!
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クレジット :
撮影/熊澤 透 スタイリスト/村上忠正 ヘア&メーク/HIROKI (W)モデル/Yaron 構成・文/矢部克已(UFFIZI MEDIA)