トレンチコートの着こなしのポイントを、イタリア スナップから紐解く!! 意外なパーツのあしらい方が決め手に。 

レザーアイティムが活躍し出す春先期。日本ではレザーの着こなしは、どちらかというとアメリカンなスタイルになってしまいがち。ジェイムス ディーンに始まり、トム クルーズなどのハリウッドのセレブの様な、Tシャツ&デニムの着こなしががスタンダードになっています。勿論、それも悪くはありませんが、もう少し上品でヨーロッパ的な着こなしがしたい!!!!と思う方もいるはず。そんなお悩みを解決する為に、今回はイタリアスナップからレザーのスタイリングをピックアップ。トップバッターは、ブラックのWのライダース。元々はバイクに乗る時に着ることが多いアイティムですが、この御仁にかかると洗練されたモードな着こなしになっています。「流石ミラネーゼならではの着こなし!」と言いたいところですが、実はこの御仁は日本で大活躍しているモデルのデイビッドさん(アメリカ人)。ブラック×グレーのモノトーンコーディネイトですが、カシミアのケーブルセーターに、足元を白のレザースニーカーにしたところがポイント。隠し技はソックスと、髪の毛の色もグレーという点。ココが黒だとこのヌケ感とラグジュアリー感は出せません。

こちらの御仁は、ブラウンスエードのWライダース。ネクタイとスカーフの色がベージュ系であまり主張しない様にしているところが、この御仁のコーディネイトのキモ。ホワイトデニムは、ライダースのワイルド感を打ち消す万能パンツです。ホワイトのコットンパンツにするとより上品にまとまります。

 
 

こちらの御仁は、王道のイタリアン スタイル。フィット&サイズ感のお手本ですね。日本では、スーツとかの直しはできても、レザージャケットの袖丈とか身幅とかお直ししてくれるショップは、多くないと思います。でも、特に袖丈を直さないとすっきりしたレザーの着こなしは出来ませんので、ネット等でお直し屋さんを探し出すことを御勧めします!!

トレンチコートの着こなしのポイントを、
イタリア スナップから紐解く!! 意外なパーツのあしらい方が決め手に。

冬の期に活躍するのがコットンのトレンチコート!!!!日本では、女性のビジネス&カジュアルスタイルの定番になっていて、男性より女性の方がトレンチ率は高くなってますね。昔は(20年以上前ですが…)トレンチは男性コートの王道アイティムで、ハンフリー ボガードや石原軍団の俳優さんの様に男らしさをアピールするのに欠かせないものだったのに…『トレンドはツイストされながら繰り返される』(By Onishi)

トレンチコートもやっと今年くらいからメンズでリバイバルしそうな気配!?そんな、感じが今年の1月のピッティ ウオモにもちゃんと反映されていました。ただし、昔とはちょっとデザインや着こなしが変わって来ていますよ。どの辺りがツイストされてるか解説してみますね。

この御仁のポイントは、コートの生地の色。グレーですよ!!!!ココがベージュとかカーキだとこの上品な感じとトレンド感は出ません。着丈はヒザが微妙に隠れる長さ。流行に左右されない王道レングスです。身幅、肩幅もかなりジャストサイズ。昔の日本のトレンチの様なブカブカはNGです。とは言え、ピタピタにしない塩梅はこの御仁のエレガンスとみました。

背中に綺麗にまとめたベルトのテクニックは、見習いたい部分。イタリアでよく見るサルトリアのチェスターコートのバックベルトの様に見えて、クラシックな雰囲気が出てますね。念のため男性が、ココを蝶結びにするのは絶対NG。

 
 

こちらの御仁も、グレーのトレンチですが、かなりモードな着こなしですね。ベルトの締め方が、縦結びになっています。これが、計算されたものか無造作なものかは聞いていませんが、きっと「いつもこんな感じ!意識したことないな…」と言われるのがおち。イタリアには靴ひもをあえて縦結びにするファッション関係者がいますが、その感覚に近いハズシのテクニックではないかと個人的に解釈しました。エリの立て具合は、昔のアメリカのIVYリーガーやみゆき族がやっていた、半分だけ立てるクラシックなスタイル。黒ブーツとグレーパンツのロールアップがスパイスになって、モノトーンのコーディネイトを斬新に魅せています。

とりは、シップスの鈴木さん。これぞスタンダード、王道といえるトレンチコートの着こなしです。でも、よく見るとパンツの丈も短めだし靴は、今年春リバイバルヒットしそうなタッセルスリッポン。コートの生地のよたり具合がとても良い感じですね。個人的には、コットンのギャバジンのは10年以上使って生地にこしが無くなった状態が、詫び寂びが出て良いと思っています。

定番レザーブルゾンを、トレンドを感じる着こなしに変身させるキーアイティムを解説!

日本では、丁度この時期から梅雨までが、レザーブルゾンが活躍する期間。パーティーや美術館鑑賞などにつかえる、モード系レザースタイルを今回は厳選してみました。

 
 

ミラノのファッションウイーク(2016 SS)に開催されたラルフ ローレンの展示会に来ていたこの御仁。Pitti uomoでは、このようなモード感のある着こなしをする人には出会う事はまずありません。日本のメンズ雑誌のスナップはPitti uomo中心で、ミラノのスナップはあまり取り上げてませんのでこれもイタリア スナップ?と思う方も多いかも。ミラノ スタイルはモードやトレンドを取り入れながらも、程よいヌキ感のあるシンプルコーディネイトをしている方が目につくのが他の都市との違いですかね。で、この御仁のスタイリングですが、モノトーンでまとめただけ?と一見見えますが、実は細部に着こなしのポイントが隠されています。まず目につくのが、Wのレザージャケットにこの細い(約4cm)無地タイを合わせたところ。ここが、普通の幅のネクタイではこうは決まりません。そして、シルバーのタイバーと、身ごろがストライプのクレリックシャツというのもかなり計算されてますね。エリがショートポイントというのも流石。ここをイギリス式のクレリックにするとタイの結目とシャツのカラーの大きさが、ちぐはぐになってしまいますからご注意ください。足元はお約束の白スニーカー。レースアップブーツにしないところが、ミラノ流のエレガンス!!!!

こちらの御仁は、どちらかというとパリの香りのするスタイリング。Gジャンをアレンジしたレザーブルゾン+黒リブパン+素足はかなり上級者テクニックですね。そして難度の高いレザーの外羽根の厚底プレントゥ。ここは流石に真似出来ない…と思う方には、足元を黒スニーカーにすればこの気分を日本でも実践できます。この時も素足に! ソックス履くと急に足元が野暮ったくなりますよ。最後に重要なポイントを。リブパンの股下の長さ。
モードな感じを出すには、この御仁の様に軽くたるみが出るくらいがベスト。リブパンも購入したら必ずスソ上げを。

この記事の執筆者
『メンズプレシャス』創刊時から、数多のスタイリングで活躍する。とりわけ、高度なテクニックを必要とする、グレーやベージュの淡い色調を、実にリアルで品のいいコーディネートに落とし込める感性の持ち主だ。紳士が知っておくべき伝統的な着こなしの奥義を、ロジカルにつくり上げる名人である。