大胆かつ繊細なフラワーデザインで私たちを魅了する、デンマーク生まれのフラワーアーティスト、ニコライ バーグマンさん。その美学を注ぎ込んだジュエリーブランド『NATUR & NICOLAI BERGMANN(ナチュア & ニコライ バーグマン)』を発表、2017年5月26日、東京・南青山に旗艦店をオープンしました。
ニコライさんの花のファンで、以前に「花の美」をテーマにしたトークショーに一緒に登壇したことのあるというPreciousモデルの生方ななえさんと、日本語が堪能なニコライさんの対談が実現しました。
ジュエリーで花の美しさをプリザーブする
生方ななえ(以降、ななえ):ニコライさん、ご無沙汰しています。この度はジュエリーコレクションの発表おめでとうございます。とても楽しみにしていました。
ニコライ バーグマン(以降、ニコライ):ありがとうございます。ジュエリーはずっとやりたかった長年の夢なので、本当にうれしいです。
ななえ:花からジュエリーデザインへ、ニコライさんにとっては自然な流れなんですね。
ニコライ:そうですね、自分では今までの仕事の延長線上にあるんです。25年間、花の仕事を続けてきて、洋服、めがね、靴、香水、いろいろなもののデザインに関わってきましたが、今回ジュエリーで花の美しさをプリザーブできたらと思ったのです。
ななえ:いつも花が中心にあって、さまざまなデザインに挑戦していらっしゃるんですね。
ニコライ:何かをクリエイトするのが好きなんです。花とジュエリーって、全然違う世界のようだけれど、僕の中ではつながっている。
ブランド名の「Natur(ナチュア)」とは「自然」のこと
ななえ:ブランド名の「Natur(ナチュア)」は、デンマーク語かしら?
ニコライ:そう、ナチュアはデンマーク語で、ネイチャー、つまり「自然」という意味なんです。
ななえ:“ニコライ バーグマンの花”といえば、ゴージャスなイメージです。ジュエリーならなおさら華やかなイメージかなと思っていたのですが、あえて「ナチュア=自然」というのが意外というか。
ニコライ:僕が表現したいのは、自然そのもの。花が咲いている時間は短いですが、美しさはそれだけじゃないということ。つぼみがふくらんで、咲いて、美しい透明感のある花びらがいつか枯れて、散って、種をつくる、そんな花のサイクルすべてが美しいと思っているんです。その美しさをジュエリーにしたいと思いました。
ななえ:美しさとはかなさ、日本でいうわびさびのような。北欧と和の感性を併せ持つ、ニコライさんだからこその発想ですね。
ニコライ:ジュエリーなら、花のそれぞれの瞬間を閉じ込められる、ストーリーを伝えられる、そう思ったんです。
ななえ:ストーリーのあるジュエリーなんて、すてきですね。物を買う時は、その背後にあるストーリー惹かれます。
日本で得たインスピレーションをジュエリーに
ニコライ:今回は、花だけでなく、つぼみや枝、葉っぱなどもモチーフにしているんですよ。
ななえ:花そのものだけじゃないんですね。枝や葉っぱだなんて、とっても新鮮ですね。
ニコライ:枝や葉の美しさは、日本に来てから知ったことなんです。日本で得たインスピレーションはとても大きいから、最初は、その思いを込めようと思いました。
ななえ:ニコライさんの発想やプレゼンテーションは、いつもワクワクしますね。フラワーボックスもそう。箱にびっしり詰まったお花のギフトなんて、ありそうでなかった。いただくことが多いのですが、あれを開けるときって、いつもときめくんです。最初にいただいた時はもちろん、何度いただいても、今回はどんな花かな、どんな色だろうって。あんな気持ちをジュエリーで楽しめるんですね。
ニコライ:花でもジュエリーでも、ときめいてもらえたらうれしいです。
“ニコライ バーグマンといえばゴージャス”をいい意味で裏切りたい
ニコライ:今回のジュエリーには「Casual」「Fine」「Bridal」の3つのコレクションがあって、カジュアルコレクションにはシルバーを使って、気軽にふだん使いできるようなデザインにしました。最初に選んだモチーフは、つぼみや蓮の葉などです。
ななえ:え、これは、花のつぼみなんですか?
ニコライ:モクレンのつぼみがモチーフなんですよ。モクレンはすごくきれいな花をつける。でもあえて、“これから咲く”一瞬をデザインしました。
ななえ:「ニコライさんがジュエリーを」と耳にしたら、華やかなお花そのもののデザインを想像しますよね。それが、つぼみとか葉っぱとか、予想外でした。
ニコライ:うん、ちょっといい意味で期待を裏切りたいという気持ちはいつもある(笑)。それに、つぼみはある意味スタートでもあるから、コレクションの最初にはぴったりでしょ。僕が日本でスタートしたときの気持ちを忘れないように、という思いもあります。
ななえ:なるほど。蓮のモチーフも花じゃなくて、葉っぱなんですね。
ニコライ:蓮の花だと、たとえばタイとかもっと南国のイメージが強いでしょう。日本だと蓮の葉のイメージのほうがしっくり合う。
北欧と和のエッセンスの融合
ななえ:日本らしいイメージというのも、今回強く意識しているのですか?
ニコライ:はい、もちろん。日本に来て20年経って、デンマークで過ごした年月とちょうど同じくらいになったんです。日本で得たインスピレーションは大切にしていて、今回のコレクションのデザインにたくさん生かしています。
ななえ:北欧と和のエッセンスの融合ですね。
ニコライ:自然にそうなってしまうよね。
ななえ:それがニコライさんの魅力ですよね。このバングルは、チャームが揺れてかわいいですね。チャームは選ぶことができるのですか?
ニコライ:そう。3つは最初についているのだけれど、好きなチャームを付けたり外したりできます。自分でブーケをつくるような感覚で選べたら楽しいかなと思って。
ななえ:すてき。次のシーズンは、別のチャームも登場するのですね。
ニコライ:その通り。季節のお花を待つように、楽しみにしていてほしいです。
ななえ:重ねづけができるリングも楽しいですね。
ニコライ:この丸い粒は、アリウムという花の種です。ねぎ坊主みたいな丸い花なんだけど、そのまま小さな硬いボールのように枯れていくんです。
ななえ:あえてお花の種をデザインするなんてユニーク。かわいらしいけれど存在感がありますね。
花のサイクルのすべてをジュエリーに留める
ニコライ:何度も言うようだけど、花のサイクル、すべてが美しいから、それをジュエリーにしたかったんですよね。
ななえ:今回のコレクションは、どんな人につけてほしいですか。
ニコライ:幅広くいろいろな人に楽しんでもらいたいと思っています。ななえさんみたいな美しい人にはもちろんだけれどね(笑)。花を楽しむように気軽にジュエリーを見に来てくれたらうれしいですね。
ななえ:どんな服に合わせるか考えるのも楽しいですね。シンプルだけれど個性的なシルバーが映えるように、私ならダークな色の装いに合わせてみたいな。カジュアルとはいえ、パーティーシーンでも十分活躍しそうです。
ニコライ:ぜひ、自分なりに楽しんでほしいですね。
ななえ:コレクションごとに買い足す楽しみもありますね。
ニコライ:次は秋だから、秋らしいモチーフになるかな?
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