「コミテコルベールアワード 2019」を受賞した12作品は藝大美術館で鑑賞できます

シャネルなど、フランスのラグジュアリーブランドなどで構成されるコルベール委員会と東京藝術大学が連携して、未来の文化とアーティスト育成を目的とした共同プロジェクト、「コミテコルベールアワード 2019 —令和:新しい時代—」が開催中です。

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会場の様子 Photo: Tomohiro Ohsumi © 2019 Getty Images

2017年から実施しているこのアワードの今年のテーマは「令和」。令和という新しい時代、日本はどうなっていくのか? 昭和、平成からあるものは引き継がれるのか、あるいは変わっていくのか?という視点から、藝大生がそれぞれの感性で「令和」を表現しています。

2019年9月11日(水)に一次審査が実施され、12作品が選出。さらに、2019年11月8日(金)に行われた授賞式にて、3つの優秀作品が決定しました。

この一次審査で選ばれた12作品を、上野公園内にある東京藝術大学大学美術館で、2019年11月20日(水)まで鑑賞することができます。本記事では、優秀作品に選ばれた3品にフォーカスしてお伝えします。

現代への問いかけが詰まった、優秀作3品

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左から/金森 由晃さん(受賞者 東京藝術大学大学院 美術研究科 デザイン専攻 修士1年)、太田 琢人さん(受賞者 東京藝術大学大学院 美術研究科 デザイン専攻 空間設計 修士1年)、門馬 さくらさん(受賞者 東京藝術大学大学院 美術研究科 先端芸術表現専攻 修士1年) Tomohiro Ohsumi © 2019 Getty Images

■1:金森 由晃さんの作品「Memory of sense」

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「Memory of sense」 永井文仁 © COMITÉ COLBERT, 東京藝術大学

まず一つ目は、金森さんの作品から。情報化社会を生きる私たちの存在の危うさと、そうした状況をよそにたくましく生きる草木。人間と比べた場合の、自然の強さを表現しています。

以下は、作者が作品に添えたコメントです。

「情報過多の絶えず変化する現代において社会が個人にもたらす影響は図りしれない。効率化が進み、無益なものは急激に削がれていく。私たちはこの激動の時代に自身を失う怖さと共に生きている。

そうした中、アスファルトの隙間から芽を出し、淡々と自らの時間軸を生きている植物を見て、私はある種の憧れを抱いた。

現在の言語化できない、繊細なこの感覚を普遍的な存在として記録しておきたい」

■2:太田 琢人さんの作品「Rubbish Things」

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「Rubbish Things」 永井文仁 © COMITÉ COLBERT, 東京藝術大学

2作目は、太田さんの作品。モノと意思、どこかシンギュラリティの到来を予感させるようなテーマです。掲載している画像は静止画ですが、実際にはこの箒のような物体が、そわそわと音を立てながら、自立して動きます。"ジブリ映画に登場してきそうな"と表現すれば、想像していただきやすいのではないでしょうか?

以下は、作者が作品に沿えたコメントです。

「モノは人によって無機的にデザインされている。それは空間に固定するためのフォルムや質量であり、与えられた肉体によって縛られ空間に静止するモノからは、どこか哀愁が漂う。

『RUBBISH THINGS』は自然や人、環境を利用し移動する術がその肉体に備わっている。それはモノとして人を拒絶している訳ではなく、共生を目指し自分の存在価値を認めて欲しいだけなのである。

押されたとしても、踏ん張り戻ってくる。心地のいい場所を自分で探す。そんな姿にモノに芽生え始めた新たな「意思」を感じることができるだろう」

■3:門馬 さくらさんの作品「私たちが纏う仮面は本当に顔が隠れているだろうか?」

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「私たちが纏う仮面は本当に顔が隠れているだろうか?」 永井文仁 © COMITÉ COLBERT, 東京藝術大学

このわずか20年ほどの間で、スマホやPCを介してコミュニケーションを取ることが急激に増えた私たち。インターネットという手段を用いながら、人間の頭脳の中でのみ広がる世界。

身体性を欠き、想像の中でのみ成立せざるを得ないコミュニケーションの中で、相手への正しい"伝え方"や"見せ方"ができているのか、能面の奥にそんなことを見たような気がします。

以下は、作者が作品に添えたコメントです。

「私たちは顔を知られずに人と付き合う術を手に入れた。見知らぬ相手と対話する時、相手の顔を知らないだけで、相手に顔がないと思っている訳ではない。言語に表現された相手の態度から他者の顔を無意識に想像しているのだ。

能面の肢体の動きや角度でその面の表情が変化する。固定された面の造形が、むしろその人格への想像を掻き立たせる。面の表情は肢体の動きに支配されるのだ。

令和の時代、顔を隠しながら対話することは益々増えていくだろう。顔を隠しているからこそ、普段とは違う自分になれているような感覚がある。しかし、私たちが纏う仮面は本当に顔が隠れているだろうか?」


以上、優秀作品として選ばれた3つをご紹介しました。この3つ以外にも、プロジェクションマッピングを利用した作品や、トルソーを利用したものなど、異なる芸術性をもつ作品を鑑賞することができます。

展覧会場には、一次審査を通過した12作品に加え、昨年の優秀作品3作品の展示もあります。是非、足を運んであなたの五感で鑑賞してみてください。

場所は上野公園から東京藝術大学のほうに歩いていくと道の左側のキャンパス、入ってすぐ右の建物「美術館本館」の地下で展示されています。館内にはホテルオークラが運営する「ミュージアムカフェ」もあるので、鑑賞後にほっと一息つくこともできます。

「コミテコルベールアワード 2019 —令和:新しい時代—」詳細

  • 会場/東京藝術大学大学美術館本館 展示室1
  • 会期/2019年11月9日(土)〜11月20日(水)※会期中無休
  • 開館時間/10:00〜17:00(入館は閉館の30分前まで)
  • 入場料/無料
  • 住所/〒110-8714 東京都台東区上野公園12-8

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この記事の執筆者
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